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県議会報告

令和3年2月県議会 一般質問(令和3年3月1日(月))

2021.03.02

 この度は6度目の一般質問の機会を頂きました先輩・同僚議員の皆様方に感謝申し上げます。
 私は、県を離れて気づいたことが3つあります。一つは、改めて県の職員の皆さんは、優秀で真面目で、復興やコロナ対応をみても仕事をしっかりされる凄い組織であること。2つ目は、知事は私にないものを持っているということ。それは、予算執行権であり、人事権であり、許認可権であります。3つ目は、知事と同じように私にあるもの。それは、地域で応援してくれる皆さんです。私にとっての家族のような存在です。地域の皆さんの想いを、願いを力に変えて、年に一度の一般質問をいたします。
当局の誠実なご答弁を宜しくお願いいたします。

1 震災後10年間の復興の取組と評価について

(1) 被災地の産業再生と社会減対策について

 あの日あの時から、間もなく10年になります。この間、自衛隊・警察・消防・医療従事者をはじめ国内外から多くのご支援をいただき、かつてない規模と体制で復興が進められたことに対し、全ての皆さまに改めて感謝と敬意を表します。
 そして、犠牲になられた方々のふるさとへの想いを胸に、今を生きられることに感謝し、県議会議員の立場から力強く県政を推進して参る所存です。
 復興まちづくりの面整備と災害公営住宅は全地区で整備が完了し、復興道路は年内の全線開通ができるところまで復興が進みました。建設投資額は、直轄を含め総事業費4兆3,682億円、経済波及効果は6兆1,404億円と試算され、10年間で毎年本県の一般会計予算規模並みの経済効果が生れていた。
 一方、土地区画整理事業により造成された宅地面積の約半分が活用されていない状況にある。沿岸から内陸への転出超過数は、平成30年から令和元年で901人、沿岸から県外が1,295人、震災前と比較し人口流出割合は約6割増となっている。今後、雇用の場の確保するため、被災地の産業再生を具体的にどのように図り、社会減対策を講じるお考えか伺う。三陸沿岸の魅力を高め、定石にとらわれない新しいまちづくりを県としてどう描き、新年度予算に具体的にどう盛り込んで推進するのか伺う。

【知事(復興局)】
 まず、被災地の産業再生と社会減対策についてでありますが、社会減対策としては、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事を創出し、U・Iターンや移住定住促進の取組による岩手への新たな人の流れを創出する必要があります。
 そうした中、沿岸被災地は、復興の取組により大きく進展した交通ネットワークや港湾機能といった優位性を有しているほか、復興支援を契機とした国内外の多様な主体とのつながりが構築されており、これらを生かした地域産業の振興や三陸の豊かな「食」の発信など、交流人口の拡大と地域経済の活性化に取り組むことができるものと考えております。
 このため、沿岸被災地においては、交通ネットワークや港湾機能を活用した企業誘致や輸出入の促進、三陸の豊かな食材や食文化を活用したフードツーリズムの推進などに取り組むとともに、復興支援のつながりのもと、ICTを利活用した多様な関係の創出など「人交密度」の向上に取り組んでいくこととしており、
 具体的には、令和3年度において、引き続き、国や県の補助制度を活用した企業誘致や地場企業への支援に取り組むとともに、三陸の豊かな食材や自然等を活用した「食」の関連イベントの開催を予定しています。更に、U・Iターン就職者などの新生活支援、空き家取得費の一部助成、リモートなどを活用した首都圏居住者等との連携を図って参ります。
 また、ご指摘のあった移転元地や、かさ上げ地の利活用については、移転元地を活用したイチゴやトマトなどの施設園芸や農業テーマパークの整備などの好事例があることから、復興庁や市町村と連携しながら、地方創生推進交付金等の様々な財源を活用し、利活用を促進して参ります。
 引き続き、いわて県民計画(2019-2028)及び第2期岩手県ふるさと振興総合戦略に基づき、市町村やNPO、復興庁などと連携を図りながら、地域産業の振興や移住定住の促進など、地域の特色を生かした、持続的で魅力ある地域づくりを進めて参ります。

(2) 復興の教訓と新型コロナ感染症対策について

 特にも、初動対応、応急対策で忘れてはならないのは、災害派遣医療チーム岩手DMATや広域搬送拠点臨時医療施設SCUの立ち上げであります。震災前から県と岩手医科大学、岩手県医師会の連携が形式的でなく、濃密に醸成されていたことが有事に「いわて災害医療支援ネットワーク」が機能した要因と思う。官学医連携の維持・強化が震災でどう活かされたと評価し、その教訓が、今回の新型コロナウイルス感染症対策にどう生かされているか伺う。

【知事(保健福祉部)】
 次に、復興の教訓と新型コロナウイルス感染症対策についてでありますが、本県においては、東日本大震災津波発災前から、総合防災訓練で花巻空港に広域搬送拠点臨時医療施設を立ち上げる訓練を行うなど、岩手医科大学や岩手県医師会をはじめとした関係機関との連携の強化を図って参りました。
 こうした連携の結果、震災時における県災害対策本部内への岩手DMAT調整本部の設置、県、岩手医科大学、岩手県医師会、県医療局、日本赤十字社、国立病院機構等による「いわて災害医療支援ネットワーク」の設置、感染管理に関する認定を受けた医師や看護師等で構成される、いわて感染制御支援チーム「ICAT」による避難所の巡回訪問につながったものです。
 こうした連携体制については、今般の新型コロナウイルス感染症対策にも継承されており、県の入院等搬送調整班への岩手DMATの参画による、広域的かつ重症度に応じた入院調整の実施、いわて災害医療支援ネットワークの構成機関を中心とした岩手県新型コロナウイルス感染症医療体制検討委員会の設置による、感染状況のフェーズに応じた医療体制の構築、ICATや岩手DMATを中心に構成される「いわて医療福祉施設等クラスター制御タスクフォース」の派遣による、施設のゾーニングなどの感染制御や、保健所に対する疫学調査の支援などによるクラスターの封じ込めなどの対応において、震災の教訓が生かされていると認識しております。

