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県議会報告

令和2年度2月定例会 予算特別委員会(保健福祉部)(令和3年3月15日(月))

2021.03.20

1 児童虐待対策について

(1) 虐待相談対応件数の現状について

コロナ禍の虐待相談対応件数の現状について伺う。

【子ども子育て支援室長答弁】
 児童虐待相談対応件数の現状でありますが、本県の児童相談所における令和元年度の虐待相談対応件数は1,427件であり、前年度比で249件、21.1%の増となっております。また、コロナ禍ということで今年度の状況ですが、現時点では微増という形で推移しておりまして、昨年度までの大きく増加している状況と比べますと、増加の幅は少ない状況となっております。

(2) 一時保護所の状況について

一時保護所の現在の状況について伺う。

【子ども子育て支援室長答弁】
 一時保護所の状況でありますが、県内に3か所設置している児童相談所は、いずれも建築から40年以上が経過し老朽化が進んでおりますことから、一時保護した児童が生活する一時保護所の環境改善が必要と認識しております。
 昨年度、福祉総合相談センターの一時保護所の個室化等の改修を行いました。今、一時保護所の個室化が求められておりますので環境改善と併せて個室化への対応を進めているところです。
 今年度から来年度にかけて宮古児童相談所の全面改築工事を進めているところであり、個別支援が可能な個室を基本とした整備を進めることにより、一時保護児童の生活環境の改善に取り組んでいるところでございます。

(3) 児童相談所の体制強化への取組について

人員体制について来年度も含め、どのように対応していくのか。また、経験年数の浅い職員の育成をどう図っていくのか。

【子ども子育て支援室長答弁】
 児童相談所の人員体制についてでありますが、年々増加する児童虐待相談に対応するため、児童相談所の専門職員の計画的な増員を行ってきたところであり、今年度は児童福祉司を7人、児童心理司を3人増員したところでございます。
 来年度につきましても、児童福祉司を4人増員することとしており、引き続き専門職員の計画的な増員を進めて参りますとともに、児童福祉司任用後研修や警察との合同訓練の実施などにより児童相談所職員の専門性の向上に努めていくこととしております。
 経験の浅い職員の専門性の向上につきましては、児童福祉法の改正により、児童福祉司に対する任用前講習、任用後研修、スーパーバイザー研修の受講が義務付けられたところでございます。
 このうち児童福祉司のスーパーバイザーへの研修につきましては、本県では、横浜市にある子どもの虹情報研修センターに委託し、前期・後期に分けて計6日間の研修を実施しており、これまでに10名の児童福祉司が修了しております。このスーパーバイザーが経験の浅い職員を指導することで体制強化の取組を進めているところでございます。

(4) 見守り体制の強化について

見守り体制の強化を県民参加型でどう進めていくのか、予算にどう反映していくのか伺う。

【子ども子育て支援室長答弁】
 コロナ禍で、児童虐待のリスクの高まりが懸念されているところでございます。市町村や児童相談所におきましては、昨年4月に国が打ち出しました子どもの見守り強化アクションプランに基づきまして、民生委員・児童委員や自治会、子育て支援団体など地域で活動しておられる方々による見守り活動の強化に取り組んでいるところでございます。
 また、要保護児童対策地域協議会を中心として地域の関係機関が連携を図りますとともに、県としては、児童相談所全国共通ダイヤル189の周知などにも取り組み、児童虐待の早期発見・早期対応に努めて参ります。
 予算として特段、追加するものはございませんが、ただいま申し上げました取組を強化して参ります。

2 コロナ対応による業務量の増加・人財不足、看護師のストレス増加について

(1) 現状把握・調査について

新型コロナウイルスの流行が長期化する中、感染患者のケアに疲弊した看護師ら看護職員の離職者の状況はどうか。
また、看護職員のサポートが急務と考えるが、県看護連盟と連携し、現状把握(調査)が必要と考えるが、所見を伺う。

【特命参事兼医務課長答弁】
 現状把握・調査についてでありますが、県内の看護職員の退職者については、公的な統計はないため把握していないところであるが、県立病院の状況について申し上げると、看護師の普通退職者は、令和元年度は2月末で47名、令和2年度は2月末で28名と聞いている。
 退職者数は増えてはいないが、現場での負担は増加していると聞いており、関係団体から調査・情報収集し、新型コロナウイルス感染症対応の看護職員の現状把握に努めていく。

(2) 看護職員の増員と処遇・手当について

看護職員(看護師や看護補助者等)の増員、夜勤人員の増員など、過酷な労働環境を早急に改善しなければ離職に繋がり負の連鎖が起きることが懸念される。
併せて、看護職員への危険手当の保障や休業することになった場合の保障、心身のケアに対する保障を含めた対応はいかがか。

