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県議会報告

令和2年度9月定例会常任委員会(農林水産委員会)(令和2年10月9日(金))

2020.10.29

1 豚熱の防疫対策の取り組みについて

(1)ワクチン接種までの流れについて

豚熱の防疫対策の取り組みについて伺います。群馬県での発生について、模範的な農家の方から発生したということで、関係者も落胆されているということですが、さきほどの盲点はあったのか、分析はどうだったのかという点は、先ほどの答弁を聞きましたので省略します。ワクチン接種の本県の対応について伺います。侵入防止対策の徹底は重要ですが、隣県で豚熱の発症が確認された場合に、ワクチン接種の準備が必要になります。本県の飼養頭数が、45万頭ありますので、接種にかかる時間が相当かかるものと思われます。国からワクチン接種推奨地域に指定された場合に、接種開始するまでの流れ、時期、完了までの期間等を含めて、本県の対応を教えてください。

○長谷川振興・衛生課長
 本県が、ワクチン接種推奨地域に指定されてから、ワクチン接種までの流れについての御質問です。本県がワクチン接種推奨地域に指定された場合、県は国が定める防疫指針、豚熱に関する特定家畜伝染病防疫指針というものですが、これに基づき県がワクチン接種プログラムを策定し、国の承認を受けた後に、家畜伝染病予防法に基づき県が接種を行うものとされています。接種は県内130戸の養豚場がすべて対象となりますが、野生イノシシの豚熱感染が確認された地点に近い農場から優先して接種することを想定してします。すべての農業での初回の接種を獣医師である家畜防疫医が対応することとして、およそ150名体制を想定しておりますが、開始から3か月程度で完了すると見込んでおります。3か月程度というのは、既にワクチン接種を行っている同規模程度の他県に初回接種の期間を確認したところ、だいたい同程度の期間がかかるのではないかとのことでしたので、本県でも同程度かかるものと想定しています。

(2)周辺県での接種による本県での影響

ワクチン接種することで、移動が制限されますが、隣県でワクチン接種が始まった場合に、本県にどのような影響が出るのか、また、本県で接種された場合、これまで岩手県が作り上げてきたブランドへの影響が出てくると想定されますが、県としてどう捉えて対応しようとしているのか伺います。

 周辺県での接種による本県での影響ですが、具体的に、今回、山形県ではすでに接種が始まっており、宮城県ではこれから接種が開始すると伺っています。それを踏まえて、本県への影響についてですが、まず、ワクチン接種した豚の導入や導入元からの出荷に影響が出てきます。県内の養豚農場のうち、宮城県、山形県と豚の行き来がある農場が49戸あります。そちらにつきましては、ワクチン接種の開始以降は、両県の接種農場から本県の豚の移動が制限されます。接種農場から豚を移動する場合は、導入元の変更が生じます。本県は接種していない地域ですので、接種していない地域の農場から導入するように変更することとなります。また、宮城県のと畜場に出荷することが想定されますが、出荷先のと畜場で、ウイルスが拡散しないような対策をきちんと講じた上で、出荷することになるので、例えば、午前中に非接種地域から、午後からは接種地域から豚を入れるというような、豚の出荷のタイミングの調整が必要となり、影響が出てくると考えています。
 また、本県でワクチンを接種することによって、今後どのような影響がでるかということは、先程申しました通り、ワクチン接種していない地域に、豚を出せなくなりますので、その場合には、その出荷する先を変更するなりの対応が必要なりますし、また、出荷先でのと畜場でウイルスが拡散しない対策に従うことになります。
 また、豚肉のブランドへの影響ですが、ワクチン接種を行っている他県の状況を確認しますと、いわゆる風評被害は生じていないと聞いていますので、本県でブランド豚への影響は、少ないものと考えています。

(3)獣医師の人員確保及び負担軽減について

接種に係る人員確保が大切になってきます。当然、獣医師の人員の確保について、労力の負担軽減など、どう対応する予定なのか伺います。

○長谷川振興・衛生課長
 獣医師の人員確保及び負担軽減についての御質問です。先程、  150名と申しました。県の獣医師職員と民間の獣医師職員を合わせて、およそ150名と想定しています。獣医師であっても、家畜防疫医。これは、県知事が任用して家畜伝染病予防法に規定する業務にあたるようにするですが、県の職員に関しましては、既に任用されている者もいますし、民間獣医師については、これから任用することになるので、今後、ワクチン接種を想定して、任用手続きがスムーズに行われるよう、現時点で取得できる獣医師については、任用しているところです。   
 また、獣医師の負担軽減についてですが、実際の作業で見た場合、ワクチン接種を行うにあたって、たとえば、豚が動かないように固定する作業がありますがが、あくまでも、獣医師はワクチン接種を行うだけの作業なので、固定する作業が、農場の作業員の協力をえながらやっていきますので、可能な限り負担軽減できるように対応は考えてまいりたいとかんがえております。