(3) スポーツ医・科学サポートの拠点の整備について

 今年、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」が復興五輪として開催されるが、復興のレガシーを次の世代につなげるために、震災時に計画が凍結されたスポーツ医・科学サポートの拠点のあり方について、検討を開始し具体的な整備計画を推進すべきと考えるが、所見を伺う。

【文化スポーツ部長】
 スポーツ医・科学サポートの拠点のあり方についてでありますが、県ではこれまで、スポーツ医・科学サポートについて、大学などの関係機関と連携し、県民の健康づくりに係る講習会への講師派遣のほか、選手強化のためのトレーニングやアスレティックトレーナーの養成などを進めており、国内外の大会における本県出身選手の活躍につながっているところ。
 活動拠点づくりに向けては、こうした取組の一層の充実を図り、行政だけでなく民間の活力も活かしながら、持続的なシステムとする必要があると考えている。
 このため、昨年度設置した県と外部有識者による研究会において、「いわてスポーツ推進プラットフォーム」の設立に向け、推進体制や活動内容などの検討を進めるとともに、民間の活力も活かしたソフト面での様々な取組を重ねていく中で、拠点のあり方についても検討して参る。

(4) 復興防災部に活かす震災の教訓について

 ありがとうございました。10年間で6兆円もの対内投資があった訳で、一つの産業が消える訳です。整備したインフラをどう活用し産業と文化の振興を図るかが問われる。いわて復興ウォッチャー調査によれば、地域経済の回復度は直近1月調査で30%に留まっている。「経済なき道徳は戯言である」という言葉がある。どんな素晴らしいことを言っても経済的な裏付けがなければ所詮それは寝言であるという意味です。具体的実効性のある経済・産業振興策が問われる。
 今回新たに、復興と防災の司令塔として「復興防災部」を設置し、事前の備えから復旧・復興までの災害マネジメントサイクルを強化するとのこと。知事は、危機におけるリーダーの資質として何が重要だと捉えているか伺う。
 また、東日本大震災や台風災害、新型コロナといった様々な危機を通じて得た教訓、あるいは反省点があったとしたら、新たな組織にどう魂を注入していくお考えか伺う。

【知事(総務部)】
 危機に際し、リーダーとして重要なことは、進むべき方向性を県民、職員に示すとともに、職員はもとより県民の総力を結集し、先頭に立って問題解決に当たっていくことと考える。
 そのためには、東日本大震災津波や県内外で発生した災害、危機管理事案からの教訓・知見を生かし、正確な現状分析のもとで県全体の視点に立って、県民にとって何がより良い選択か、県民のために何をすべきかを考え、実行することが必要である。
 例えば、東日本大震災津波からの復興に際しては、理念や原則、目指す姿を県民と共有し、県組織で何ができるかという点に留まらず、国内外からの協力も得ながら、県民・職員と一体となって取り組んでいる。
 新設する復興防災部は、県民の安全・安心に直結する業務を担うことから、組織のミッションを職員と共有し、これまでの災害で犠牲になられた方々のふるさとへの思いを継承し、職員一丸となって、いわて県民計画(2019~2028)に掲げる「安全で、安心を実感することができる岩手」の実現に取り組んでいく。

 ありがとうございます。まさに「県民のために何をなすべきか考え、実行すること」が大事。危機におけるリーダーの資質、それは「決断」と「実行」、そして責任を負う「覚悟」である。誰もが経験したことのない、あの日あの時の「危機」に直面した時、これまでの知識や経験に裏打ちされた倫理観に基づき、「全人格」をかけて判断し、決断し実行しなければならなかったと思う。葛藤と苦渋に満ちた厳しいお立場だったとお察しいたします。
 先週の工藤勝子議員のやり取りで残念に思ったことがある。この10年間で、全国から5,000人を超える市町村の方々が、被災地岩手のために頑張ってくれた。10年を節目に、是非岩手の復興の様子を見に来てくださいと感謝の気持ちを手紙で伝えようではないかと、さきに工藤勝子議員も仰ったことに対して、議会の同意云々というお答えだったが、改めて知事の思いを伺う。

【知事】
 工藤勝子議員の質問は、3月11日は感謝の日でもあるということで、それについての思いを問うということで、天皇皇后両陛下から外国人のアーティストに至るまで、様々な方々への感謝の思いを述べたのちに、感謝の手紙を出すべきではないかという質問であり、誰に対する手紙という趣旨かということを、個人或いは会派として提案があるのであればいただきたいという趣旨のお答えをしたところ。
 今のご質問は、応援職員として派遣されてきた方々に、10年の手紙を出すべきという趣旨かと思うが、応援職員の方々に対して、県は発災直後から応援職員の皆さんに復興報告をしていただき、応援が終わって派遣元に帰られた皆さんもそこに招いて、同窓会のような形で来ていただくという企画を毎年続け、三陸防災復興プロジェクト2019は、震災から8年という中で、今まで派遣されてきた応援職員の皆さんも来てくださいという機会でもあった。
 今の岩手の情報について派遣が終わり派遣元に帰られた職員の皆さんが、岩手の情報を得ることができるアプリを開発したりもしており、一度岩手に派遣されて応援職員として復興に携わった皆さんは同志という思いでやっている。
 震災直前にI援隊構想ということで、県の仕事は狭い県職員だけではなく、岩手の市町村職員、更には民間、個人、広く開かれた地方自治をしていかなければならないということを言ったところに東日本大震災でありましたから、応援派遣職員の皆さんとは、そのような関係でずっといようということでやって参りましたので、議員のご意見も参考にしながら、一生の付き合いと思っているので、そういう中で10年という節目をどう過ごすかも考えたい。

