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県議会報告

令和4年度2月議会一般質問(令和5年2月27日(月))

2023.03.11

1 フューチャーデザインと行財政改革について

(1) 令和5年度当初予算編成について

 昨年、ニューヨークで発行されている「フォーリン・アフェアーズ」という世界的に権威のある外交専門誌に矢巾町のフューチャーデザインの取組みが紹介された。その論文で、「数日、数カ月、数年という短期的な視点は、根本的な長期的変化の可能性を見えなくしてしまう」と指摘されている。
 人口減少社会に転じた今、私たち県議会において議論すべきは、短期的な志向で、将来世代の資源を奪って成り立つ暮らしのままでいいのかということ。すなわち、「時間軸」と「地域軸」を意識しながらこれまでの構造を見直し、将来世代への負担を先送りしない「フューチャー・デザイン(FD)」の手法による行財政改革に取り組んでいくことが重要である。
 そこで知事に伺う。将来世代から見た場合、2023年度は県の行財政構造改革において、どのように岩手が変わった年(転換期を迎えた予算)だったと評価するか。将来世代への負担を先送りしない改革を今回の予算編成にどう反映しているか。

【知事】
 まず、令和5年度当初予算編成についてでありますが、人口減少といった構造的課題や地球温暖化といった世界共通の課題への対応を始めとして、多様な地域社会の維持・発展を通じて、将来にわたって住民の福祉の増進を図りつつ、安定的で持続可能な財政基盤を将来世代へ引き継いでいくことは地方公共団体に課された責務であると認識しております。
 そのような観点から、令和4年度には、有識者からなる行財政研究会において、将来の人口動態や財政動向等の分析を出発点として、希望ある岩手を実現するための施策の方向性や行財政改革の方策を議論しました。
 これらの議論も踏まえて、令和5年度当初予算編成においては、人口減少対策の強化など新たに掲げた4つの重点事項に対して1,060億円を措置し、特に子育て世帯への経済的支援の拡充に向けては、全国に先駆けて、親の所得や就業の有無を問わない普遍的な施策を創設するなど、近年にない水準で大胆な予算の重点配分を行いました。
 また、将来の財政負担の軽減と財政支出への備えを両立すべく、新たに4つの財政目標を掲げ、環境問題の解決のためのグリーンボンドや全国自治体では初めてとなるブルーボンドの発行に着手するなどの改革を進め、財政目標を全て達成する見込みとなるなど、大胆な予算措置と財政健全化の両立を実現しました。
 不断に行財政改革に取り組み、「いわて県民計画(2019~2028)」の着実な推進と財政健全化の両立を実現し、将来にわたって安定的で持続的な行財政基盤を構築して参ります。

(2) 4広域振興圏の検証について

 平成18年3月に4広域振興圏を設定。「将来の自治体」と見立てた地域振興「岩手四分の計」について、知事は2期目以降、広域振興圏の位置づけを大きく変更した。そもそも、広域振興圏の設定にあたり、県民の生活圏と乖離した枠組み、第二次医療圏や保健所、教育事務所など広域行政と結びつかない、整合性が図れないなど課題を指摘する声や疑問視する意見があった。17年が経過し、知事は広域振興圏の課題をどう評価しているのか、各圏域との整合性について改めて検討すべきと思うが、知事の認識を伺う。

【知事】
 次に、4広域振興圏についてでありますが、広域振興圏は、産業振興による地域経済の活性化を主眼として設置し、その所管する4圏域は、農林水産業や商工業等の地域の基盤となる産業の連続性・類似性の状況や地域の産業構造の特徴を踏まえ、より成果を上げていく視点で、いわゆる生活圏よりも広域の圏域として設定したものであります。
 この4圏域に設置している広域振興局が、産業振興の面では、ものづくりや食産業などの分野において連携組織を構築し、地域産業の強化やビジネスマッチングの促進、人材育成など、地域の特性やニーズを踏まえた広域的な施策を展開しています。
 広域振興圏と異なる所管区域となっている保健所や農業改良普及センターの運営については、それぞれ区域が重なる広域振興局との連携により、円滑に業務を推進しており、新型コロナウイルス感染症への対応においても、保健所への職員派遣や、検体輸送、患者輸送等の応援体制を講ずるなど、広域振興局のスケールメリットを生かした機動的な対応を図ったところであります。
 また、喫緊の課題である人口減少対策の推進に当たっては、市町村との連携を密にし、部局横断で取り組んでいくことが重要であり、総合事務所としての広域振興局の役割がますます重要になってまいります。
 今後においても、4広域振興圏を基本としつつ、地域の課題等に的確かつ柔軟に対応し、地域経済の活性化を図ってまいります。

 広域振興圏は、知事が就任する前の平成18年、増田県政の時に設定したものであるが、生活圏と乖離した枠組みであるとか、整合性が図れないという部分の課題について、知事はこの17年が経過してどう評価しているのか。17年経過した今の課題認識について、再度答弁をお願いしたい。

【知事】
 先ほど答弁したように、もともと広域振興局は産業振興の視点から、いわゆる生活圏よりも広域の圏域として設定したものであるため、議員ご指摘の生活圏との乖離は、そもそも岩手全体も4つの生活圏ではなく、より多くの生活圏があるわけで、広域振興ということで、4つの広域振興局が設けられていることを先ほど述べました。広域振興圏と異なる所管区域となっている保健所や、農業改良普及センターについても、それぞれの広域振興局の中に入っているので、連携してコロナ対応などでスケールメリットを生かした機動的な対応を図ったなどの答弁を行ったところです。

