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県議会報告

令和2年度12月定例会 常任委員会(農林水産委員会)(令和2年12月4日(金))

2020.12.08

1 豚熱の防疫対策について

(1)東北・関東圏における豚熱の発生状況

 豚熱の防疫対策について確認させていただきます。先程、五日市委員の答弁にもありましたが、会津若松市で発生が確認されていますが、現在の東北・関東圏における、豚熱の発生状況がどのようになっているのか伺います。

○長谷川振興・衛生課長
 東北・関東圏における豚熱の発生状況についてのお尋ねですが、東北では、本年9月9日、福島県会津若松市において、東北地方で初めて、野生イノシシから豚熱感染が確認され、10月30日までに福島県だけですが、野生イノシシ7頭から感染が確認されております。一方関東では、昨年、9月26日に群馬県の養豚場で国内59例目となる感染が確認されております。また、関東圏の野生イノシシについては、11月20日、それまで発生が確認されていなかった栃木県で確認され、関東圏では、千葉県を除く、1都6県から豚熱の感染が確認されております。

(2)ワクチン接種を先行している都府県における課題

 万が一、野生イノシシ等から豚熱が確認された場合、ワクチンの接種推奨地域の指定がなされ対応を迅速に行っていく必要があるのですが、既にワクチン接種を行っている隣接県の取り組み等を参考にする必要があるのだろうと思います。福島県、関東圏においても、人員確保、接種開始までの準備、体制、どのように実施しようとしているのか、今回の補正につきましても、さきほど、獣医師、民間を含め、その対応の考え、課題にどのようなものがあると認識されているのか、伺います。

○長谷川振興・衛生課長
 まず、ワクチン接種を先行している都府県の状況における課題についてのお尋ねですけれども、ワクチン接種を実施している 確保可能な人員数や農場の使用状況など、実情に合わせた接種計画というものを策定し概ね効率的に摂取が実施されていると聞いております。その一方で、ワクチン接種に必要な民間の獣医師、注射器などのワクチン接種に必要な資材、農場に入るために必要な防護服等につきましては、今のコロナ禍の関係で入手しづらいという課題等があると聞いております。また、豚等の出荷先がワクチン接種の対象外の地域となった場合には、相手方の施設の消毒などの対策が必要となることから、豚等の移動に時間を要するなどが、課題になっていると伺っております。

(3)群馬県での発生事例での検証

いずれ、他県の取り組みや、そういった課題など、今の状況等をしっかりと検証して、万全を期していく対応が求められると思います。以前も伺いましたが、群馬県で模範生産者の農家から発生したという非常に大きなショッキングな、群馬県の畜産課では、まさかという事態に、非常に戸惑った実態も発生しておりました。あの時の検証はされているのか。群馬の教訓を県としてどう捉えて対応するつもりなのか伺います。群馬県の事例は、生後70日前後、子豚3頭がワクチン未接種だったということがあって感染したと 伺っておりますし、生後50日前後は、母豚から移行抗体があるために接種の対象外でもあったと聞いております。こういったところも教訓と踏まえて、どう対応しようとしているのか伺います。

○長谷川振興・衛生課長
 群馬県での発生事例での検証ですが、このような伝染病が発生した場合には、国のほうで疫学調査チームを編成して、まずどういう原因で発生したか調査します。この調査によりますと、群馬県発生農場では、一部の子豚に下痢等の症状が認められたことから、ワクチン接種が見送られて、免疫が充分獲得できていない豚が、農場内に存在したとなっております。そのワクチン接種につきましては、豚の健康状態の確認が必要です。副作用などの影響がでないように、たとえばそのような症状が出ている場合は、ワクチン接種をしないということが定められております。その基準に基づいて、群馬県では接種されていなかった豚も存在したということです。また、その調査等によると、農場に入る車両の消毒が十分に行われていなかった。また、カラスや野生の小さな鳥獣類が、特に豚舎の中に入るのを防ぐ、防鳥ネットが設置されていなかったところがあったと指摘されております。このようなことから、ワクチン接種を行っている農場であっても、やはり、ウイルスの侵入防止対策をしっかりとらなくてはならないということになりますので、今後も引き続き、県としては生産者に対して、飼養衛生管理基準を遵守、特にも車両等の消毒の徹底や野生動物の侵入防止対策をしっかり講じていただくよう、継続して指導することとしております。