3 第2期岩手県ふるさと振興総合戦略について

(1) 若年女性層の社会減対策について

 社会減は人口の入れ替え戦。このメーンプレイヤーは女性、しかも、22歳前後の若い女性。男女別に人口の移動による純増減をみると、男性の1.7倍の女性が都道府県で入れ替わり。本県は、女性人口の域外流出の面でも最も深刻な地域となっており、若年女性層の定着・還流対策は喫緊の課題である。これまで若者人口の社会減を食い止めるために雇用の確保や創出を図るなど、少子化傾向を改善するために育児支援や育児環境整備等の施策に取り組んできたが、歯止めがかからない。
 若年女性が首都圏に大量流出する問題を放置していては、真の地方創生実現は困難。これまでの政策効果が上がらない要因をどう分析し、政策の反省点をどう整理し対策に生かしていく考えか伺う。

【政策企画部長】
 県では、これまで「社会減ゼロ」を目指し、ものづくり産業の集積による雇用創出などに加え、奨学金返還支援制度を活用した大学生等の県内への定着など若年層向けの対策にも取り組んできたところです。
 このような中、令和2年の社会減については、2年連続で縮小しているものの、若年女性の社会減が高い割合で推移していることなどを踏まえ、今年度、庁内関係室課からなるワーキンググループにおいて、大学生に対する就職・ライフスタイルに関するアンケートなどを活用し、人口の社会減等を女性活躍の観点から検討したところであります。
 この検討の過程では、女性の県内企業の認知度が低いこと、県外に転出した女性は、医療、福祉など第3次産業への就業が多いこと、女子学生の理想のライフコースは仕事と家事・育児の両立が最多で、両立には職場の理解等の支援が必要であることなどが明らかになったことから、女性のライフステージに応じて、主に20代女性の県内就職・定着の促進、働きながら子どもを生み育てることができる環境づくりを解決すべき課題とし、横断的に施策を取りまとめたところであります。

 そもそも、若年女性の移動動向とその理由・動機を把握しているのか。岩手県から首都圏に移動する彼女たちの意識やニーズ・不満等を把握し、女性定着に資する有効な施策を導き出すべき。愛知県では平成30年度に調査を実施しているが、本県でも県立大学を活用し分析したらどうか。移動人口の中身を知らずして施策を打つことは、投入した資金等を捨てるに等しい結果になりかねない。

(2) 若年女性の県内就職・定着促進について

 令和元年賃金構造基本統計調査によると、岩手県の女性労働者の所定内給与額209.3千円が全国ワースト5の水準にあるなど、若年女性の県内への就職・定着を拡大するためには、賃金の向上や処遇の改善に加え、魅力ある雇用の場づくりが重要。帝国データバンクの政策レポートに「SDGs への取り組みが企業に与える効果分析」として興味深いレポートが掲載されていた。企業の女性登用指標と総資産利益率(ROA)の関係をパネル固定効果モデルによる推計によって分析したところ、女性管理職割合が高いほど収益性が高まる傾向にあるとのこと。
 これは、企業経営のみならず農林水産業の面においても重要な視点ではないか。山形県では若年女性県内就職・定着促進協議会を今年度立ち上げ、対策を検討し、新年度当初予算要求には、女性の賃金向上、就業環境改善のために1億26百万円もの新規事業も盛り込んでいるが、本県は、若年女性の県内就職・定着促進に向け新年度どの程度の予算措置をして対策を打つのか伺う。

【商工労働観光部長】
 若年女性の県内就職・定着促進についてのお尋ねでございますが、県では、就職期における若者の県外転出を減少させ、県内就業の促進を図るため、「いわてで働こう推進方針」を策定し、「いわてで働こう推進協議会」を核として、県内就業の促進や働き方改革の推進に取り組んでいます。
 令和3年度は、県内企業や各産業への理解促進、岩手で働き・暮らす魅力の発信、「新しい生活様式」に対応した柔軟な働き方の促進などを取組の柱としまして、女性の活躍支援に特化した事業費約5,400万円を含む、総額102億2,300万円余を関連事業として当初予算案に盛り込んだところでございます。
 このうち、新たな取組としましては、企業等におけるワーク・ライフ・バランスの優良事例の創出や、優れた取組事例の情報発信等によります女性が働きやすい職場づくりの一層の推進、高校生や大学生等を対象に、県内企業への理解を深めながら、女性社員等のキャリアやワークスタイルを学ぶ交流事業の実施、若年女性の就業ニーズが高いにも関わらず、人手不足となっている医療・福祉・介護などの分野における事業所等の情報や魅力発信によるマッチングの強化などに取り組んで、若年女性の県内就職と定着につなげて参りたいと考えております。

(3) 合計特殊出生率の目標値との乖離について

 昨年の決算特別委員会総括質疑で合計特殊出生率の目標値との乖離について、知事は、「本県の特徴として、20代女性の有配偶率は全国上位にあるものの、30歳以上の有配偶出生率が全国下位となっていますことから、男女の仕事と子育ての両立の難しさや家事、育児の負担が依然として女性に偏っていることなどが影響していると考えられる」と述べているが、この問題は全国的な課題であり、本県の合計特殊出生率が低下傾向にある要因分析にはなっていない。
 30歳以上の有配偶出生率が全国下位となっている本県要因を重回帰分析等でどう分析しているか。そして、パレート図分析により優先的に解決すべき問題を整理し、県民の結婚したい、子どもを生みたい、育てたいという希望に応えるため、新年度どのような点を改善し対策を強化するのか伺う。