(3) 4広域振興局体制の在り方について

 将来世代の視点で岩手県の行政組織を考えた場合、それを支える基盤をどう立て直していくか。どんな改革により人員を具体的に生み出していくか喫緊に検討しなければならない。
 特に広域振興局体制については、「地域と しての自立を高める最適な枠組み」として「自立性・完結性」を目指して22年4月に立ち上げたと理解しているが、この方針に変わりはないか。新年度重点施策としてDXを推進する中、逆に広域振興局を縮小して本庁に権限を集中させ、直接やり取りする方向で見直しを図ることも考えられるが、今後の基本的方針を知事に伺う。

【知事】
 次に、4広域振興局体制の在り方についてでありますが、広域振興局は、広域性と専門性を旨とする県が市町村と連携しながら地域経営を担うものであり、局長には、その裁量で執行できる予算を措置し、地域の課題に即した、より実効性の高い施策を展開できるようにしています。
 今後も、これまでの取り組みの検証を進めながら、広域振興局長のリーダーシップのもと、現場主義に立脚した完結性の高い広域行政を推進することが必要と考えています。
 一方、DXの進展は、業務の効率化や品質の向上、距離の課題の克服等が期待できますが、現地・現場での対応が求められる農業分野や土木分野のほか、県民の安心安全を守る医療・福祉、災害対応など、地域事情に精通していることが重要な業務もあります。
 これらの業務は、広域の視点で市町村とも密接に連携することで、より実効性が高まるものでもあり、新型コロナウイルス感染症や台風災害等への対応にあたっては、広域振興局が機動的にその役割を果たしてきました。
 また、喫緊の課題である人口減少対策の推進にあたっては、市町村との連携を密にし、共に取り組んでいくことが重要であり、住民に身近な市町村と力を合わせることで、さらに効果の高い取組が期待できると考えております。
 こうしたことを踏まえ、今後においても、現在の広域振興局体制を基本としながら、DXを積極的に推進し、業務の不断の見直しや働き方改革、県民の利便性の向上を図りながら、地域課題等に的確かつ柔軟に対応してまいります。

(4) 専門人材の確保による市町村支援について

 国では、県が平時には市町村支援を行い、災害時に中長期派遣を行うための技術職員確保の仕組みを令和2年度に創設した。特に小規模市町村は、技術職員の確保ができなくなっている。
 一方で、橋梁やトンネルなど公共施設の老朽化対策は待ったなしであり、災害等が起こった場合は、相当規模の技術職員が緊急的に必要となる。また、市町村でデジタル関係の職員を確保するのは非常に難しい。
 県が、人材面で市町村をしっかりと支援することは、非常にニーズも高く、新しい県の役割であると考える。県の対応について伺う。

【ふるさと振興部長】
 専門人材の確保による市町村支援についてでございますが、県では、これまで、被災市町村における東日本大震災津波からの復旧・復興業務の遂行を支援するため、県からの技術職員の派遣のほか、県市長会や県町村会を通じた県内市町村からの職員派遣、さらには総務省を通じた全国の自治体からの職員派遣等の調整を行い、当該市町村における技術職員のマンパワーの確保を支援してきたところでございます。
 一方で、県においても、これまで、他県から多くの技術職員の応援を受けて復旧・復興業務を推進してきた状況にあり、国の復旧・復興支援技術職員派遣制度の活用は見送ってきたところです。しかし、復旧・復興事業の進捗に伴い、県においては他県からの技術職員の受入れは減少したほか、県プロパーの技術職員も通常業務へのシフトが進んできてございます。
 また、「いわて県民計画(2019~2028)第2期行政経営プラン」最終案におきましても、この復旧・復興支援技術職員派遣制度を積極的に活用することとしており、今後、市町村のニーズや意向を尊重しつつ、技術職員による人的支援について検討して参ります。

2 達増県政16年の検証について

(1) 知事の多選について

 知事は、原則2期8年の任期について、「知事の多選は好ましくない。3期、4期、5期といつまでも続けるのは好ましくない」(平成22年4月記者会見)と発言した本旨は何か。また、5期目に挑戦するとなれば、これまでの実績とこれから何を取り組むのか、という説明が3期目、4期目の時より強く求められる。そして、「選挙は自由」との建前論の下、特定の政治勢力への肩入れを続けるのであれば、その基本姿勢と行動が「県民の福祉の向上」に資することの説明を行い、何をやりたいのか、県民の判断を仰ぐべきである。知事の考えを具体的にお答え願う。

