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県議会報告

令和4年度2月定例会 予算特別委員会(復興防災部)(令和5年3月9日(木))

2023.04.08

1 人口減少が進む中の防災対策について

(1) 避難行動要支援者の現状と課題について

避難行動要支援者の現状と課題について伺う。

【復興くらし再建課被災者生活再建課長答弁】
 避難行動要支援者の現状と課題についてでありますが、市町村では、高齢者や障がい者等のうち、自ら避難することが困難な方を避難行動要支援者として把握し、名簿への掲載に取り組んでいるところでございます。令和4年5月1日現在、当該名簿に掲載されている避難行動要支援者は93,432人となっているところでございます。
 避難行動要支援者が避難生活を送るために特別な配慮がなされた高齢者福祉施設、障がい者福祉施設、児童福祉施設などの福祉避難所については、市町村がこれらの施設と協定の締結を進め、令和4年5月1日現在、県内全市町村で合計391か所が確保されているところでございます。
 避難行動要支援者への配慮の態様は、様々となっておりますことから、必要とされる施設の十分な確保、それから関係機関と連携した支援人材の確保が求められているところでございます。
 また、要支援者と避難を支援する方が一緒に避難する訓練を実施しているのは、4つの市と村のみとなっているところでございまして、訓練の実施による避難支援の実効性の確保が課題になっているところでございます。
 福祉避難所につきましては、常に施設に入所している方であるとか、避難者のケアを担うスタッフなどの状況により、受入可能人数が異なるということがございまして、これを随時把握することは困難でありますことから、県においては、旅館、ホテルなどの宿泊施設の活用とか、関係機関と連携した支援人材確保などを市町村にご提案しながら、十分な受入と運営体制の確保につなげられるように取り組んでいきたいと考えております。
 避難行動要支援者の避難訓練につきましては、県の総合防災訓練において、個別避難計画に基づいた訓練の実施を働きかけているところでございます。今後におきましても、こうした訓練の実績等を紹介しながら計画作成に併せた訓練の実施を市町村に働きかけていきたいと考えております。

(2) 避難行動要支援者の個別避難計画の策定状況と課題について

避難行動要支援者の個別避難計画の策定状況と課題について伺う。

【復興くらし再建課被災者生活再建課長答弁】
 避難行動要支援者の個別避難計画の策定状況と課題についてでございますが、令和4年5月1日現在、避難行動要支援者名簿に登載された93,432人のうち、個別避難計画が作成済みとなっている方は、19,542人で、その作成率は20.9%となっているところでございます。
 市町村における個別避難計画の作成の取組につきましては、高齢化等により避難を支援できる方の掘り起こしに苦慮しているであるとか、避難を支援する方の心理的な負担が懸念されるなどの理由から、地域における避難支援者の確保が難しいというような課題があると聞いているところでございます。こういったことが、個別避難計画の作成が進んでいない状況と把握しているところです。

(3) 自主防災組織の組織率を含む現状と課題について

自主防災組織の組織率を含む現状と課題について伺う。

【防災課総括課長答弁】
 自主防災組織の組織率を含む現状と課題についてでありますが、まず、令和4年4月1日現在の組織率は88.5%で、組織数は2,348となっている。
 組織率については年々増加しており、全国平均の84.7%を上回っている。また、東北6県では山形県の91.8%に次いで高い結果となっている。
 一方で、県北、沿岸部の一部の組織率が低いなど地域間で組織率に差が生じていることが課題であると考えている。
 また、災害時に自主防災組織が実効性のある対応をするためには、防災に関する研修や避難訓練等の活動を継続的に実施する必要があることから、自主防災組織の活動の活性化についても課題であると考えており、組織率の向上と活動の活性化の二点が課題となっている。