【知事(保健福祉部)】
 合計特殊出生率の目標値との乖離についてでありますが、国では、有配偶出生率に影響を及ぼす要因として、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局作成の「地域少子化対策検討のための手引き」において、仕事と家庭の両立の困難さや育児負担の重さ、経済的・生活基盤の弱さなどを挙げています。
 本県は、全国に比べて、年間総実労働時間が長い中にあって、共働き世帯の妻に家事労働が集中するなど、性別による固定的な役割分担意識が根強いことが影響していると考えられますことから、先月、「いわて女性の活躍促進連携会議」と、「いわてで働こう推進協議会」において、「性別による固定的な役割分担意識をなくそういわて宣言」を行ったところであります。
 新年度においては、若者の自立と県内定着に資する住宅支援や、女性の県内就職・定着促進、子育てと仕事の両立支援に分野横断で取り組み、結婚、妊娠・出産、子育てのライフステージに応じた切れ目のない取組を総合的に推進しております。

 年間総労働時間が長いのは、全国ワーストであり、知事が就任当初から全国順位は同じままである。その要因の背景がいろいろあるのであれば、統計的にどういったところに根詰まりがあり、解決するためのアプローチをもっと突っ込んで分析する必要があると思うが、その辺のお考えを、改めて知事に伺う。

【知事】
 様々な統計分析は担当部局においてもやっているところだが、また、様々な現場の声を担当部局において聞いているところでもある。その中で、予算、政策作成過程において、来年度にどのような事業をしていくことが効果的かということを検討した結果、先ほど述べたような事業を中心に進めていこうと決めたところ。

 希望出生率1.8の達成に向けどう取り組むかが重要。
 コーチングの基本に「発想を「Why」から「How」に変えろという理論がある。要因を分析するのは、「なぜ」より、どうやって・どこから優先的に解決する?に思考を変えるということ。野球で言えば、「なぜ打てない」ではなく、「どうやったら打てるか」を考える。統計分析からどうやったら解決できるか、具体的行動・実践する組織に知事はリードすべき。指摘に留める。

 12月議会で米内議員も紹介していたが、私の母校東北大学の研究グループが昨年発表した論文。これによると、合計特殊出生率が過去最低を記録した2005年を基準として、2019年までに合計特殊出生率がどの程度回復したかという数値を見ると、2005年より合計特殊出生率が下がっている県は全国で6県。その中で岩手県が全国最下位。
 「政策は反省の上に成り立つ」。勇気をもって対策を検証し、改善を図るべき。岩手県人口ビジョンで目指している20年後の2040年に100万人を確保できるのか。このペースで行くと2040年には人口はどうなると推計しているか。

【知事(政策企画部)】
 2020年の本県の社会増減は、2年連続で減少幅は縮小しているものの3,872人のマイナスとなっており、合計特殊出生率についても、直近2年は全国平均を下回っていることから、その改善に向けた取組を早急に強化していく必要があります。
 一方で、2020年の東京圏の転入超過数が7年ぶりに10万人を下回り、また、直近7か月では東京都の転出超過が続くなど、東京一極集中の拡大傾向に変化が見られ、さらに、北上川流域におけるものづくり産業の集積も加速しており、コロナ禍を背景に地方の良さが再認識されている状況を生かしながら、岩手の良さを生かした移住・定住を一層促進し、社会減ゼロにつなげていきます
また、若者や女性が岩手に定着して安心して子育てができる環境を構築するため、令和3年度当初予算に若者向けの住宅支援施策を新たに盛り込んだところであり、こうした取組を更に強化しながら、既存事業と連動し合計特殊出生率の向上に努めて参ります。

 人口100万人に向け、あらゆる対策を集中させることが大事。
 若者への住宅政策と併せて、市街化調整区域の開発基準の緩和も積極的に仕掛けるべきである。
 そして、人口減少対策特別委員会で医大の尾上先生から不妊治療対策等のお話を頂いた。「体外受精-胚移植のうち、医学的介入が絶対に必要なカップルは少数で、年齢的な影響で妊娠率が低下し、それを補うために治療されるカップルの方が大半。
 つまり、年齢を重ねることによる妊娠率の低下などの性教育を若いうちから行えば、不妊治療で通院する方が減り、且つ出生率の上昇に繋がるのでは」とのこと。ぜひ、参考にしていただきたい。

(4) 自殺対策について

 知事は、就任時のマニュフェストで「自殺率を全国平均以下に減らすため、関係各機関相互の連携、啓発活動、自殺予防対策を強化する」と訴えたが、全国平均以下に減らせず、全国ワースト3以内に留まっている。新型コロナ感染症拡大の影響により若年層や女性の割合が高まるなど全国的な問題が新聞報道等で報じられている。
 就任当初の目標が達成できないでいる状況を知事として、どのように受け止めているのか伺う。なぜ、対策を強化しないのか。コロナ感染症による影響で社会の不安が増す傾向にある中、「幸福」の真逆にあるこの問題の解消に向け、トップリーダーとして、県民にどんなメッセージを伝えるのか。今後、どう対策を強化するか伺う。

【知事(保健福祉部)】
 自殺対策についてでありますが、本県では、平成19年3月に自殺対策アクションプランを策定し、包括的な自殺対策プログラム「久慈モデル」の実践に継続的に取り組んできたところ。
 加えて、この間、年代別の状況や要因の分析を踏まえ、働き盛り世代・高齢者などハイリスク者へのメンタルヘルスの普及や、子ども・若者への自殺予防に関する普及啓発などのほか、市町村自殺対策計画の推進に対する技術的な支援等に取り組み、対策の充実・強化を図ってきたところ。
 これにより、令和元年の自殺死亡率は20.5で依然として全国的には高位にあるものの、全国平均との差は、アクションプラン策定前の平成18年の10.4ポイントから4.8ポイントに減少しており、成果が現れてきている。
 今後、新型コロナウイルス感染症に伴う経済情勢の悪化などの社会的要因により、自殺リスクが高まることが懸念されるので、悩みを抱えた人を孤立させることがないよう、令和3年度当初予算案に、相談支援体制の強化等を行う市町村への新たな補助事業のほか、県精神保健福祉センターの相談支援体制や普及啓発事業の充実に係る予算を盛り込むなど、一層の強化を図ることとしている。
 自殺は様々な要因が関係するため、幅広い分野における包括的な取組が重要であり、今後とも岩手県自殺対策推進協議会を中心に多様な主体が連携し、岩手の総力を結集して、誰も自殺に追い込まれることなく、幸福を実感できる地域社会の実現に向けて取り組んでいく。