【知事】
 首長の多選については、行政の硬直化やマンネリ化を招くおそれがあることなどが指摘されており、私もかつて、知事の任期は原則2期8年が適当であると考えていましたが、大規模自然災害や今般の新型コロナウイルス感染症といった、かつてない危機に直面するなか、様々な県で当選回数を重ね経験豊かな知事の危機対応能力がいかされた例があります。
 私自身は、東日本大震災津波という未曾有の非常事態が発生し、岩手県として総力を挙げて復興に取り組む中、引き続き知事として県政を担わせていただきたいと考え、3期目の知事選挙に臨み、その後は、1期4年ごとの負託を選挙を通じて県民からいただき、何期目という数字を意識せずに知事の仕事に取り組んでまいりました。
 知事の政治活動については、知事としての行政執行ではなく、誰に対しても強制力を持たないものであり、岩手県民がどの政党を支持し、選挙でどの候補者を応援するかは、全くの自由であるという大前提の下で、政治活動を行っているものであります。
 政治そのものには地方行政の基本である住民福祉の増進を直接もたらす効果はないのではないかと思いますが、自由な政治活動が盛んに行われ、一人でも多くの主権者が主体的な判断に基づいて投票などの行動をすれば、住民福祉の増進に繋がる行政が実現する可能性が高くなると思います。
およそ政治活動というものは、選択肢を増やしたり、情報を増やしたりすることで人々の自由を引き出すものです。だからこそ、民主主義国における政治活動は、公益に資するかけがえのない大切なものであり、他の様々な活動より優先しうるものなのではないでしょうか。
 議員の質問には選挙は自由、これは私が言う政治は自由のことだと思いますが、それを建前論と述べ、特定の政治家や政党への支持を特定の政治勢力への肩入れとネガティヴに表現し、政治の本質が自由であることを否定しているように受け取られかねないところがあると感じられます。政治の本質はやはり自由なのだということを共通の考えを持つ人たちとともに岩手から広げていきたいと思う。

(2) 多選の弊害について

 東北大学河村准教授は「職員が県民を見ず、知事を見て行動パターンを決めるようになる」「自分が一番知っているという意識が生まれる。いさめる人も出てこなくなる」と多選の弊害を指摘している。知事はこれらの弊害を乗り越えるための「非常に大事な工夫(方便)」について、具体的にどんな工夫をしてきたのか、今後さらにどう工夫をされるのか伺う。  

【知事】
 多選の弊害として、行政の硬直化やマンネリ化などが指摘されるところでありますが、私はこれまで、部局横断型のプロジェクトチームによる事業の推進や広域振興局職員との意見交換など幅広く職員からの意見を取り込むとともに、各種団体からの提言や県内各地域で活躍する住民等との懇談会を通じて県民から直接意見を伺うなど、積極的に様々な意見・提言を取り入れながら、硬直化やマンネリ化に陥らないように県政運営を行ってまいりました。歴代知事の中でも、最も職員との話し合いに時間をかけている方だと思いますし、県民と触れ合う機会についても、最も多い方だと思います。
 また、3期目からは何期目という数字を意識せずに知事の仕事に取り組んできたところであり、今後におきましても、1期4年ごとの民意の負託を受けたものとして、与えられた任期の中でなすべきことをなすということを考えて県政を運営してまいります。
 議員は多選、多選とおしゃいますが、実際、選挙では1期4年分の負託が問われるものであり、3期目におきましても4期目におきましても、それぞれ1期4年ごとの民意の負託を得て知事職をしているものであります。

 高潔な人格者で優れた施策を展開し、住民のためによく奉仕すると多数の支持を得られているのであれば、多選は問題ない。しかし、意思決定の独善化、側近政治の横行、職員の士気低下といった現象が現れているのであれば、話は別だ。
 知事は、職員との意見交換も積極的に行い風通しのよい組織に取組んでいるとのことだが、職員の長期病休者率は全国上位。精神疾患実人員は、H26年54人⇒R3年106人と倍増。特にも、20代・30代はR3年58人でH26年15人の約4倍。どこが風通しのよい職場と言えるのか。

絶対の権力を持つ知事のポストを長期にわたって1人が独占するのは、民主主義のルールとしてよろしくないと思いますが、知事の考えを伺う。

【知事】
 民主主義のルールは1期4年ごとに有権者に選んでいただいているわけでありまして、有権者は何十年分とかを選んでいるわけではなく、それぞれ1期4年分ごとに有権者が選んだ人が知事職をやる、民主主義の原則に則った選挙が岩手では行われていると思います。

 この質問は、2006年、当時の小沢一郎民主党前副代表(県連最高顧問)が「増田知事がいい悪いということではない。絶対の権力を持つ知事ポストを、長期にわたって1人が独占するのは民主主義のルールとしてよろしくない」と増田知事の4選を支持できないと強調した発言そのもの。「選挙は自由」なのに、民主主義のルールはどこに行ったのか。ご都合主義ではないか。権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗するとの歴史の教訓がある。

(3) 知事の退職手当について

 知事は県議会で、退職金廃止を掲げた理由を「知事には高額の退職手当が支給されることに疑問を感じていた。本県の財政が大変厳しい今、少しでも県民の暮らしと仕事の向上に役立つ税金の使い方をすべき」と答弁。実質公債費率、将来負担率等、各種財政指標は全国下位に位置する極めて厳しい県財政の中、しかも震災後、復興で本県財政が大変厳しい状況の中、3期目から退職手当(1期あたり3800万円程度)を受給し政策を180度転換した本旨は何か。条例改正がないが、4期目も受給するのか伺う。

【知事】
 議員ご指摘の経緯もあって、1期目、2期目、退職手当を受け取らなかった訳でありますけれども、総合的に判断し、3期目以降、退職手当に関しては公約にしていないものであり、退職手当を受け取らない条例の提案等はしていないところであります。