(4)ワクチン接種にかかる生産者の負担軽減について

 昨日の武田議員の一般質問でも答弁いただきましたが、生産者の負担軽減について、前向きな答弁といいますか検討していくという御答弁をいただきました。22都道府県のうち、20県において初回の接種手数料も援助しているという事例を参考にしながら検討していくという御答弁でした。あらためて、その点についてのお考えを伺います。また、一本あたりのワクチン代、どれくらいの予算規模になるのか伺います。

○長谷川振興・衛生課長
 ワクチン接種にかかる生産者の負担軽減についてですが、県の手数料条例に基づいて、手数料をいただくこととしております。ワクチン接種した22の都道府県のうち、20の都府県で免除している事例がありますので、参考にしながら、県としてどのような対応ができるのか検討してまいります。
ワクチン接種の手数料についてですが、一頭あたり310円を手数料条例で定めております。これをおよそ45万頭に接種することとなると、おおよそ1億1千800万円の手数料となります。

 一億円程度の予算規模が必要になるということですが、財源は一般財源で措置することになるのですか。国庫を活用することになるのか伺います。先程、検討するということですが、行政用語で検討するというのは、やらないと捉える向きもありますが、これは実施するという前向きな検討でしょうか。やらないという検討なのか、やるという検討なのか伺います。

○米谷畜産課総括課長
 手数料免除にかかる予算の内訳ですが、他県の事例等も考えますと、ワクチン接種の手数料免除をやるかやらないかということであれば、やる方向で要求していきたいと考えています。

○長谷川振興・衛生課長 ワクチン接種にかかる、経費の財源についてですが、まず、ワクチン代については、国と県の2分の1ずつの負担となっております。必要な資材、例えば注射器や、獣医師の賃金などがあるのですが、それらに関しては、国の特別交付金が当てられることになりますので、大きくは、国の交付金が充当されることとなります。

2 担い手の子弟就農促進対策について

担い手対策について伺います。親元就農について伺います。農業次世代人材投資資金制度がありますが、就農5年以内の事業承継が要件とされていますが、要件緩和の要望について自治体からも出ていますが、担い手の子弟の就農促進をするために、新たな支援制度の創設について、来年度に向けどのような検討をなされているのか伺います。

○小原農業普及技術課総括課長
 新規就農者の支援についての御質問でした。新規就農者の育成及び就農後の経営安定に向けて、農業次世代人材投資事業や、県単事業など、さまざまな事業を活用して支援して参りました。あわせて農業改良普及センターによります、生産技術経営力の向上に向けた支援をおこなってきたところです。話題になりました、農業次世代人材投資事業の事業継承をする場合、同一作物であっても、新技術の導入を行うことで一定の要件緩和はされてきたところです。
 親からの経営継承、親元就農から5年以内という要件がありますので、引き続き、もっと使いやすい事業にしていただきたいということで、国への要望を進めて参りたいと思っております。親元就農者につきましては、地域農業を支える将来のリーダーであり、重要な担い手と意識しておりまして、引き続き、その継承経営の発展に向けた、経営計画策定などの支援を取り進めて参りたいとおもっております。

親の背中をみながら、新規に広く担い手を確保していく対策も大事ですが、やはり、キーになる人材として親元就農をすすめながら、暮らしや農業の厳しさ、魅力を実際に小さい時から感じているキープレイヤーとして集中して育てていく必要があるのではないかと考えておりますので、その辺を核に取り組んでいただきたいと思います。

3 養殖事業の推進について

(1) サケの回帰率について

次に、養殖事業の関係を伺います。主要施策の成果に関する説明書・いわて県民計画の中で、サケの回帰率が、D評価となっています。目標が0.9に対して、0.20と厳しい状況にあります。このことは、今までの委員会で議論されてきたところです。D評価に対する所見を伺います。

○石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長
 サケの回帰率がD評価となり、非常に心苦しいところです。サケの回帰率につきましては、健康な稚魚を放流して回帰率を高めることに鋭意努力してやってきたところですが、数年来、海洋環境の変化に伴い、水温の上昇などありまして、海に降りたサケが、十分成長できない環境や、餌環境が悪いことが影響し、全体として生産率が低下し、回帰率が低く、D評価となったと思っております。