 知事は、これまでの成果を強調するが、ワースト1の秋田県だって恐らく10数ポイントから5ポイント程度に減少している。青森県は令和元年にワースト5から名前が消えた。
 「行政の無謬性」と言われることがあります。やるべきことを、やるべき時に、きちんとやるという意味。これまでの政策をそのまま反省や検証もせず、続けること、不作為を放置する結果、時代に合わない制度やシステムが温存されれば、その分野の発展を阻害し、県民の幸福に重大な影響を与える。
 昔上司から「六日の菖蒲、十日の菊」とよく厳しく指導された。やるべきことを、やるべき時に、しっかりやる。指摘に留める。

4 アフターコロナの産業振興について

(1) 新型コロナウイルス感染症の県内事業者への影響把握と対策について

ア 飲食業支援施策の内容について

 商工団体や生活衛生組織、飲食業界等による影響調査によると、県内でクラスターが発生した11月以降の売上は極めて厳しい状況にある。また、昨年の緊急経済対策の無利子無担保借り入れの返済が3月4月に迫られる店舗が出てきており、金融機関にはリスケの申し入れも来ていると状況にあり、この状況が続くと多くの飲食店が倒産・閉店に追い込まれる。
 この様な状況を踏まえて県は飲食店などに対し新たな支援金を創設することになりましたが、提案された金額の算出根拠、また対象範囲についての根拠をお聞かせください。

【商工労働観光部長】
 飲食業支援施策の内容についてのお尋ねでありますけれども、
支援金につきましては、宿泊業や飲食業を始めとした県内の中小企業者に対する県独自の支援策と致しまして、厳しい状況にあっても、感染症対策に取り組みながら事業を継続しようとする事業者に対して、1店舗あたり40万円の支援金を支給しようとするものであります。
 金額につきましては、現在行っている家賃補助の上限額10万円の3か月分に、感染症対策補助の上限額10万円を上乗せした額に相当するものとして設定したところであります。
対象範囲につきましては、緊急事態宣言に伴う消費者の行動自粛により、深刻な影響を受けている、飲食業や宿泊業、小売業、サービス業といった業種を対象とするとともに、県の家賃補助や国の家賃支援給付金を参考にしながら、1か月の売上が前年同月比で50%以上減少しているか、3か月の売上が前年同期比で30%以上減少していることや、感染症対策に取り組んでいることなどを要件とする方向であります。

この対象には、1年未満の事業者は含まれるのか。

【商工労働観光部長】
 今実施している家賃支援もそうだが、開業して間もない前年との比較ができない事業者は、開店後の売上の状態との比較で、柔軟に対応できるように対処しており、同じような考え方で臨んでいきたい。

 また同様に飲食店の取引業者も同様に厳しい経営を強いられています。まさに飲食店業界は瀕死の状況にある。
 今回の支援金の創設は確かにありがたい。しかし何を目的に飲食店を支援するのか?“誰に、何を、どれ位、いつ、どの様に支援するか?”が目的達成の方策として適正であるかが重要。その目的を果たすことが政策であり行政の役割。今一度伺う、飲食業は岩手県にとっていかなる意味を持ち、その存続をいかに支援していくか伺う。

【商工労働観光部長】
 県内の飲食業について、平成28年の経済センサスでは、持ち帰り、配達を含む飲食店だけでも事業所数は約5,000、従業者数は約26,000人、売上1,130億円と非常に大きな産業である。本県の県民生活や雇用、経済を支えるとともに、食文化や観光の振興にも大きく寄与している産業であると考えている。

 飲食業は雇用を支え、観光産業の一翼を担う、極めて裾野が広い総合産業である。しかも4月から始まる東北DCにおいても、岩手の食文化やおもてなしの心を最前線で発信する重要な役割。また、震災の時、宿泊業者は被災者の避難先として、飲食業の皆さまから炊出しのご支援を頂いたことを思い出す。今度は、私たちが飲食業者を含めた観光産業を支える、恩返しをする番です。
 経済活動と感染対策は難しい課題だが、トップリーダーとして、決断する、行動する、覚悟を決めることが求められると思う。
 残念なことに、対策本部での知事メッセージには、どこにも県民の皆さんに対して、慎重を重ねながらも飲食店を応援しようよというメッセージが出てこない。知事、どうですか。

【知事】
 去年の今頃、牛乳を飲もう、花を買おうということから、岩手のものを買おう宣言、買うなら岩手のもの宣言、また、飲食店等事業者を利用しようということは一貫してやってきているところ。
 本質的には消費の蒸発と呼ばれるが、対面や人が集まる形、口を開けてものを食べるようなサービスを受け取るということについては、新型コロナウイルスの流行によって、基本的に需要消滅、消費消滅ということが起きており、どの国でもそれを補うような所得補償、減収補償を国がかつてないような単位の財政出動を行ってやり、1年2年我慢していこうというのが基本であり、日本においても昨年経営継続事業給付金、個人への給付金に始まり、家賃補助などの給付を国もやったところ。
 昨年末から今年にかけて、国の方でその次というのがなかなか出てこないので、県や市町村が家賃補助や今回の40万円を上限とする支援などをしているところだが、一昨日土曜日の全国知事会でも私から改めて、地方で今やっていることでは足りないので、昨年国でやったようなことをやはりまた今やらなければならないということを訴えたし、全国知事会としても緊急事態宣言対応の次の第2の提言として事業者支援ということを国に求めているところであり、これがコロナ対策で飲食店等事業者を支援する王道だと思う。