確認ですが、このワクチンの効果というのは、注射されてから、どのくらい効果があるのか教えてください。生まれた子豚から出荷されるまでの期間、5カ月ですけれども、その辺の関係で教えてください。

○長谷川振興・衛生課長
 ワクチンの効果ですが、ワクチンは1年程度効果が続くと言われています。肉豚として出荷する場合は、6か月程度で出荷されることになりますので、まずこの期間は免疫効果があるとなります。一方、母豚として出荷する場合は、長く農場にいる関係があるので、継続してワクチン接種を行う必要があります。特にも、既に免疫がついているのであれば、ワクチンの効果はすぐ出ますが、これまで、国内では、ワクチン接種を中断してしばらくたっています。ワクチンの豚熱に対する免疫を持っていない状態になっていますので、どうしても、短いスパンで接種しなければ免疫を維持することが難しくなっています。母豚に関しては、6か月に一回、接種していくことになります。

いずれ、母豚が6か月ごとに接種していくということで、今回の予算は、いずれ、初回のみという理解でよろしいでしょうか。2回目以降はどうなっているのか確認させてください。

○長谷川振興・衛生課長
 今回の予算は、初回のところはそのとおりで、経過期間内に子豚が生まれてくる関係で、一つの農場に対して、2回目、3回目ということで接種していくことになりますので、まず、初回の部分の予算と、あと、2回目以降の接種にあたって発生する市町村事務に対する対価について予算を措置することとしております。

(4)今後の手続き

となりの宮城県では、国との協議で、適切な接種体制が構築されているのか、チェックポイントを確認して行っていくと伺っておりますが、今後の手続きをどのように進めていくつもりなのか。国と今後どのような調整を行っていくのか伺います。

○長谷川振興・衛生課長
 今後の手続きについてですが、ワクチン接種は、県内の野生イノシシや養豚場で、豚熱の感染が確認された場合は、国のワクチン接種推奨指定地域をうけることになります。県はそれに基づき、ワクチン接種プログラムを策定し、国の承認を得て接種を開始することとなっております。接種プログラム策定にあたっては、個々の農場におけるワクチン接種の手順や、接種時の衛生管理指導に関する規定を盛り込むこととされており、それに基づいて国が指導していくこととしております。先発のワクチン接種県での状況をみますと、ワクチン接種指定地域に指定されてから、国によるワクチン接種プログラムの承認まで概ね2週間程度要しております。ワクチン接種プログラムが早期に承認されるよう、農林水産省と密に連携をとりながら、作業を進めることとしています。

2 米価下落への対応について

(1)県産米の事前契約・複数年契約の状況

 米価下落への対応について伺います。現在、収穫が終わり集荷が進んでいる状況です。先日の吉田委員長の質問にもありましたが、県産米の事前契約・複数年契約について、事前契約の割合は、全国に比べ13ポイント、複数年契約の割合は、全国に比べ40ポイントと高く、非常に岩手の米に対する評価が高いのかなと思っています。改めて、東北あるいは、競合産地との状況、評価認識をどう受け止めているのか伺います。

○佐藤県産米戦略監
 県産米の事前契約・複数年契約の状況についてですが、令和元年産の県産米の事前契約の割合は65%で、東北平均と比較して19ポイント上回っております。また、本県では事前契約した数量すべてが複数年契約になっておりまして、その割合は東北平均と比べて30ポイント上回っております。本県の事前契約率や複数年契約率が、他産地より高いということは、産地にとってより安定した取引につながっているものと評価しています。

ちなみに、2年産米についてはどのような状況なのでしょうか。

○佐藤県産米戦略監
 2年産米についても、ほぼ昨年並みの作柄80数パーセントということで、前年並みに事前契約・複数年契約が結ばれていたところでございます。

(2)ブランド米の販売戦略

その中で、本県のフラッグシップ米の金色の風、銀河のしずくついてですが、今年の作付状況は、金色の風が280ヘクタール、銀河のしずくについては1,700ヘクタール作付けされていたと思います。私は、この2種類の米について、積極的に他産地と争うというかアピールしながら進めてきていると思っていますし、していかなくてはいけないと思っていますが、これまでの販売活動をどう評価しているのか、あるいは、今後の販売戦略、他産地とのちがう戦略をどのように展開するつもりなのか伺います。