(4) 新年度予算への反映状況と今後の対応方針について

人口減少・過疎化の防災力分析等に取り組むべき。

【防災課総括課長答弁】
 新年度予算への反映状況と今後の対応方針についてでありますが、自主防災組織の組織率の更なる向上や、活動の活性化などの課題に対応するため、令和5年度に、
・ 防災に関する資格や経験を持つ方を地域防災サポーターとして登録し、市町村等からの要請に応じて派遣する「岩手県地域防災サポーター派遣事業」
・ 自主防災組織において指導的立場にある方や自主防災組織を結成しようとする方等を対象とする「自主防災組織リーダー研修会」
・ モデル地区を設定し地区防災計画の策定を支援する「地区防災計画策定モデル事業」
・ 自主防災組織の中核人材となる防災士を育成する「防災人材育成事業」
を継続実施するとともに、「防災人材育成事業」の中に、これまで育成してきた防災士への新たな知識の定着や、地域における実践的な活動の習得を目的とする「防災士スキルアップ研修」を新たに実施することとしている。

2 岩手県消防学校整備基本構想について

(1) 検討状況と今後の予定について

整備基本構想の検討状況と今後の予定について伺う。

【消防安全課総括課長答弁】
 岩手県消防学校整備基本構想の検討状況と今後の予定についてでありますが、「岩手県消防学校整備基本構想策定委員会」は、これまで計5回の会議の開催や、他県の消防学校施設の視察などを行い、消防学校に求められる必要な施設・設備の内容のほか、広域防災拠点の構成施設として必要な機能について検討を重ねてきたところ。
 現在、これまでの議論の内容をもとに、あるべき消防学校の姿について委員会でとりまとめを進めており、今月末に開催する会議において審議いただくこととしている。
 今後は、委員会がとりまとめた内容を踏まえ、来年度以降、県として整備基本構想の策定を進めていく考え。

(2) 消防学校の果たすべき役割について

岩手県消防学校整備基本構想委員会での議論の内容について伺う。

【消防安全課総括課長答弁】
 岩手県消防学校整備基本構想委員会の議論の方向でありますが、まずは、老朽化している校舎等の対応が必要であるということ。もう一つは、近年、多様化・大規模化・複雑する災害に対応する消防活動のニーズが高度化している。こうした状況を踏まえ、消防学校は、こうした状況下にあっても、消防職員等が適切に職務を遂行できるよう、必要な知識・技術を身に付けるための教育を行う役割を担っている。このようなことから、消防学校においては、より実践的な訓練を行える環境を整えていく必要があるという議論が行われている。
 また、現在の消防学校は岩手県広域防災拠点配置計画において、支援部隊の現場活動支援機能や災害医療活動支援機能などを有する拠点として位置づけられており、こうした機能を果たすことも役割のひとつとして継続していく必要があるという議論が行われている。

(3) 整備方針について

どのような機能を整備する予定か伺う。

【消防安全課総括課長答弁】
 整備方針についてでありますが、岩手県消防学校整備基本構想策定委員会におけるこれまでの検討においては、
 ・ 教育訓練施設については、複雑多様化する災害の現場での的確な判断力や対応力を養成できるよう、実践的な訓練施設を整備すること、及び救急業務や予防業務の高度化に対応するための専門的な知識と技能を習得できる施設とすること。
 ・ 寄宿舎については、プライバシーに配慮して、良好な学習環境を保つことができる施設とし、感染症対策も考慮したものとすること。
 ・ 広域防災拠点機能については、その機能を十分に発揮できる施設とすること。
などの意見があるところ。
 委員会では、こうした意見を踏まえ、あるべき消防学校の姿をとりまとめることとしており、県としては、とりまとめの内容を勘案しながら、来年度以降、整備基本構想を策定していく考え。

今後の県総合防災センターの在り方について伺う。

【消防安全課総括課長答弁】
 県総合防災センターについては、消防学校の整備基本構想の策定と並行して検討していく必要があると考えているが、現在のところ、その機能等についての検討は始められていないところ。