イ 事業存続のための仕組みづくりについて

 今回の支援金制度を含め政府、県を初め市町村においても飲食店に対し様々な支援をされてきた。しかし失った売上に対して給付を続けることは困難。飲食業界存続のために本当に重要なことはいかに売上を回復するかということ。売上の回復とは、飲食店へお客様に来ていただくこと。その施策の一つが“GO TO EAT”。政府が展開した“GO TO TRAVEL”は、当初様々な混乱はあったが、一定の経済効果を生み出し多くの業者に希望を与えた。そこで伺う。①国が展開している”GO TO EAT”の目的②2019年度の県全体の飲食店の年間売上総額③チケット販売目標④現在のチケット販売額⑤現在のチケット換金額、そして⑥飲食店とお客様の反応は如何に。

【商工労働観光部長】
 GoToイートに関するお尋ねであろうと思いますが
GoToイートキャンペーンは、感染予防対策に取り組みながら営業している飲食店、食材を提供する農林漁業者を支援するための事業ということであります。国が実施している事業でありますけれども、国から委託を受けた「いわてGo To Eatキャンペーン事務局」が1冊当たり額面で5,000円分のプレミアム付食事券を4,000円で販売する事業を運営しているところであります。
 県全体の、持ち帰りを含む飲食店の年間売上総額は、先ほど申し上げましたとおり約1,130億円となっているわけでありますが、GoToイート事業の本県で販売している食事券の販売目標は100万冊、額面で50億円分であります。これまでの販売実績は、2月18日時点で約44万冊、額面で約22億円分となっています。
このうち約13億円が飲食店に入金されていると、事務局から聞いております。

私は、”GO TO EAT”のチケットは常に持っているが、知事はお持ちですか。

【知事】
持ってはおりません。

 知事自ら覚悟を決めて、飲食業者や宿泊業者を「油断せず応援しよう」とメッセージを発出していただきたい。地方の知事も、飲食業の需要喚起策やGoToトラベルが始まるまでのつなぎとして、観光需要喚起のためのキャンペーンを独自に展開している。感染状況を見極めながら経済対策を行い、飲食業者をはじめとする観光事業者に希望を与えることをお願いする。

(2) スーパーシティ構想について

 国家戦略特区の指定を目指して準備を始めているスーパーシティ構想について、昨年の私の質問に、「矢巾町におけるスーパーシティの実現に向けて、科学技術や情報通信技術の活用方策の検討や、国や産学官の連携といった面から支援をしてまいりたい」と答弁された。この一年、具体的にどのように指定に向け具体的な支援に取り組まれたか。併せて、指定により具体的にどのような効果が想定されると認識されているか伺う。

【ふるさと振興部長】
 スーパーシティ構想についてでありますが、現在、国においては、AIやビッグデータなどの先端技術を活用した都市である、スーパーシティ構想を進めており、その国家戦略特別区域、いわゆる特区の公募を行っているところ。
 矢巾町では、その申請に向け、準備を進めていることと承知している。県では、町と特区の指定に必要な事項に関し、適宜情報共有を図るとともに、データ連携基盤に関する専門家を交えた意見交換を行ったところ。
 また、北上川バレープロジェクトの一環として、内閣府の担当者を招き、スーパーシティに関するシンポジウムを開催し、スーパーシティに関する理解増進に取り組んだところ。

5 不登校対策と高校再編について

(1) 不登校対策について

ア 本県の高等学校における不登校出現率の高い要因分析について

 岩手県の公立と私立を合わせた高等学校の不登校生徒の出現率は、平成26年以降増加傾向にある。しかも、平成28年度、平成29年度は全国平均を上回ったほか、東北では宮城に次いで高い状況にある。本県高校生の不登校出現率は、なぜ高い傾向にあるのか、社会構造的要因を含め、どう分析されているか。また、どのような具体的な対策を講じているのか伺う。

【教育長】
 不登校出現率の要因分析ですが、不登校の要因については、学業不振等の「学校に係る要因」、生活環境等の「家庭に係る要因」、もう1つは無気力や不安等の「本人に係る要因」の3つの区分に分類し、区分ごとにその背景、状況を把握しているところであり、高等学校においては、「無気力や不安」「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が多く、これら不登校の要因には様々な背景があり、また、多様化、複雑化していると分析している。
 学校における不登校対策には、生徒が学校に通いたくなる、学びたくなる学校づくりと、生徒個々の状況に応じた支援をバランスよく進めていくことが大切であると認識している。
 県立高校においては、地域と連携した学習活動の「高校の魅力化促進事業」などによる自己有用感を高める取組と、生徒一人一人に寄り添った個別支援の充実が図られるよう学校の教育相談体制の充実に努めていく考え。

イ 不登校生徒への学習機会確保について

 中学校からの対策が重要。国の調査によると、令和元年度における本県中学校の不登校生徒数は958人であったと報告されている。各市町においては、適応指導教室が設置されているが、そこにも通所できず、フリースクールに通ったり、自宅で過ごしたりする子供たちもかなり存在すると聞いている。実態は把握されているのか。
 「教育機会確保法」は、自治体に対して、不登校の子どもたちが「教育をうける機会を確保するための施策」のために必要な財政上の措置を講じることを求めている。来年度の重点施策では、不登校にならないように予防的予算は積み上げられているが、増え続ける不登校になった生徒への教育機会確保のための予算は十分と言えるのか。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等と連携しながら、各校において、教育支援センター(適応指導教室)等、個に応じた支援を行っていると承知しているが、通っていない不登校生徒のサポートはどのようになっているのか。