○佐藤県産米戦略監
 ブランド米の販売戦略についてですが、県では、これまでオリジナル品種ブランド化戦略に基づきまして、大消費地でのトップセールス、県内外でのテレビCMなど積極的なプロモーションを展開してきました。その結果、全国の取扱米穀専門店が金色の風、銀河のしずくとも500店舗を越え、平成29年から約4倍に増加しております。これまでの取組の一定の成果を収めていたと評価しております。
本県ではこれまで全国の大手米卸売業者やお米マイスターのいる米穀専門店等とのネットワークを築いており、これが、本県の特徴でございまして、積極的に訪問し結びつきを強化してきた強味があります。その強みを生かし、今年度は金色の風や銀河のしずくの販売促進キャンペーンや、金色の風のあっせん販売等を実施しております。今後とも、これまで築いてきたネットワークをいかしながら、県産米の品質の高さやおいしさに加え、県産食品と組み合わせた美味しい食べ方をアピールし、販売拡大につなげてまいります。

本当にすごいんだなあという評価のようですが、これまでも、生産者と一緒に、首都圏の米穀店をまわって色々と声を聴いていると思いますが、銀河のしずくについては高い評価ををいただいていると伺っています。金色の風については、厳しい評価をいただいていると聞いています。そこで伺います。来年の作付状況の計画について、生産者等と協議進めていると思うのですが、この金色の風、銀河のしずくに限って伺いますが、作付計画をどのような感じで考えているのでしょうか。

○佐藤県産米戦略監 
 金色の風、銀河のしずくの作付計画についてですが、令和3年産米については、金色の風につきましては、引き続き県南の栽培適地で栽培することとしており、銀河のしずくにつきましては、昨年度作付したところを拡大して栽培するつもりです。米はやはり、需要に応じた生産が重要ですので、各実需者から要望を基に、現在の販売価格の維持、業務用米の引き合いを考慮しながら作付けを推進しております。
現在におきましては、令和3年産の作付けする経営体の募集を行っているところでございます。

金色の風、銀河のしずくについては、作付けを拡大するつもりなのでしょうか。さきほど、米穀店をまわって4倍に増え引き合いが強いという答弁があったと思うのですが、需要に見合った生産を進めるということで、以前伺った時もそのような考え方で、目標に対して作付面積を設けているということでした。フラッグシップ米については拡大する方向なのでしょうか。縮小する方向なのでしょうか。

○佐藤県産米戦略監
 先程、御説明したとおり、需要に見合った生産を行うことを考えており、銀河のしずくについては、業務用などの需要もありますので拡大方向と考えております。金色の風につきましては、需要が伸びているかというとそうではなくて、高値でこのような食感がすきな方々が、昨年規模くらいになるのではないかと考えております。

面積的には、拡大するのでしょうか。当初は2,000ヘクタールまでもっていこうという目標もあったと思いますが、令和3年産はどのような作付見込でしょうか。

○佐藤県産米戦略監
 現在、募集をしているところですので、具体的な面積までは現段階でお答えできませんけれども、銀河のしずくについては、去年より増えていくと考えております。

(3)今後の水田活用

 生産者の声、実需者の声、マーケットインの川下の声を聴きながら、先程需要に応じて作っていくのだということですから、卸業者等の声をどう捉えていくのか、取り組んでいただきたいと思います。のちほど消費拡大の話にもつながるので、先に進みます。
 今後の水田活用について、飼料用米への生産拡大への取組を進めています。宮城県でも農業再生協議会でいろいろと産地交付金を活用した等々進めていくということで具体的な数値目標を掲げておりますが、本県で県独自の施策を盛り込んだ抜本的な方針転換をどのように考えて、今後進めていくつもりなのか伺います。

○工藤水田農業課長
 本県の米生産にあたりましては、消費者、実需者に指示されるブランド米や業務用米など、用途別の生産を需要に応じて進めるということで、飼料用米、大豆、地域特性を生かした野菜等への転換など、主食用米と転換作物の最適な組み合わせによる水田の利活用によって、生産者の所得が確保できるよう取り組んでいくことが重要であると考えております。
 このために国が直接生産者に交付する産地交付金を活用した、これまでの取組に加えまして、特に飼料用米については、主食用米と同様の栽培管理ができて今後も需要が見込まれることから、 作付けの拡大が図られるように飼料用米の新規の作付けに対して、主食用米との収入の補う新たな支援策を検討しているところでございます。

