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県議会報告

令和元年度9月定例会 決算特別委員会(県土整備部)(令和元年11月8日(金))

2019.12.02

1 社会資本整備総合交付金等について

(1) 平成30年度の直轄事業と社会資本整備総合交付金の実績等について

平成30年度直轄事業と社会資本整備総合交付金(通常分)の実績と推移は如何に。
東北・宮城県と比較してどうか?

 直轄事業と社会資本整備総合交付金の推移についてでございますけれども、まず始めに直轄事業についてでございますけれども、平成30年度の当初配分額につきましては、東北6県の中で最も多い1,560億円で、震災前、平成22年度の414億円に対して、1,146億円の増となっております。
 社会資本整備総合交付金についてでございますけれども、通常分という事でお答えさせていただきますが、平成30年度当初配分額は、国費ベースで241億円、震災前平成22年度の256億円に対して、15億円の減となっているところでございます。

これは、東北の中で見たときどのような感じか、特にも東日本大震災で被害を受けた宮城県と比べた場合どんな感じか。

 まず、直轄事業の関係ですけれども、先ほど申し上げた金額につきましては、復興道路の整備等復興事業で措置されている分が大きいということが要因と考えておりまして、被災3県、宮城県とか福島県も同じように増えているといった傾向にございます。
 社会資本整備総合交付金の関係でございますけれども、本県の配分額につきましては、推移といたしまして、平成29年度まで減少傾向にあったものの、平成30年度から増加傾向に転じているところでありまして、宮城県は当初配分が前年を下回っておりますけれども、他の県につきましては、直近3か年、29年度から令和元年度までということでの配分額は増加傾向にあるものと考えております。

(2) 国土強靭化等への取組のための予算確保について

国土強靱化、防災・減災、インフラ老朽化対策にスピード感を持って取り組むため、十分に必要な額を確保できているか。どの程度確保したいか。

 財源確保の関係でございます。今年度の県の当初予算につきましては、通常分の公共事業費を5パーセントのプラスシーリングにより編成しておりまして、令和2年度当初予算においても同様の基準としているところであります。
 さらに、今定例会におきまして、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」などによる国庫支出金の内示等に伴う増額の補正予算を提案し、先般、議決いただいたところであり、必要な予算の確保に努めているところであります。
 国費の配分も伸びてきているものと認識をしておりまして、更なる国費の確保にあたっては、令和2年度までの措置とされている、先ほど申し上げた3か年緊急対策の継続も含めて、政府予算要望等により国に要望しております。引き続き、様々な機会を捉えて国に強く働きかけていきたいと考えております。
 どの程度確保したいかということでございますけれども、広大な県土を有する本県においては、ハード対策とソフト施策を組み合わせた防災・減災対策、産業振興、観光振興の基盤となる道路等の整備、施設の長寿命化対策など、社会資本の更なる整備といったものが必要でありますし、それらの適切な維持管理も必要であります。今後も、国費を最大限活用しながら、国土強靱化等に必要な予算を確保して参りたいと考えております。

(3) 急傾斜地崩壊対策の整備目標等について

急傾斜地崩壊対策の整備の必要箇所、整備率は順調に進んでいるという評価なのでしょうか。A評価となっているようですが、その点の所見を伺います。

 現在、県内で急傾斜地崩壊危険箇所は6,959箇所ほどございます。このうち保全人家5戸以上などの要整備対象につきましては1,599箇所となっておりまして、本年3月末現在の整備済が281箇所、その整備率は17.6%という状況になっています。
 この率でこざいますが、委員ご案内のとおり、非常に17.6%という数字をどのように評価するということでございますが、私どもとしても着実に対策を進めているという状況でございますが、全国的にも20%程度で進んでいるという状況でございます。

(4) がけ崩れ危険住宅移転促進事業の実績は。

 頑張っているのはわかるが、東北の中でも最下位(低い状況)となっている。県民の生命、財産を守るのは喫緊のテーマであり課題でもある。予算がある程度限られていることから、ハードを推進しようとしても、時間も百年とかかかるようであれば遅いのではないか。そういった意味でもソフト対策を並行して両立して進めるべきだと考える。そのためにも、がけ地近接等危険住宅移転事業や、増田県政の時にも、コンクリートで固めるのではなくて移転しましょうという、がけ崩れ危険住宅移転促進事業というのがあると思うが、実績状況、進んでいない要因、どうやったら進むかについて伺います。

 ただいまの、がけ崩れ危険住宅移転促進事業これは県単の事業でございますが、この事業につきましては、委員ご案内のとおり、土砂災害警戒区域内に住む住宅5戸以上がある箇所におきまして、土砂災害特別警戒区域内の全ての住宅が移転に合意いたしまして、かつ、先ほどお話ありましたとおり国の制度を活用し、市町村が事業主体となりまして、これは国土交通省住宅局所管の事業でございますが、がけ地近接等危険住宅移転事業、いわゆる「がけ近事業」と言われていますが、これを利用して、住宅を対象とした移転を実施しているものでございます。
 これまでの実績ですが、平成18年度より事業を実施していまして、釜石市など合計9地区の13戸が、この事業を活用し移転を実施しているところでございますが、平成28年度以降その実績がいまのところ無いという状況でございます。
 課題でございますが、様々な課題があるかと思いますが、私どもとしては、現在の住居への愛着、あるいは移転に伴います建て替え等の住宅建設等に係る資金の調達、また、移転先や地域コミュニティーの確保など、住民個々の様々な事情から移転合意がなかなか進まないという要因があると認識してございます。やはりこれらにつきしては、私どもとしては、住民の危険箇所に対する認識、あるいは本事業制度についての如何に住民に知っていただけるかなど、住民への認知度の向上が課題であると思っております。