【教育長】
 平成28年に公布された、いわゆる「教育機会確保法」に基づき、令和元年10月には、文部科学省から「不登校児童生徒への支援の在り方について」の通知が出されている。教育委員会は、市町村が設置している適応指導教室をはじめ、フリースクールなど民間施設等とも連携を図りながら、多様な教育機会を確保する必要性が示されている。
 これまでは、県内各教育事務所の指導主事や在学青少年指導員が、域内の学校や適応指導教室、民間施設等を定期的に訪問し、不登校児童生徒の様子やそれに応じた個々の支援等の取組について把握しながら、各機関の情報共有を図ってきたところ。
 また、適応指導教室等に通っていない児童生徒への対応については、学校が定期的に訪問し、家庭で取り組める学習課題を提供するなど、保護者と本人の意向を確認しながら、個々の支援に努めているところ。
 来年度からは新たに、県教育委員会とフリースクール等の民間施設が連携して、不登校児童生徒の支援の在り方等について協議する、「不登校児童生徒支援連絡会議」の開催を計画しており、今後も、不登校児童生徒の多様な教育機会確保に努めながら、個に応じた適切な支援や関係機関と連携した体制の整備強化を図っていく。

 予防的措置や会議を開催し対策を検討するのも大事だが、適応指導教室には、中学生101人、不登校生徒958人のわずか1割弱しか対応できていない状況を、具体的に学びなおしの機会を如何に整えるかが重要。

ウ 高等専修学校への支援の強化について

 地元矢巾町にある星北高等学園を訪問し、教育機会確保法に基づく教育現場を調査。同校は、不登校経験や発達障がいのある生徒、全日制高校中退者など、高校卒業を希望しながらも自分にふさわしい教育環境に恵まれなかった生徒を積極的に受け入れて、「公」に代わって教育の機会を提供している。「行きたくない」から「行きたい学校」を目指し、現在36名の生徒がほぼ休まず盛岡から奥州市、岩泉町の生徒が学んでいる。
 専修学校は、高校と同様の教育環境の整備に努めているが、先生の給与を含めその運営費補助は、私立高等学校への補助と比べて大きな開きがある。
 佐賀県や宮崎県では、専修学校高等課程のうち、文科省の大学入学資格付与校については、卒業時点で実質的に高等学校を卒業したのと同様の資格を得られることとなるため、高等学校と同様に支援している。知事の国会最後の質問が教育関係であり、教育基本法の中で教育を受ける権利、学ぶ権利はかけがいのない権利である。学びたくても学校にいけない生徒を県や関係機関が連携し、必要な財政上の措置を講じるべきと考えるが、所見を伺う。

【ふるさと振興部長】
 高等専修学校への支援の強化についてでありますが、県内の私立高等専修学校をはじめとした私立専修学校におきましては、それぞれの設置目的に応じ、特色ある教育が行われており、御紹介のありました星北高等学園におきましては、幅広い教養と共に豊かな人格を育て広く地域社会に貢献し得る人材を育成することを目的とした「少人数クラス」や「解決志向アプローチ」を取り入れた教育が行われているものと承知しています。
 県では、私立専修学校における教育の振興を図るため、学校法人が専修学校を運営する場合に要する経常的経費に対して、県単の私立専修学校運営費補助金を交付することとしており、星北高等学園に対しても支援を行っているところであります。
 議員御指摘の社会的な課題に取り組む私立の高等専修学校に対する財政上の支援につきましては、他県の状況、支援事例も含め、関係者のお話を伺いながらしっかり調査していく必要があると考えています。

 不登校対策については、「公」に代わって教育の機会を保障している、『学びなおしの場』を提供しているフリースクールや民間施設との連携の在り方等をしっかり支援し、生徒一人ひとりに寄り添った対策を強化していただきたい

(2) 盛岡南高校と不来方高校の再編について

ア 県立高等学校再編計画(最終案)について

 18日に新たな県立高等学校再編計画(最終案)に対する説明会が開催された。様々な意見が出されたが、教育長は地域住民への十分な説明を尽くし住民合意が得られたとの認識か、そして地域住民の声をどう受け止めたのか簡潔にお答え願う。

【教育長】
 昨年2月の後期計画案の公表後、盛岡ブロックの盛岡南高校と不来方高校の統合に対して、盛岡南高校の存続を願う会からの嘆願書、あるいは、盛岡市議会からの統合の白紙撤回を求める意見書、また、盛岡市からは慎重な判断を求める要望書が提出されている。
盛岡南高校関係者を中心とした地域の方々の思いに関しては、私も十分に理解し、重く受けとめているところ。

イ 公立高校と私立高校との調整について

 「盛岡ブロックへの志願者の集中が課題」として、盛岡ブロックの志願者の受け皿、蛇口を絞る手法だが、これで盛岡ブロックへの集中が解消されると本気で思っているのか。決特総括質疑で「岩手県公私立高等学校連絡会議において議論を深める」との答弁だったが、議論を深めるまでなぜしないのか。

【ふるさと振興部長】
 昨年11月に行われた岩手県公私立高等学校連絡会議においては、公立・私立双方の生徒数減少への対応について意見交換を行ったところであり、公私それぞれの良さが岩手の教育界の中で生かされるよう、引き続き意見交換を行っていくこととしている。

 秋田県の整備計画には、私立、市立の状況を勘案し、検討するということが明記されている。なぜ岩手県の計画にその一文が盛り込めないのか。盛岡ブロックへの転入転出の差が280人を、公立私立の転入比3対2の割合に応じ、私立も減らす努力をお互いにしましょうよという調整ができないのか伺う。

【ふるさと振興部長】
 私立高校においては、定数の変更等の申請があった場合に認可等の権限はあるが、何もなない場合、指導を行う根拠がない状況にある。
 そうした中で、公私立連絡会議の中で私立高校の方々の意見を聞いている。私立学校は、それぞれ創立に対して自ら私財をなげうって作ってきたという経緯、あるいは、生徒数が集まらなくても教員を異動させることができないといった、様々な私立の事情といった意見も出ていて、公私の良さを引きだす方向について引き続き意見交換することになっている。