(4) 県立大学理事長の報酬について

 地方独立行政法人の県立大学理事長の報酬が、前職の理事長の62万6千円から約5割アップの99万7千円に増額された。
 報酬改定の基準について、「地方独立行政法人法を踏まえまして、国及び地方公共団体の職員の給与、それから他の一般地方独立行政法人及び民間の役員の報酬等のほか、現理事長が特別職の現職時代、特別職であったということを考慮しまして、前職における給料を参考に決定した」と聞いているが、これは言わば一般的な改定基準である。
 県立大学は県から毎年35億円もの運営交 付金が交付されている。厳しい財政状況を踏まえ、徹底した歳出の見直し、職員体制のスリム化、県出資等法人の見直しなど、県や大学は改革プログラムを推進していると認識しているが、理事長職の報酬の考え方、報酬改定の明確な基準・根拠について伺う。

【ふるさと振興部長】
 県立大学理事長の報酬の考え方、報酬改定の基準・根拠についてでございますが、公立大学の理事長を含む役員の報酬につきましては、地方独立行政法人法第48条第3項の規定により、国及び地方公共団体の職員の給与、他の一般地方独立行政法人及び民間事業の役員の報酬等、当該一般地方独立行政法人の業務の実績、その他の事情等を考慮して定めなければならないとされており、県立大学においても法の規定に則り報酬額を決定していると聞いてございます。
 なお、今般の報酬改定に当たりましては、他の公立大学法人の理事長報酬、それから、学内の他の役員の平均給与との均衡を勘案し、外部理事を含む役員会議による審議を経由したうえで決定したものと聞いているところでございます。

 理事長給与は、法人化後からどんな方が就任してもほぼ同額の報酬。これが県大のルール。属人的ではなく、職責自体の報酬基準である。学長だって、県の幹部も仕事ができるからと言って5割増の給与は払わない、職位で決めている。現理事長は県大で就任要請したわけではなく、知事が任命しただけ。従って従来の報酬が前提になる。報酬を上げるように知事が指示したのか。 Yes or No?

【知事】
(県立大学理事長の報酬について、報酬を上げるように指示を出したかどうかについての答えは、)ノー(であります。)。

 県大は教員、事務局職員の総人件費抑制に取り組んでいて、その中でトップ自らの報酬を上げるのは理に合わない。県大のこれまでのルールを無視し、知事が県大を私物化しているとの疑念を持たれかねない事を心配している。物価高騰で燃料費なども高騰し、大学運営は厳しいと聞いている。生徒からも「理事長の給料を学長以上にもらっていることに疑問の声を聞く。その経費を学生のために使って欲しいとの声もある。

(5) 政務秘書の必要性について

 他の自治体をみると、青森県、秋田県、宮城県、大阪府、京都府、兵庫県など全国38府県では、厳しい世間からの指摘などを受けて特別秘書職を設けていない。政務秘書の業務は、「政治的活動に関わる秘書業務など、一般職の秘書に対応させることが適当でない業務や、行政事務と政務との調整などをおこなっている」とのことだが、年間765万円、達増県政では約1億1千万円もの県費をかけて積極的に設置する本県特有の理由を伺う。

【知事】
 政務秘書は、地方公務員法に規定する特別職の職員であり、同法に基づき、本県の特別職の指定に関する条例においても特別職と指定されているとおり、制度上認められているものであり、それぞれの知事の政策判断により設置されていると考えます。本県においては、千田正知事、中村直知事、増田寛也知事の時代にも、政務秘書は活躍しており、政務秘書が知事を支えながら、県民とともに県勢発展に尽くしてきた歴史があります。
 私も、その歴史を踏まえ1期目から15年以上、政務、政治活動に関わる秘書業務など、地方公務員法に基づく政治的行為の制限を受けている一般職の秘書に対応させることが適当でないと判断される業務や、行政事務と政務との調整のため政務秘書が必要と考え、これまで任用してきたところであります。
 長野県知事特別秘書に係る訴訟の判決において、「知事という特別職に属する公務員は、かえって政治的に活動することによって公共の利益を実現することも職分とする公務員であり、その政治的活動に係わる政務につき、公務員としてこれを補佐する秘書を設けることが、その職務の円滑、効率的な遂行に資するもの」として判示されております。私が政務秘書とともに、そして、県民とともに県勢発展に尽くしてきているということについては、多くの県民の皆さんに御理解いただけるものと考えております。
 また、先程答弁したとおり、岩手県内で自由な政治活動が盛んになるほど、住民福祉の向上の可能性は高まると思いますので、臼澤議員とも矢巾町内等でトークライブ、政策討論など、やりたいと思います。是非、政務秘書を通じて調整していただきたいと思います。

(6) 政務秘書の勤務状況について

 特別職である政務秘書は、地方公務員法の適用外とされ、勤務時間や休暇等の定めもないが、地方自治法附則第5条に基づき職務専念義務や守秘義務等の服務規律が定められている。知事は、政務秘書の勤務実態をどう把握しているのか。勤務日数、在庁時間、さらに昨年の国政選挙に関わった日数を含め、政務秘書が政治活動に従事する実態を示せ。