(2)養殖にかかる漁業権について

 私が、県庁に入った時は、全国一のサケの遡上率であったのが、まさに色々な環境や条件がかわり、これからの水産業の中で、まさに、養殖事業の推進が重要ではないかと思います。これについても、県内市町村を回ると、今後の養殖事業の推進と財政的支援についてお話をよく伺うところです。宮古市ではトラウトサーモン、釜石市ではサクラマスなど、さまざまな養殖試験の取り組みが行われていますが、そのような中で、海面養殖事業の本格実施に向けて漁業権の変更免許等の柔軟な対応の要望の声を伺います。その点についての所見を伺います。

○工藤漁業調整課長
 養殖にかかる漁業権なのですが、5年毎の免許期間となっており、次は、改正漁業法の下で、令和5年に更新することとなっています。銀サケやトラウトサーモンなどが実施されておりますが、生産も良好と伺っております。一部の漁協からは、次の漁業権免許の更新を待たずに漁業権を取得して事業化を進めたいという意向が示されております。また、近年本県では秋サケ等の主要魚種の水揚げが減少している状況にありまして、県としましても、海洋環境の変動に左右されない魚類養殖などの取り組みが必要だと考えておりまして、国等と調整しながら新しい制度のもとで進められるよう検討しております。

(3)既存施設の閑散期の有効活用について

 ぜひ、よろしくお願いします。宮古市のトラウトサーモンの稚魚の飼育のために、既存のサケマス孵化場の有効活用など、既存施設の閑散期の有効活用について、柔軟に対応していただきたいという声も届いております。県の所見を伺います。

○石田技監兼水産担当技監兼水産振興課総括課長 
 既存の施設の有効活用、特にサケマス孵化場の有効活用についてですが、県としては、令和2年6月に政府予算要望を行いまして、その中で、サケマス孵化場の有効活用をお願いしたいということをあげております。有効活用の内容は、補助事業施設ですので、サケマスの稚魚の飼育のために作った施設ですが、現在の生産サイクルからいくと、サケの稚魚を5月までに放流が終わりまして次の稚魚が入るのが12月くらいなので、6月から11月までが空くこととなります。
 さきほど、トラウトとか、他の魚種とか地域振興にかなうような形で、魚類の種苗生産に活用できないかと要望しているところです。国においては、補助目的をしっかり踏襲した上で、個別に相談してほしいということで、概ね一件一件、内容確認しながら御理解いただけるような話をいただいているので、具体的なその有効活用の要望が各事業サイクルができました折には、県としても国と協議しながら、進めていきたいと考えております。

(4)宮古水産高校の養殖科設置について

 ぜひ、既存施設をシェアしつつ、補助事業でつくった施設は目的があっての活用が大前提であるのは承知していますが、本県の実情も含めて関係機関と連携して進めていただきたいと思います。
 人材育成の観点で、今回、宮古水産高校。高校再編の対象となっております。県内唯一の水産高校です。地元からは水産県岩手として、ぜひ、単独で水産高校という名前を、落としていただきたくない、逆に今は養殖技術という一つのキーワードにむけて積極的に養殖科の新設などを行いながら、岩手県として農業については農業高校があるわけですから、水産振興として人材育成をやはり中学校から高校に上がっていく段階で、やはり育てていく必要があろうかと思います。県内の組合員がどんどん減っていく中で、農林水産部として、高校再編の動き、宮古水産高校における養殖科の新設の要望に対して、農林水産部としての所見があるのか伺います。

○佐藤農林水産部長
 人材育成は、非常に大事だと思っております。我が農林水産部としては、農林水産業それぞれ、将来を担っていく人材について、幼少期から興味をもってもらうことは非常に重要だと思っております。宮古水産高校、養殖科新設を希望する話は、重々承知しておりますが、農林水産部としては、将来を担う生徒が充実した環境で学べることが一番大事だと考えておりますので、単独校や高校の名称の話はあると思いますが、一次産業にきちっと興味をもって学べる環境が整うところが重要だと思っておりますので、そういう環境を整備してほしいと思っております。高校再編について、農林水産部と研究する立場ではないので、個人的におもうところはありますが、御了承いただきたいです。

 県教委を中心に、再編計画を苦労して立てられているのは承知しています。農林水産部として言うべきところはいうスタンスがないと、議論が深まっていかないし、地域の声であったり、子供たちの進路の選択であったり、地域課題の課題解決、産業の人材育成など、さまざまな視点から総合的に農林水産部として地域の声を拾い、皆様の後ろにいらっしゃる生産者の方々の声をお伝えしたり反映していくことが大事なことだと思いますので、ご遠慮なくやっていただきたいと思います。