具体的な生産目標の部分は、おそらく持っているんだと思いますし、それをもとに現場は生産者と協議しているのだと思います。宮城県ではさまざま、主食用米以外の品目をこれまでの実績だとか、生産見合いを立ててつくっておりますけれども、その辺の具体的な目標について、お示しいただきたいと思います。

○工藤水田農業課長
 具体的な目標についてですが、宮城県の同じように、県の再生協議会で来年度の生産目安をたてているところでございます。その生産目安につきましても、協議会が組織されておりますので、そこで協議をして生産目安を定めております。もちろん、食糧法の基に、生産数量目標を30年産以降は配分は行わないこととしておりますので、目安となっております。協議会でその目安を定めているのですが、来年度の目標目安につきましては、国の示した令和元年産主食用米693万トンをベース、岩手県シェアの3.6%をかけて、来年度の生産目安を25万2,945トンを定めております。面積換算でいきますと、4万6,967ヘクタールになります。この生産目安をもとに、各市町村別に、地域で25万2,945トンの生産目安に、各市町村のシェアをかけて各市町村の目安をつくっております。どのように進めていくかということは、各地域の再生協議会で決めていくこととなります。

聞き方が悪かったのか、申し訳ございませんでした。私も、食管制度、新食糧法を担当した人間ですので、その辺の話は十分わかっています。限度数量、出荷数量を担当して、配分までしておりました。私が聞きたかったのは、本県は、トータルで25万トンある中で、備蓄米や、飼料用米など、それらの数字を積み上げては行くんでしょうが、全体を捉えながら、今後の作付計画や営農計画をたてているわけですから、その辺の状況がどのようになっているのかということでした。お伺いします。

○工藤水田農業課長
 今、申し上げたことに、主食用米の生産目安は定めているのですが、備蓄用、飼料用米、それぞれに関しての目安は、定めておりません。

(4)米の県民運動的な消費拡大

 わかりました。時間もないのでこの程度にしますが、いずれ最近思うのは、生産調整と消費拡大の両輪がリンクをさせていかなくてはいけないのではないかと思っております。総務省の家計調査、岩手県の場合、米の消費量はどのくらいかといいますと、盛岡市で米の消費量が全国第6位となっております。もち米は、39位。酒類は、全国第5位と高い位置にいます。最近の新型コロナウイルス感染症対策の中で、米の一世帯当たりの購入数量は把握されていると思いますが、新型コロナウイルス感染症が流行してから、購入数量が伸びています。前年対比月ベースでみていくと、プラスで推移しています。何を言いたいかというと、米の消費拡大に際して、もっと新型コロナウイルス感染症を契機に、追い風になっていると思います。個々の家庭に向けて、消費拡大の県民運動を仕掛けていただきたいと思います。ぜひ、ターゲットを若い世代に向けて取り組んでいくべきだと思いますが、最後に御所見を伺います。

○佐藤県産米戦略監
 県民運動的な消費拡大運動の部分ですが、県が需要が停滞した県産農林水産物の消費拡大を図るため、買うなら岩手のもの運動を展開し、民間事業者との協働による買うなら岩手のもの総合サイトを開設し、県産農産物等の情報提供や県内の販売店や飲食店等におけるフェアの開催などに取り組んでおります。米の消費拡大については、買うなら岩手のお米新米フェアの開催や、大手弁当チェーンでのいわての新米キャンぺーンの実施に加え、今年新たに、若い方にもつながるようにと、県産米と食材を組み合わせたメニューを紹介するインスタグラムを活用しまして、岩手白米百景というサイトを設けております。そのような情報サイトを活用した取組を評価しているところです。

○佐々木農産園芸課総括課長
 臼澤委員から御質問ありました、県としての転換の部分の目標についてですが、目標としては持ち合わせていないような答弁をしましたが、県として想定した部分は持っているところですけれども、各地域で水田フル活用ビジョンを作ってもらいますので、そうした中で決めていくということです。生産者の意向等もありますので、地域で決めていくということになりますので、御了承願います。