【知事】
 政務秘書は、地方公務員法に規定する特別職の職員であり、同法に基づき、本県では特別職の指定に関する条例に規定があります。一般職の職員については、地方公務員法等により、服務及び勤務時間について定められている一方、知事、副知事、政務秘書などの特別職については、そのような定めが適用されないものとして同法で規定されているところです。ただし、特別職職員の登庁日数については、秘書課で把握しております。また、政務秘書の勤務状況の確認については、知事である私が直接行っています。
 勤務の内容については、私の公務日程を公表しているのと同様、副知事の公務日程について公表しておりますが、私の政務日程を公表していないのと同様、私の政務を代行している政務秘書の日程は、公表する必要がないものと考えております。
 なお、公務においても、誘致企業との折衝などは公表していないところであり、それと同様に、政治活動は相手のあることでもあり、明らかにする必要はないものと考えております。

 問題は、服務管理の問題と、業務内容の問題の2点。地方公務員法の政治的行為の制限を受けないから、知事の仕事と全く関係のない選挙運動まで認められると解釈するのは、制度の乱用、逸脱している。採用基準も不明確。特別職給与審議会にもかからず、給与基準の妥当性も不明確。勤怠管理もされず、地方自治法に基づく職務専念義務や守秘義務等がどうやって守られているのか、情報開示を求めても全てゼロ回答。
 知事は、県民の福祉の向上のためにトップとして県行政を推し進めること。しかもその影響力は、何の制約のなく「自由」に行使されるべきではなく、あくまでも「県民の福祉の向上」に行使されるべきもの。政務秘書についても、「県民の福祉の向上」に行使すべきもので、法令に違反しなかったら何をやってもいいという考え方が組織の私物化を許すことになる。選挙の運動をするというのは、知事が指示しているのですか。

【知事】
 私の下で、先程述べたように政務秘書が勤務をしているということでございまして、先程申し上げたような、臼澤議員と私のトークライブ、政策討論などを実際やろうというような場合に、まずは政務秘書を通じて調整をしていただこうと思う訳でありますけれども、例えば今、そう判断したことを、まだ直接本人に伝えておりませんので、これから伝えるなど、そういった仕事の段取りは一緒にやっていただければ、よくわかると思います。

(7) 立憲民主党岩手県連について

 先日、立憲民主党岩手県連が階猛衆議院議員に謝罪したとの報道を目にしたが、知事は 2021 年衆議院選挙での女性候補の擁立に深く関わっているが、先日立憲民主党がその対応について階氏に謝罪をした。知事は擁立に深く関わり、女性候補についてはスターウォーズに例えてコメントしていた。知事は謝罪すべきことだと考えるか、謝罪すべきでないと考えるか。

【知事】
議員ご指摘の内容については、過日の新聞報道で初めて知ったところでありますが、私からは特にお話しすることはないものであります。

(8) 4つの危機に対する対策の検証について

 平成19年の就任当初、知事は4つの危機(人口流出の悪化、県民所得の低迷、雇用の低迷、地域医療の危機)を掲げ、岩手の「危機を希望に変える」と訴えてきたが、この16年間でそれぞれの危機がどんな希望に変わったのか。
 社会減6千人台が4千人に、国民所得と県民所得の乖離の水準が7割から8割に、正社員有効求人倍率が0.31から0.96に、人口10万人当たり医師数186人から223人に改善したと胸を張るが、幸福度指標達成状況を見ても、合計特殊出生率D評価、平成19年の達増知事就任時、全国22位が36位と大幅に後退。出生数の減少割合は19年を100とすると令和3年全国74.5に対し本県は62.6まで落ち込んでおり、10ポイント以上の差が拡大した。
 また、一人当たり県民所得水準は、復興需要の影響もあり全国39位から35位と少し改善するものの、正社員の有効求人倍率はD評価、全国35位が34位、東北順位5位から6位。医療施設従事医師数も全国42位と成果が決して改善しているとは言えない状況である。
 県民が直面している危機の本質とは何か。どこにその根本原因があり、いかなる手を打っていけば良かったと考えているか。

【知事】
 いわゆる4つの危機は、私が知事に就任する平成19年(2007年)の以前に、いずれもかなり悪化傾向にあり、まさに危機的な状況を迎えていたものであります。
 人口の社会減については、平成7年(1995年)には年間329人だったわけですが、就任した平成19年(2007年)には、そこまで毎年1,000人ずつ人口の社会減が増え、6,709人にまで急速に拡大し、そのままでいれば人口の社会減は7,000人を超え、8,000、9,000、10,000人にまで及ぶかもしれないという危機的な状況でありました。
 県民所得につきましては、もともと岩手県は国民所得の8割を超える水準にあったわけでありますけれども、2000年代に状況が悪化し、平成18年(2006年)に8割を割り込んで70%台になり、さらにそれが減っていくのではないかという危機的な状況でありました。
 それらと深く関係するわけですが、雇用環境が非常に悪く、有効求人倍率が1.0に満たない期間が長く続き、正社員の有効求人倍率に至っては0.3というような数字、岩手県で若い人が働きたいと思えば、県外に出る方が多数という、そういう危機的な状況でありました。
 そして地域医療については、全国でも医師の偏在や診療科の偏在が叫ばれ、地域医療の崩壊ということが当時全国的に懸念され、その中でも、特に岩手が危機的な状況だったわけであります。
 これらの危機に対して、若者などに対する県内就職やU・Iターンの促進、ものづくり産業の集積などの総合的な産業振興、医学部定員の拡大や奨学金養成医師の増加といった施策を講じ、危機の悪化を食い止め、反転に繋げ、希望へと変えていく取組を行ってまいりました。
 その結果、人口の社会減については、2,000人台、4,000人台のあたりで最近推移し、 県民所得については、国民所得の9割弱にまで水準が上昇、雇用環境については、有効求人倍率が1.26、正社員でも0.96まで上昇、人口10万人当たりの医師数が、平成18年の186人から223人に増加など、取組が成果になって現れているものと認識しております。
 危機といいますのは、それを放置しておけばどんどん悪くなる、それを危機と申しまして、それに対応することで、それ以上の悪化を食い止め、このようにすれば悪化しない、さらに、このようにすれば上向いていくということがわかって、そういうことに取り組むとき、そこに希望が生まれるわけでありまして、現在この四つの危機に関して、岩手県は希望を持って取り組んでいると言えると思います。

