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県議会報告
令和5年度2月定例会 予算特別委員会(医療局)(令和6年3月12日(火))
2024.06.15
1 疾病別医療圏の設定とハイボリュームセンターの整備
〇臼澤勉委員 それでは、私から大きく2点。
まず、疾病別医療圏の設定とハイボリュームセンターの整備に関する御質問をいたします。
先ほどの保健福祉部の審査でも、いろいろ議論ありましたけれども、今回、疾病・事業別医療圏において、高度・専門的な医療を、県内で継続的に提供していく体制を確保していくということで打ち出されているわけでございますが、本県の医療は、県立病院が大きな役割を果たしているところは、改めて言うまでもございません。
そういった中において、疾病・事業別医療圏に対応して、県立病院、どのように医療の質の向上を図っていくのか、まずお伺いいたします。
〇熊谷経営管理課総括課長 県立病院におきましては、人口減少や医療の高度・専門化など、医療を取り巻く環境の変化の中で、限られた医療資源を効率的に活用し、県内で高度・専門的な医療を、安定的に提供できる体制を確保していくことが求められております。
今般の疾病・事業別医療圏に対しましては、がんや脳卒中などの疾病に関しまして、中核となる病院に、専門人材や高度医療器械の配置の重点化などを進めていくことを検討してまいります。
そうすることによりまして、症例数や手術数の確保を図り、専門人材のさらなる育成、医師確保、定着につなげまして、持続可能な医療提供体制の確保、医療の質の向上を図ってまいります。
〇臼澤勉委員 県立病院が果たす役割は、まさに住民に身近な医療を提供していくことは、非常に期待されていると思いますし、県民が県立病院に期待している大きなポイントだと思っております。
一方で、ハイボリュームセンターを整備していくことによって、地域医療への影響が生じてくるのかなとも思ったりするのですけれども、医療局として、どう捉えているのかお伺いします。
〇熊谷経営管理課総括課長 ハイボリュームセンターに関する御質問でございます。
ハイボリュームセンターにつきましては、県内で、高度・専門的な医療を、安定的に提供できる体制を確保していくために、まずは、中核となる病院に、疾病・事業別医療圏に対応しまして、一定の機能集約を図っていく。症例数や手術数を確保していこうとするものでございます。
また、地域病院等につきましては、これまで、採算性や人材確保の面から、民間の医療機関の立地が難しい地域におきまして、初期医療を含め地域医療を担ってきたことから、今般のハイボリュームセンターの議論とは別に、引き続き、地域密着の医療を提供していくものと考えております。
こうした考え方のもと、次期経営計画の検討をこれから進めてまいりますけれども、高度・専門的な医療を提供する中核的な医療を提供する病院と地域密着の医療を提供する地域病院等が連携をしながら、地域医療を確保するという体制を検討してまいります。
〇臼澤勉委員 今、地域病院との連携の強化というキーワードが出ていたのですけれども、この地域住民あるいは医療従事者からの意見を、医療局としてどのように反映させていくのか。ここは通告しておりませんけれども、基本的な考え方なので、ここら辺の意見の反映、そのために、具体的にどんな取り組みをしていくのか、お伺いします。
〇熊谷経営管理課総括課長 具体的な反映の仕方につきましては、まず我々は、今回の保健医療計画を踏まえまして、経営計画をつくっていくわけでございますけれども、その過程におきましては、例えば県立病院それぞれに運営協議会を設置しております。その運営協議会等でさまざまな御議論をいただくほか、圏域ごとに設けられている地域医療構想調整会議がございますので、そちらにも、経営計画の関係につきましては、草案の御説明をして、いろいろと御意見を賜りながら、最終案に仕上げていきたいと思っております。
〇臼澤勉委員 一方で、ハイボリュームセンターの高度・専門的な医療の提供する病院、それから、地域密着の医療との連携によって、相乗効果というか、シナジー効果が期待されるわけですけれども、県立病院としての基本的な考え方をお伺いいたします。
