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県議会報告
令和5年度2月定例会 予算特別委員会(ILC推進局)(令和6年3月6日(水))
2024.06.14
1 ILC誘致の県の取組みについて
〇臼澤勉委員 ただいま箱石室長からも丁寧な御説明がありました。現在のILC誘致の現状の部分について、国際科学者チーム、2030ころ建設開始を目標とする計画表をまとめ、具体的なスケジュールが示されている趣旨のお話もございました。県としてこの歴史的なプロジェクトの誘致に向けて、現在どのような役割を担っており、今後どんな役割を果たすべきと考えているのか、現状と役割についてお伺いいたします。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 県の取り組みと役割というような質問だと思います。
県の取り組みにつきましては、さまざま県民計画のILCプロジェクトの取り組みといたしまして、受け入れ準備の取り組みですとか研究者の支援、政府に向けた働きかけなどの取り組みを鋭意行ってきたところでございます。先ほど局長からも申し上げたような状況がございますので、今後、重点的に取り組むべき課題は、やはり政府の誘致判断に向けた機運醸成等の取り組みを強化すべきだろうという認識を持っております。
さまざまな状況を踏まえますと、政府にはILCの実現に向け、早期に前向きな態度表明と国際的な議論をリードしていただくということが大変重要になってくると考えておりまして、県といたしましては、県内外の関係団体とともに、これを後押しするための国民的な機運の盛り上げを図りながら、一体となった効果的な働きかけを行っていくことが必要であると認識しております。
〇臼澤勉委員 先ほども室長のほうからも、CERNにおけるFCC─eeの実現可能性調査、来年2025年にまとめられる予定だというようなお話もございました。この結果を受けた誘致判断に向けて、県として着実に準備を進めていくべきと思っておりますし、この誘致判断のタイミングについての見解についてもコメントいただければと思います。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 誘致判断のタイミングということでございますが、研究者の示したタイムラインというのが2030年度建設開始ということでございますけれども、それに至るまでのプロセスもあわせて示されております。2023年にタイムラインが示されましたけれども、ここからテクノロジーネットワークの段階が2年から4年程度、それから、準備段階として、以前言われておりましたプレラボ、準備研究所による段階、それとあわせて、国際的な政府間の協議が行われる段階が大体4年程度と見込まれております。これを合わせて6年とか7年という時間がかかると見込まれておりまして、うまくいった場合という前置きはありますけれども、2030年度あたりに建設を開始したいということでございます。
それから、FCC─eeの実現可能性調査が2025年までに進められるということで、現在、検討が行われていると承知しておりますけれども、FCC─eeの建設にはILCの数倍とも言われる巨額の費用がかかると言われておりまして、当面、実現可能なものはILCのほうに分があるであろうというような研究者の見立てもございます。
したがいまして、当面進めていく加速器としてILCとして力を入れていくべきだというような声が高まるのではないかという見解がKEKの機構長などから示されておりまして、このタイミングが政府の誘致判断の一つの節目になるであろうというふうな説明がなされております。したがいまして、令和6年度、2024年、2026年が大事な時期になっておりまして、これはどのタイミングということはなかなか申し上げにくいんですけれども、政府の前向きな表明というのは、このあたりにはぜひ行っていただきたいものだなと我々としては考えているところでございます。
〇臼澤勉委員 本当に今、2024年、ことしから2026年、この期間、非常に大事な時期に来ているというような答弁をいただきました。今は予算特別委員会ですのでお伺いしますが、来年度の予算編成に向けて、ILC誘致に向け、大事な時期でありますので、どのように取り組みを計画しているのか、具体的な予算配分や支援策についてお伺いします。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 ILCの予算につきましては、先ほど局長からも御説明いたしましたけれども、人件費などの管理費を除くILC推進事業費には、前年度比で約14%増となる1億1,500万円余を計上したところでございます。
これは、昨年示されたタイムラインですとかP5レポートなどの動きを踏まえた日本政府によるタイムリーな誘致判断をしていただけるように、後押しとなる国民的な機運醸成を図るため、普及啓発の取り組みを強化することとしたものでございます。
具体的には、これまで培った多様な人脈や著名人などを活用し、首都圏など県外を含めたイベント開催、効果的なメディア展開などを行うための予算を増額計上いたしましたほか、ことし7月に東京で開催されるリニアコライダーワークショップ─LCWS対応に要する経費を計上したところでございます。
こうした予算を効果的に活用いたしまして、さまざまな機会を捉えた情報発信を行いながら、関係者が一体となって国民的な機運の盛り上げを図る取り組みを推進したいと考えております。
〇臼澤勉委員 次に、地域社会との連携についてもお伺いいたします。昨年も質問させていただいておりますが、オープンラボのほうで陽電子源等の評価機器を整備して、今年度、活用して研究者による企業向けの指導を強化していくというような答弁も昨年いただいておりましたけれども、地域社会、あるいは地元の県内の産業としっかりと連携を図りながら取り組んでいく必要があると思いますが、ここら辺の支援の取り組み状況についてお伺いいたします。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 ILCの実現によりまして地域には国際研究都市が形成され、関連企業が集積するなど、東日本大震災からの創造的復興にもつながる大きな変革をもたらすものと考えております。
こうした効果につきましては、これまでも県が主催する講演会や解説セミナーなどを通じて、地域住民に向け発信を行ってきたところでございますし、地域の企業に対しましても、研究、開発の支援をしたり、参入の橋渡しとなるような取り組みをしたり、それから、受注のマッチングの取り組みを推進したりといったような取り組みを続けてきたところでございます。
先般、一関市で実施いたしました解説セミナーでは、地域にもたらす効果についての質問が相次いだところでございまして、実現を期待する意見が寄せられたところでございます。改めて地域理解が推進の後押しとなるという思いを持ったところでございます。
こうした期待のもとに周辺の市や町、企業、住民等とも連携して、まちづくりの検討、グリーンILCの推進など、ILCの理解を深め、地域の将来を考えることにもつながるさまざまな取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 県内からの機運醸成が本当に大事になってくると思います。
最後に、国際的な連携と情報共有についてお伺いいたします。
改めて申すまでもなく、国家プロジェクトであり、国際的な取り組み、多くの国との連携が求められてくると思っております。岩手県において、国際的なパートナーとの連携、情報共有をどのように進めていくのか、今後どのような戦略を立てておられるのか、お伺いいたします。
〇佐々木副局長兼事業推進課総括課長 国際的な連携と情報共有ということでございます。IDT-ILC国際推進チームでございますけれども、これが協働研究や政府間の協議に向けた取り組みを推進しておりますし、P5レポートなどの動きがあるところでございますけれども、こうした国際的な取り組み、連携の多くは、高エネルギー加速器研究機構-KEKが日本を代表する研究機関として関与しておりますし、日本人研究者もIDTでありますとか米国素粒子物理学プロジェクトの優先順位決定委員会、いわゆるP5の議長などとして国外の研究者との連携のもとに取り組みが進められているところでございます。
我々が直接国際的な連携ということはなかなか難しいところではございますけれども、こうした状況は、KEKや関与した研究者との良好の関係のもとに定期的な意見交換等の取り組みを通じて入手が可能となっているものでございまして、引き続き、県からも、政府要望の状況ですとか推進団体などの関心や期待の状況をしっかり伝えながら、着実な国際連携の取り組みを推進していただけるよう努めたいと考えております。
〇臼澤勉委員 重要な時期に今、差しかかってきているという認識のもと、本県の子供たちに未来の夢というか、先をぜひ一緒に見せていけるように取り組んでいきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。