(9) 人口減少の課題と取組について

ア 人口減少が及ぼす影響の分析等について

 人口減少、特に生産年齢人口の減少(2015年⇒2045年)は、全国の減少率▲27.7%に対し本県は▲43.2%と大きく上回るペースで減少することが見込まれ、本県の各政策課題に大きな影響を及ぼす喫緊の課題である。
 人口減少がこのまま進めば、地域の経済、生活、医療介護、公共インフラ、道路河川等の社会資本の維持管理などがどういう状況になるかを、具体的かつ詳細に想定することが必要であり、現状の実態調査と住民との意見交換を通じた課題整理を市町村と協議を重ね取り組むべきであると考えるが、県はどのように取り組んでいくのか伺う。

【ふるさと振興部長】
 人口減少が及ぼす影響や市町村との連携等についてでございますが、人口の減少は、各地域における様々な需要の減少をもたらし、地域内からの各種サービス産業の撤退や減少などにつながりやすいとの指摘があるほか、こうした生活利便性の低下が更なる人口減少のきっかけとなるなど、地域の社会システムの維持・存続に大きな影響を及ぼすことが懸念されております。
 人口減少問題については、県と市町村が密接に連携して取り組んでいく課題であり、いわて県民計画(2019~2028)第2期アクションプランの策定に当たっては、知事と市町村長との意見交換や県内5か所での地域説明会をはじめ、医療・福祉、商工・観光・雇用、農林水産、建設等の様々な分野において関係団体から広く意見をいただき進めてまいりました。
 今般の「まち・ひと・しごと創生法」に基づく国の総合戦略の抜本改訂を受け、県や市町村においても地方版総合戦略の改訂が求められており、多様な主体からの意見を踏まえながら、丁寧に進めていきたいと考えてございます。
 市町村の戦略改訂を含め、人口減少対策に当たりましては、県として、現場の広域振興局による市町村の各種協議等への参画をはじめ、「県・市町村人口問題連絡会議」及び「県・市町村地方創生推進連絡会議」の場や個別の議論・協議などを通じて、県内外の先進事例を共有し地域課題等について意見交換を行っていくとともに、広域振興局長の裁量で執行できる地域経営推進費等も効果的に活用しながら、その推進を図ることとしており、今後においても、市町村との共通認識のもと、地域の実情を踏まえた人口減少対策に最優先で取り組んでまいります。

イ 農業農村社会の活性化について

 特に、一次産業比率10%と全国最大規模で農林水産業を基幹産業とする本県にとって、人口減少の歯止めとともに、人口減少に適応した農業農村の地域づくりという2つの課題に取り組む必要がある。
 出生率を高め、自然減・社会減対策を進 める上で、中山間地域を含めた農業農村社会の活性化が重要であり、地域運営組織等の育成や農村RMOの取組みも一つの重要な政策の視点。県内で積極的に進めていく必要がある。
 「地域としての自立性を高める最適な枠組み」として「自立性・完結性」を目指すならば、広域振興局が主導し、もっと踏み込んだ対策を地域ぐるみで取り組むべきではないかと考えるが、県の認識を伺う。

【農林水産部長】
 農村地域の活性化に向けては、生産者や地域住民をはじめ、市町村や県など、多様な主体が連携・協働し、地域資源を最大限に活用しながら、地域コミュニティ活動を活発化していくことが重要と考えている。
 県では、これまで、各広域振興局等県内10か所に、農政や農村整備の職員、農業普及員で構成する支援チームを設置し、市町村等と連携しながら、自然や食などの地域資源を生かした都市住民との交流や、6次産業化などの取組を支援してきたところ。こうした取組に加え、本年度は、奥州市や遠野市において、国事業を活用し、農地の保全や生活支援等に取り組む農村RMOの形成に向け、活動計画の策定を支援している。
 令和5年度は、広域振興局等の支援チームと、市町村、NPO等が連携した支援体制を新たに構築し、農村RMOの形成に向けた取組が全県で展開されるよう支援することとしており、引き続き、農村地域の活性化に向け積極的に取り組んでいく。