〇熊谷経営管理課総括課長 病院間の連携といったことについてでございますけれども、今後、高齢者人口は増加していく傾向にありまして、地域医療におきましては、高度・専門的な医療の集約による医療の質の向上といったこととともに、急性期後の機能回復、あるいは在宅復帰を目指す回復期病院での医療ニーズも高まっていくものと考えております。
こうしたことも踏まえまして、県立病院における次期経営計画の策定に際しましては、高度・専門的な医療機能を集約する病院とともに、社会ニーズの変化を捉えまして、急性期から回復期病床への転換等を進める病院の検討もあわせて行うなど、県立病院全体の機能や役割の見直しの検討を進めてまいります。
その上で、急性期から回復期、また在宅医療までが切れ目なく提供されるためには、異なる機能、特徴を持つ県立病院間の連携を一層強めていくことが重要になってきますことから、民間医療機関や介護施設等との連携も進めながら、より高い効果発現ができるよう、検討してまいりたいと思います。
〇臼澤勉委員 ちょっと繰り返しになるかもしれないですけれども、地域医療体制の影響の部分についてもすごく気になるところでありまして、小規模の医療機関や地域クリニックへの役割が、医療局としてどのように変化していくと、今時点で見込んでいるのか。そういった場合に、医療局としての支援策は、医療局に聞くことではないのかもしれないですけれども、少しそこら辺のお考えがあれば、ちょっと最後にお伺いしたいと思います。
〇熊谷経営管理課総括課長 今回の保健医療計画あるいはこれから策定しようとしております次期経営計画に関しまして、他の小規模な病院あるいはクリニックへの影響ということですけれども、もともとクリニックなどとの関係につきましては、県立病院は急性期あるいは回復期を担ってきている病院でございまして、クリニックは初期の本当にかかりつけ医という役割を担っていくと思います。
これから、救急をどうしていくかという中で、かかりつけ医からどのように我々の病院に移していくかということは重要なことになってくると思います。常に、その連携を密にしながらやっていくことが必要でございます。
どのような影響があるかというのは、現時点でちょっとなかなか見通すことはできないのですけれども、連携体制をとりながら、県内全体の医療をうまく回していけるようにと考えております。
2 高度な医療機器の計画的整備について
(1)医療設備の稼働率とメンテナンスの状況について
〇臼澤勉委員 次に移りますが、高度な治療を行うために、医療器械の計画的な整備がますます重要になってくると思っております。今回も、8年ぶりの経常赤字というか、そういった中においても、手術用のロボットの購入とかそういった部分についても予定していると伺っておりますが、まず、医療設備の稼働率とメンテナンスの状況、どのような状況になっているのか、そして、この設備の適切な維持管理に向けた取り組みについて、あわせてお伺いします。
〇千葉業務支援課総括課長 医療器械の稼働状況についてでございますが、5,000万円以上の高額医療器械につきましては、整備後、毎年、稼働件数について、各病院調査しておりますほか、整備計画時の見込み件数と乖離が生じていないか確認しております。
また、5,000万円未満のCT装置と主な放射線機器につきましても、稼働実績について把握しているところです。
また、医師の異動等により使用が見込まれない機器につきましては、県立病院間で、使用できる病院を確認し、移設するなど、有効に活用できるよう、取り組みを進めているところです。
機器のメンテナンス状況につきましては、医療器械のメンテナンスを行う臨床工学技士を各基幹病院に配置し、医療法に基づき、人工呼吸器など生命維持装置等の日常点検や使用前点検を実施しておりますとともに、放射線機器等の高額機器につきましては、メーカーに定期点検を委託し、機器の安全な使用と長寿命化に努めているところです。
(2)技術的な課題や弱点について
〇臼澤勉委員 いろいろと厳しい経営状況の中においても、そういった機器の更新は重要になってくると思うのですけれども、あえて聞きますけれども、県立病院が直面している設備であったり、技術面での課題というか、その最大の弱点というか、どういうふうに医療局として捉えているのか。この課題、弱点を克服するために、具体的な計画とか、お考えがあればお伺いします。