【特命参事兼医務課長答弁】
 看護職員の増員と処遇・手当についてでありますが、多くの新型コロナウイルス感染症患者を受け入れている県立病院では、感染者への対応に従事した職員には、一定期間休養をとってもらい、患者対応が多い病院に対しては、応援職員を派遣するなどの対応により、看護職員に過度の負担がかからないよう配慮していると聞いている。
 危険手当については、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる全ての医療機関において制度を設けているところであり、それらの医療機関の負担軽減と医療従事者の待遇の向上を図るため、今般の補正予算及び当初予算案にそれらの医療機関に対し危険手当の支給経費を補助する事業費を計上したところ。
休業補償については、労災保険以外にも、国の直接執行により、労災給付の上乗せ補償を行う民間保険に加入した医療機関を対象に、保険料の一部を補助する事業が行われており、県においても県内医療機関に周知しているところ。
 心身のケアについては、県立病院では、定期的に面談を行い、精神不安が見られる職員には、臨床心理士等による個別カウンセリングなどの対応が行われているほか、県看護協会など関係団体や一部医療機関においても相談窓口を設けるなどの対応が行われていると承知している。
今後とも、新型コロナウイルス感染症に対応する医療従事者に対して、必要な支援を実施していくため、国の予算などを活用しながら取り組んでいく。

(3) 業務軽減のための清掃業務委託について

コロナ対応の看護師に業務軽減のための清掃業務委託は進んでいるのか。
本県の現状と今後の対応はどうか。

【特命参兼医務課長答弁】
 事業務軽減のための清掃業務委託についてでありますが、県立病院においては、通常区域はこれまでどおり清掃請負業者の作業員が清掃を行っているところであるが、新型コロナウイルス感染患者が入院している病室等の感染区域については、作業員の感染対策に関する知識や経験が十分ではなく、感染リスクを高めてしまう懸念があること、また、業者側からも懸念が示されていることから、現時点では、ほとんどの場合、感染対策に関する知識を有する看護師が清掃を行っており、県立病院以外の入院受入医療機関においても、同様の状況にあると聞いている。
 このため、県においては、昨年12月20日の全国知事会において、知事から、清掃業者の育成・支援を行うよう要請を行ったところであり、今年2月27日には、全国知事会から国に対して、看護師の負担軽減の観点から、業界団体等と連携して清掃作業等を担える事業者の育成支援を行うよう、緊急提言が行われたところ。
 医療局では、感染区域の清掃について、徐々に看護師から清掃請負業者に切り替えられるよう業界団体と意見交換を行い、作業員の研修や指導などの支援を行っていきたいとしており、医療局の取組状況を県立病院以外の病院に情報提供するなど必要な支援を行っていく。

(4) ワクチン接種に係る潜在看護師の募集について

ワクチン接種に係る潜在看護師の募集状況、確保状況は如何に。

【医療政策室長答弁】
 ワクチン接種に係る潜在看護師の募集状況についてでありますが、今後、市町村において、ワクチンの配給量の増加により接種が本格化した場合に、医療従事者確保のニーズが増加していくことが想定されますことから、県では、地域の実情や医療資源の状況を踏まえながら、二次医療圏内での共同接種や他の医療圏からの派遣応援など、広域での支援体制を整備することとしております。
 市町村における看護師の募集状況、確保状況については、現段階において具体的な情報は寄せられておりませんが、国においては潜在看護師の確保に向けて、各都道府県のナースセンターに対し、就職希望を登録している潜在看護師と接種会場における求人ニーズとの積極的なマッチング支援を行うよう周知を行っているところです。
 県におきましても、医療従事者確保の状況を踏まえつつ、ナースセンターを設置する県看護協会とも連携し、安全かつ迅速な接種が実施されるよう取り組んで参ります。
 接種に当たってのトレーニングですが、このワクチン接種は、大規模かつ長期にわたることが想定されますことから、接種に従事する看護師が必要な知識・技術を習得し、安全かつ迅速な接種が行われる体制を整備することが必要と考えております。
 委員から御提言のありましたワクチン接種のトレーニングにつきましては、今後、県看護協会ですとか医療機関のニーズを把握しながら、必要な検討を行っていきたいと考えています。

(5) 看護職の相談窓口の設置について

こころのケアが重要であり、周囲から差別的な発言を受けたり、使命感が強い人ほど精神的に落ち込んでしまうのではと危惧する。
県として、コロナ禍での働きやすい環境整備が必要。県立病院側は職員のニーズを把握し、働きやすい環境を作ることが不可欠。設置の考えはあるか。

【特命参事兼医務課長答弁実績】
 看護職の相談窓口の設置についてでありますが、医療局では県立病院職員の健康をサポートする「メンタルヘルスケア支援事業」を実施しており、ストレス等悩みの対処方法について医師に助言を得られる「メンタルヘルス相談室」、心理カウンセラーなどの面談カウンセリングを電話またはWebで利用できる「こころの健康相談窓口」、健康、医療、介護、メンタルヘルスの相談と医療機関情報の提供をおこなう「24時間電話健康相談サービス」などの取組を行っていると聞いている。
 また、岩手県看護協会や日本看護協会においても、新型コロナウイルスの感染対策等に関する看護職員向けの相談窓口を開設しているところであり、県としては、これらの窓口の活用を促進していく考え。