2 市街化調整区域内の開発許可について

(1) 平成30年度における見直しについて

5年に一度、都市計画の基礎調査が行われているが、30年度どのような見直しが行われたか。

基礎調査に基づく、昨年度の見直しについてでありますが、都市計画に関する基礎調査については、都市の現況や将来の見通しを把握するため概ね5年ごとに実施しているものですが、その調査結果につきましては、県及び市町村が行う都市計画の見直しなどに活用しているところでございます。
 具体的には、平成30年度につきましては、市町村で都市計画の決定、変更の手続は79件、県では18件という形で都市計画の変更をしているところでございます。

(2) 区域内の空き家や低利用地の状況と推移について

 人口減少の中で移住・定住促進を進めていかなければならないという思いがある。盛岡広域管内を歩いてみると、特にも市街化調整区域内での空き家や低未利用地が増えてきていると実感を持っている。
 人口が増加から減少に転じたことから、今までの政策のポイントを見直し、持続可能な地域社会を創っていくため、都市計画の基本的なスタンスは維持しながらも市街化調整区域の活用を前向きに検討すべきだという視点でお伺いする。
 市街化調整区域内の空き家率、あるいは低未利用地の発生状況と推移はどのようになっているか。

 市街化調整区域の空き家率、低未利用地の状況と推移についてでございます。
 空き家につきましては、基礎調査においては調査項目としていないため、市街化調整区域内の空き家に関するデータは持ち合わせていないところでございますが、総務省、国が5年毎に調査を実施しております「住宅・土地統計調査」におきましては、市町村単位ではありますが、空き家の数、空き家率が公表されているところでございます。
 これで、市街化調整区域を設定しております、盛岡市、滝沢市、矢巾町の3市町の合計を、直近3回の調査結果でみてみますと、平成20年の空き家数が23,540戸、平成25年が24,230戸、平成30年が25,940戸と空き家の数自体は増加している状況にございますが、総住宅数も増加しておりますことから空き家率でみますと、平成20年が13.7%、平成25年が13.5%、平成30年が14.0%と、ほぼ横ばいという状況でございます。

(3) 国の開発基準見直しに伴う運用の弾力化への取組について

 盛岡広域の市街化調整区域の面積がどの程度かと言うと、私が住む矢巾町では9割であり、逆に言うと1割しか市街化区域として設定していない、ある意味では絞って絞って、緻密に設定しているものだが、盛岡広域でも面積割合はほぼ8割強、人口も市街化調整区域に1/3の方が住んでいるという事実。3割、約1万人が矢巾町には住んでいる。
 このような中で、市街化調整区域にこのまま規制が続くと、新たな人が入ってこないがために、小学校や旧町村の区域でどんどん人が減っていく状況になる。そこで、核となるところは押さえ、コンパクトにしながらもしっかりと拠点を地域に創っていく、国土形成計画においてもそのような思想で進んでいるところ。
  市街化調整区域の空き家についても、国では、産直や農家レストラン、古民家カフ ェとして活用ができるよう、平成28年に規制を緩和しているところだが、県としてどう取り組むか伺う。 

 国の開発許可運用指針の見直しに伴う弾力化への取組についてでございます。
 直近では平成28年に、国が示しました、市街化調整区域内の空き家等を観光振興や移住・定住に活用できるような既存建築物の用途変更につきまして、県としては、平成28年度から検討を進めております。これは県と関係市町、盛岡市、滝沢市、矢巾町で構成するワーキングループで検討しておりますし、岩手県開発審査会、これは各分野の専門家により構成されている審査会ですが、これらからも意見を聴取しながら進めておるところでございます。その中では、市街化区域と整合が図りづらい、市街化調整区域内の許可基準を緩和していくことは都市全体の力を落としかねないのではないかとの慎重な意見があったところでございます。
 しかしながら、今後も、都市の健全な発展と秩序ある整備を目的とした都市計画法の趣旨を踏まえまして、関係市、町の意向、あるいは地域の実情やニーズに応じた開発許可の弾力的な運用について継続して検討をしていく考えです。

 国の方で、市街化調整区域の古民家、あるいは観光振興、移住定住を促進しようと いうことで開発許可制度の運用の弾力化を平成28年度に出している。これを受けて、 例えば東北の中でも山形においても都市計画法第34条12号による条例を制定するとか、天童においては地区計画を策定、あるいは新潟においては14号に基づく許可基準を制定するなど、様々な動きが他の自治体では動いている。
 そのような中で、人口が減っているから無秩序に開発をしろと言っている訳ではなく、持続可能な岩手、地域を創っていくためには市街化調整区域についても、例えば空き家もひとつの社会資本だという大事な視点をもって活用する、そして、活用に当たっては都市計画の他にも、農地付きの空き家であれば新規農家の農地面積要件など様々な課題があるが、都市計画、あるいは県土整備部として、国の基準の改正に併せて前に動かそうではないか。そうでなければ移住定住の促進も図られないと思う。
 ぜひ、都市計画の許可権限を有する県として、積極的に国の基準改正に併せて解消の道を開くという視点で都市計画の政策を打ち出して欲しいと思うが、部長如何か。

 委員から御案内のありましたとおり、国の開発許可運用指針の改正がございました。
 県の基準や、市で取り扱っている基準もありますが、これを変えないというつもりはないです。そのニーズを一緒になって確認しようとする場がワーキンググループでありまして、決してそこを戸を立てている訳ではない。
 御案内頂きましたような空き家について、具体的なニーズ、土地利用のようなものが出てくれば自然とそういった議論が寛容されて、必要な制度改定、基準づくりが進んでいくものと考えておりますので、柔軟に対応していきたいと考えております。