エ 魅力ある学校づくりについて

 募集定員が定員に満たないのは、盛岡ブロックに原因があるかの如く議論されているが、根本的な問題として議論すべきは、行きたい学校をどのように作っていくかということであり、論点がすり替わっているのではないか。本来は、広域圏ごとに行きたい学校、魅力のある学校をどのように整備していくのか議論すべきと考えるが、所見を伺う。

【教育長】
 まさに、議員の御指摘のように、県内では、各圏域に進路実現が可能となる大規模校を実際に残している。そして、その高校には、それぞれの地域を支える人材の育成に向けて多様な学びができるよう、様々な支援をしている。
 具体的には、いわて進学支援ネットワーク事業や、探究プログラム等の各種事業を行っており、それにより多様な進路が実現するように支援をしているところ。
 1学年3学級以下の小規模校についても、それぞれの地域にとって重要な学校である。今回の最終案については、1学年1学級校もしっかり残し、地域の学びの場として、教育の機会の保障と質の保証についてもしっかり確保するよう配慮した上で、尚且つ、7学級校も残すなど、全県を視野に検討を進めてきたところ。
 そして、やる時にやれることをという議員の御指摘もありましたが、まさに、どのように地域に多様な学びの場を維持していくかについて様々工夫した。
 昨年2月に後期計画案を公表した後、地域検討会議の開催や、様々な団体から要望・提言をいただいていることを踏まえ、それぞれの地域への配慮等の見直しを含め、最終案としたところ。具体的には、宮古水産高校の存続と校舎の整備となる。
 先日も答弁申し上げたが、20年前に84校あった県立高校は現在62校であり、この20年間で20校も減っている。盛岡市内の7校は維持されているが、学級減で対応してきた盛岡ブロックの周辺校は限界になっているものと思う。そのようなことからも、全県的視野のもと、子どもたちの学びの場をしっかり維持し、守っていくという観点に立ち、様々工夫を凝らしながら検討し、苦渋の判断で、このような最終案としたところ。

青森県は、青森、弘前、八戸高校のように圏域ごとに重点校・拠点校、1学級でも存続させる地域校を定め非常にわかりやすい計画を策定。本県は、なぜ圏域ごとに重点校、拠点校、地域校を指定しないのか。「一人一人の多様性を認め育てる」というが、今回の案は、蛇口を占める手法であり、生徒の自己実現を狭め、生きづらさを助長し不登校や中途退学者を増やし必ず禍根を残す。

 盛岡市内、盛岡ブロックのR7までの生徒減少数は何人か。それぞれお答えください。

【教育長】
盛岡ブロックにおいては、令和7年度の中学卒業生は本年と比較し、約200人、5学級分が減少する見込みとなっている。

 盛岡ブロックは190人。盛岡市内に限ると114人、この5年間で減るクラス数が八幡平市などを含めたブロックで5クラス、盛岡市で3クラス。学級減の対応が限界のことだが、クラス減なら3クラスであり、学級減で対応できるのではないか。更に私立と公立に分かれていく中で、なぜ、5クラス、3クラスの対応をうまく調整しないのか。ある特定の学校を守るということを言っているのではなく、子どもたちの多様な進路の実現を目指すと言うのであれば、それに寄り添うべきではないかと言っている。所見を伺う。

【教育長】
 まさにそのような視点で検討を進めてきたものであり、令和7年度までに190人の減というお話があったが、私共は更にその先の中学生の卒業者数の見通しについても全県的に推計をしており、卒業者数の減少がかなり厳しい数字になっている。そういった中でどのような形で子供たちが将来の高校生が多様な学びができるかどうか、それを全県的視野の中で、それぞれのブロックごとにも視点を置きながら検討を進めてきたもの。

将来を見通すのは大事だが、改めて伺う。今回の整備計画期間はいつまでか。

【教育長】
 令和7年度までであり、今回の最終案の中で、ひとつこれまでのものと違っているのは、施設の整備についても老朽化の進行に対処する内容も盛り込んでいる。その5年間の整備に要する期間もあり、それらに対応する形で見通しを立てているもの。

カ 高校再編計画への知事の評価について

 知事は就任当時、「教育委員との懇談を定例化して教育現場が直面している課題をきちっとわかることから始める」。知事の目には何が見えるのでしょうか。不登校が増える中、生徒の希望する進路をなぜ、狭めるのでしょうか。両校とも志願者の多い学校で、学級減は受験者に大きな影響があるのは自明であり、打つ手が違うのではないでしょうか。生徒の進路実現が議論の本質であるはず。統合時期の見直しを含め慎重に検討願いたい。総合教育会議のトップである知事の所見を伺う。

【知事(ふるさと振興部)】
 県立高等学校の再編計画については、平成27年の総合教育会議において、教育委員会から再編の考え方の説明を受け、意見交換を行いましたが、個々の具体的な計画については、教育委員会が策定すべきものであり、今般の教育委員会が公表した後期計画の最終案は、地域からの意見や提言等の内容も踏まえ、地域の実情等を十分に考慮し、地方創生やものづくり産業への対応など、いわて県民計画(2019~2028)や岩手県ふるさと振興総合戦略に沿った内容になっているものと認識している。

 知事は「県民計画に沿った内容」というが、岩手国体、ラグビーワールドカップ、復興五輪が開催され、文化スポーツ部を組織し、スポーツを通じて人材育成を目指し、力を入れて行こうとしているときに、なぜ、県内のスポーツ強豪校1・2を統合させるのか理解できない。傍聴席に盛岡南高校で私のスポーツ少年団時代の教え子がいる。彼は、南の野球部を卒業し医大で作業療法士を目指し頑張っている。国家公務員試験に合格し防衛庁職員や警察官、消防署職員になって私たちの安全安心・強靭化の人材を輩出している。慎重に考えて欲しい

学校は誰のものか、伺う。

【教育長】
究極的には、児童、生徒のためだと思う。