3 持続可能な県立病院改革について

(1) ハイボリュームセンターの整備について

 知事就任時、医師不足及び医師偏在の課題について、議会において県立病院改革の必要性を訴えていたが、いつ、改革に着手するのか。
 本県と同じように医師少数県である新潟県においては、持続可能で質の高い医療を提供し続けるためのグランドデザインを福祉保健部において示した上で、「地域で高度な医療を支える柱となる病院」として県央基幹病院の整備に既に着手している。「持続可能で希望ある岩手を実現するための行財政改革に関する報告書」においても、同様の趣旨であるハイボリュームセンターの必要性が言及されており、本件でも新潟県同様の課題が生じていると考えるがどうか。今後、ハイボリュームセンターを整備していく準備はあるか伺う。

【保健福祉部長】
 議員御紹介の新潟県の「県央基幹病院」の検討については、圏域において、県・市町村・労災病院等、多種多様な公立・公的病院が近傍に複数立地するとともに、救命救急医療や高度・専門的医療、地域医療等の拠点的な機能を担える中核病院がなかったことから、公立・公的5病院の急性期機能を集約した、病床数400床の中核病院として整備が進められているものと承知している。
 本県の行財政研究会の報告書においては、医療の高度・専門化に対応し、かつ高い習熟度を持つ医療スタッフを有する病院による最新医療等を、居住地域から至便な範囲で確保するため、基幹病院を統合したハイボリュームセンター整備の必要性が述べられており、今後、県内の基幹病院施設の更新が検討される際には、病院管理者のみならず地域の医療関係者等による丁寧な議論が必要と考えている。
 新潟県と同様に医師不足及び医師偏在の状況であることや、本県では、地域によっては、高度・専門的医療に加え初期医療についても基幹病院が担っている現状を踏まえ、県では、令和6年度からの次期岩手県保健医療計画の策定に向け、県民が地域において安心して身近な医療を受けられる体制とともに、高度・専門化に対応した医療を持続的に提供するため、がんや循環器疾患をはじめとした疾病・事業ごとに、専門人材や高度医療機器の配置の重点化を見据えた広域的な医療圏の在り方について、専門家の意見等を伺いながら検討を進めていく。

(2) 市町村との役割分担等について

 医療圏の人口が不足している地域においては、新潟県を参考として、その近接度合いなどを勘案して、重点支援区域を設定して国からの技術的・財政的支援を受けながらより良い医療の提供のための体制構築を検討していくべきではないか。
 また、その際には、行財政研究会の報告書にあるとおり市町村の実施する介護事業等との連携は必要不可欠な視点であり、今後、病院事業を持続可能な形で維持していくにあたって、市町村との役割分担や負担を求めるといったことも検討するのか伺う。

【保健福祉部長】
 重点支援区域については、先ほど答弁申し上げました、新潟県の事例のように、地域医療構想を推進する観点から、各圏域の地域医療構想調整会議の合意に基づいて、複数医療機関の医療機能の再編や統合等を行う必要がある場合において、都道府県が申請し、国による選定を経て、技術的・財政的な支援が行われているところです。
 また、行財政研究会の報告書においては、県立病院等の地域の医療機関と、市町村が主体となる介護保険事業等との連携が不可欠であり、時代の変化に対応した新しい連携を検討する必要がある旨、指摘がなされているところであります。
 次期保健医療計画の策定に当たっては、地域包括ケア推進の観点から、主に市町村が役割を担っている健康増進等の保健サービスや、介護事業と連携した在宅医療提供体制の整備等、市町村との更なる連携や役割分担の在り方を含め、県民や医療関係者等の意見を伺いながら検討を進めて参ります。

4 教育立県岩手の再構築について

(1) 不登校児童生徒への対応について

 不登校児童生徒は2,200人を超えているが、教育支援センターに通われている児童生徒は121人と全体の5%程度となっている。新年度予算に、未設置の町村への設置補助が計上されているものの、それでも教育支援センターの活用は1割に満たないのではないか。
 また、高校生を対象とした教育支援セン ターは設置されているものの利用者はないとのことだが、これはなぜか。昨年の決算特別委員会で「現在、高校生の利用がないことから、今後は、多様な教育ニーズへの対応の一つとして教育支援センターを活用する等、県立学校にもセンターの利用を促していきたい」との答弁があった。教育支援センターを含めた今後の対応について伺う。

【教育長】
 これまで県教育委員会では、文部科学省から発出された「不登校児童生徒への支援の在り方について」の通知等に基づき、不登校児童生徒の支援に関する基本的な考え方の周知等による教育機会の確保に努めてきたところ。
 不登校児童生徒の増加を踏まえ、令和5年度当初予算案では、市町村が行う教育支援センターの設置に要する経費に対する補助を新たに計上しており、未設置の市町村には教育支援センターの開設を促すなど、相談・支援体制の強化を図っていくこととしている。
 なお、県の教育支援センターは総合教育センターに設置され、令和3年度は約1,200件余の相談業務等の実績はあるものの、教育支援センターとしての利用には至っていないところであり、市町村の教育支援センターにおいても、高校生の活用等も求められていることから、今後は、オンライン等を活用した学びの場や居場所としての利用に努めていく考え。
 また、不登校児童生徒の支援を協議することを目的として開催しております「不登校児童生徒支援連絡会議」におきまして、ICTを活用した学習支援に関する情報共有や学校との連携の在り方等について議論を行っているところ。今後も、一人一人のニーズに応じた多層的な学びの場の確保に努めていく。