〇千葉業務支援課総括課長 医療器械の整備に当たっての課題についてでございますが、まずは、限られた予算の中で、地域間の格差の解消や、県全体での医療の質の向上に向け、どのようにバランスのとれた計画整備を行っていくかに配慮する必要があるほか、特にも新規整備に当たりましては、機器を操作する人材の確保、教育や技術等の修得が求められる場合がありまして、例えば、先ほど委員から御指摘もございました内視鏡手術支援ロボット─ダヴィンチによる手術の実施に当たっては、施設基準において、当該診療科の常勤医師2名の配置が必要となるほか、専門の知識及び5年以上の経験を有するなどの要件が定められておりまして、また、この機器を使用する医師等は、機器のメーカーが実施している教育プログラムを受講し、資格取得する必要があるなど、こうした技術的な課題等にも対応しながら、整備を計画する必要があると考えているところです。
また、バランスのとれた計画整備につきましては、特に高額な医療器械につきましては、各病院からの整備要望を踏まえて、県立病院の院長や医師等で構成する本庁の医療用設備整備調査委員会におきまして、二次保健医療圏におけるニーズや、整備後の稼働状況のもくろみ、全県立病院の状況等を踏まえながら、優先順位を決定し、計画整備を行っているところでございます。
(3)最新医療設備導入の配置基準等について
〇臼澤勉委員 今も、ダヴィンチのお話もありました。がんあるいは脳卒中、心血管等々で、ダヴィンチであったり、高精度なリニアック、t-PA療法等、さまざまあるわけでございます。こういった最新医療設備の導入において、医療局は優先順位をどうやって決定しているのか。この決定基準とか、今後の配置の具体的な計画みたいなところをお伺いさせてください。
〇千葉業務支援課総括課長 最新の医療機器の導入における優先順位についてでございます。医療機関への整備に当たりましては、二次保健医療圏の基幹病院において、圏域内の機器について、優先順位を付して計画整備を行っておりますほか、先ほど御答弁させていただきました、特に高額な医療器械については、オール岩手で、県立病院の院長や医師等で構成する委員会で、二次保健医療圏のニーズとか、稼働状況等を踏まえながら、優先順位を決定し、計画整備を行っているところです。
特にも、限られた予算の中、各圏域の優先順位を、まず優先するという中身と、今まで使っていた器械が整備できなくなるのは避けなければいけないので、更新整備を優先しているところでございます。
〇臼澤勉委員 参考までにお伺いしますが、他県の医療設備と比べて、本県の県立病院の医療機器の水準は、ギャップとか、どんな感じなのでしょうか。簡潔に、ちょっと様子だけ教えてください。
〇千葉業務支援課総括課長 他県の状況との比較でございますが、病床1人当たりの整備額は、全国でも高位に位置しておりまして、他県と比較して、整備できていないという状況ではないと捉えておるところでございます。
〇臼澤勉委員 安心しましたというか、あれなのですけれども。
最後に質問いたしますが、今後、私は、地域住民あるいは診察を受ける方や医療従事者からの意見の収集、そういった部分が、今後のこういった機器あるいは医療設備の導入に当たっても、フィードバックしながら、いろいろとそういった御意見なり声を吸い上げて、返していく、あるいは形にしていく取り組みが大事になってくるだろうなと思います。
最後に、そこら辺のお取り組みの考え方を聞いて、終わりたいと思います。
〇千葉業務支援課総括課長 県民の方や医療従事者からの意見の集約と、その反映についてでございますが、各病院におきましては、圏域における住民の医療ニーズや、各診療科の意見等について調整した上で、病院の機能や現有機器の使用状況、経過年数を、圏域の医療器械整備委員会において、圏域単位で取りまとめ、優先順位を付して、計画整備を行っているところでございます。
こうした各圏域と、全県的な観点による委員会等の検討を経た上で、県民や医療従事者のニーズを踏まえた医療器械整備を進めているところでございます。