(2) 不登校対策に係る知事の思いについて

 先月、特別委員会調査で広島県を視察。知事や教育長の強いリーダーシップのもと、不登校SSR推進校への支援や教育支援センターSchool’sの取組み、AIモデルを開発し児童虐待リスクや将来的な長期欠席リスクについて分析した子どもの予防的支援構築事業などの子ども子育て・教育改革の取組に感銘を受けた。
生徒の学びの環境を整えるといった視点で、県教委としてもっと踏み込んだ不登校対策、「学びのセーフティーネット」機能の充実強化を図るべきではないか。
 後ほど触れる共創教育に数億円の予算を投資するのも理解するが、例えば、星北高等学園のノウハウを生かし、不登校モデル校に指定し、他の私立学校と差がない支援を行うことこそが、誰一人取り残さない教育の本旨ではないか。
 総合教育会議を主宰する知事の不登校対策に対する覚悟を伺う。

【知事】
 不登校の背景や要因は多岐に渡り、個々の児童生徒の状況も多様である中、各学校においては、児童生徒一人ひとりの状況に応じてきめ細かに対応しているところであり、県教育委員会は、魅力ある学校づくりによる不登校の未然防止や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを配置し、不登校対策に取り組んでいます。
 また、不登校児童生徒に対する多様な教育機会の確保に向けて、フリースクール等民間団体との連絡会議を開催しており、今年度、この連絡会議に新たに市町村教育委員会の教育支援センターの担当者も加え、不登校児童生徒の支援や学校との連携の在り方等について議論を行ったと承知しています。
 私立学校では、これまでも私立高等学校において、不登校等を経験した生徒等を受け入れてきています。
 こうした中、近年、私立専修学校高等課程である星北高等学園においても、これらの生徒等の受入れに積極的に取り組み、生徒数も増加しているところです。
 同校では、大学入学資格付与校として全日制の高等学校と同等の教育を行っていることも踏まえて、教育環境の充実が図られるよう、令和5年度当初予算案において、大学入学資格が付与される私立専修学校高等課程の運営費補助について増額したところです。
 不登校対策は本県においても重要な課題であり、今後も、児童生徒一人ひとりの支援ニーズを的確に把握するとともに、児童生徒の居場所が確保できるような仕組みの構築に向けた県教育委員会の取組に期待します。

(3) 高校再編について

 他の都道府県では、愛媛県や長野県が今後の少子化に対応するために、10校以上を対象とした高校再編を発表している。将来に引き継ぐべき高校のあり方として、一定程度の学級数を確保した高校を残していくというのは非常に理解できる。
 これを本県にあてはめて考えた際に、本県では高知県に次いで小規模校化が進行しており、また、今後の15歳未満人口の減少率は全国と比べても速いスピードで減少するとされている。
 このような状況に対して、しっかりと生徒視点に立って、ニーズを把握した上で、それぞれの学校の特色化、魅力化に努めた上で、中長期にわたる抜本的な高校再編案を示すべきでないか。その際、9つのブロックを撤廃することは必要不可欠と考えるがどうか。

【教育長】
 令和3年5月に策定した「新たな県立高等学校再編計画後期計画」の検討に当たり、本県の高校の在り方において目指した姿は、どの地域に居住しても高校教育を受けられる機会の保障と、将来の高校生も充実した高校生活を送ることができる環境の整備であり、この実現に向け、地域の小規模校を維持した上で、高校魅力化の推進や教育の質の確保等に向けて取り組んでいるところ。
 今後、一層進行することが見込まれる中学校卒業予定者数の減少に応じた教育環境の構築に向け、令和5年度から、次期再編計画の策定に向けた県立高校の在り方についての検討に着手することとしており、後期計画期間後においても、中長期的な視点に基づき、広い県土を有する本県の地域特性も考慮しながら、教育の質の確保等に向けて取り組むことは欠かせないことであると考えている。
 検討に当たっては、中学生等へのアンケート実施、並びに、外部有識者や地域の方々等の意見を広く伺いながら、子どもたちにとってより良い教育環境が維持されるよう丁寧な議論を進めていきたい。

(4) 矢巾町との共創プロジェクトについて

 魅力ある学校施設の充実や実効性の高い指導体制の拡充に向けて、その前提としては一定程度の学級数を確保した学校を残していくことが必要。その上で、どのような施設を生徒が求めているかどうかの調査を行うべきではないか。
 今回の予算においては、矢巾町との共創プロジェクトは県と矢巾町との調整の上で整備をしていくとのことだが、住民や生徒が求めているものとなっているのか伺う。

【教育長】
 矢巾町との共創プロジェクトについてですが、令和7年度に盛岡南高校と不来方高校の統合によって開校する統合新設校は、1学年8学級の規模であり、盛岡南高校で実践されてきた「盛南スポーツ学」を継承するためにも、新たな屋内運動施設の整備が必要であったところ。
 施設の整備に当たっては、不来方高校に隣接する町有地を活用することとし、学校で使わない時間帯は、町民等に開放することによって、活動場所の確保にも資する共創空間の実現を目指しているもの。
 来年度には、学校、矢巾町、県教育委員会及び地域の関係機関の担当者等によるワークショップを開催することとしており、幅広く意見を伺いながら、教育活動・地域交流拠点として、より良い施設となるよう整備していく考え。