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県議会報告

令和元年度9月定例会 決算特別委員会(保健福祉部)(令和元年11月5日(火))

2019.12.02

1 県立療育センターの運営状況について

(1) 利用者の評価について

新たな施設に対する利用者の評価は如何に。

 新しい県立療育センターに対する利用者の評価についてでありますが、ハード面における利用者の評価といたしましては、施設が新しくなり利用しやすくなったとの声をいただいておりまして、利用上ハード面で対応すべき要望やクレームなどは今のところない状況でございます。
 また、盛岡となん支援学校が併設されたことによりまして、特に療育センターの入所児については、利便性が向上し支援学校への登校が容易になったこと、急変時においてもより迅速な対応が可能となり安心感が得られていること等についても評価をいただいているものと考えているところでございます。

(2) 利用状況に対する評価について

利用状況に対する評価は如何に。

 療育センターの利用状況についてでありますが、平成30年度におきまして、肢体不自由児や超重症児等に対応する入所部門につきましては、定員60名に対して、1日当たりの平均入院者数は33.9人、利用率56.6%、小児科・整形外科・児童精神科等からなる診療部門につきましては、1日当たりの平均外来患者数は81.2人となっております。
 また、在宅の障がい児等の通所部門のうち、医療型児童発達支援センターは、定員20名に対し、1日当たりの平均通所人数は10.7人、利用率53.7%、児童発達支援事業と生活介護事業を併せて行う事業所におきましては、定員15名に対し、1日当たりの平均通所人数は10.4人、利用率69.1%となっております。
 評価でございますけれども、特に入所及び診療部門においては、前年度を上回る実績を上げておりまして、通所部門も含めまして、現行の限られた医療従事者の体制の下で、最大限対応していると考えておりますけれども、ニーズは増加している状況にございますことから、今後、受入体制、診療体制を強化していくことが必要であると考えているところでございます。
 重症心身障がい児等を一時的に預かるサービスとして、短期入所につきましては、定員5人に対し、1日当たりの平均入所者数は2.3人、利用率46.0%、日中一時支援につきましては、定員3人に対し、1日当たりの平均利用者数0.2人、利用率6.7%となっております。
 評価でございますけれども、入所部門等と同様に、現行の体制の中でできる対応は行っていると考えておりますが、現行以上の利用ニーズがございますことから、体制を強化し、受け入れを増加していくことが必要であると考えております。

(3) 利用率の向上について

利用率はどこまで上げるべきと考えているか。

 療育センターの利用率についてでありますが、先ほど申し上げましたとおり、療育センターの利用率は、現在、入所部門が56.6%、短期入所が46.0%などでございまして、体制を強化し、ニーズに適切に対応していくことが求められており、現在、療育センターの体制・機能及び運営に関する事項を検討するために設置いたしました、有識者からなる運営推進会議におきまして議論をいただいているところでございます。
 その議論の中では、入所部門については、今後、医療的ケア児をはじめ、重症心身障がい児のニーズが増加していくことが見込まれておりますし、また、短期入所については、利用希望者が多くニーズは高い水準を維持することが見込まれている状況にございます。
 現体制で可能な限りの対応をしている中にあって、利用率の目標は一概には申し上げられないところではございますが、今申し上げた入所等のニーズに対応していくことが重要でありまして、体制を強化しニーズに対応していくことが結果として利用率の向上につながっていくものと考えているところでございます。

(4) 課題解決に向けた具体的な方策について

利用率向上のためにどう取り組むのか。

 療育センターの課題解決に向けた具体的な方策についてでありますが、療育センターに求められている超重症児等の受入充実には、医師や医療的ケア児等に対応可能な看護師の確保・育成が重要な課題であると認識しております。
 これらの課題につきましては、現在、運営推進会議において、その具体的な方策を検討しておりますけれども、医師の確保につきましては、岩手医科大学との連携の一層の強化、あるいは医師の診療応援や招へい活動の継続を考えております。
 また、看護師につきましては、養成施設や看護協会等の関係機関との連携強化、あるいは職場としての療育センターの働きがいや魅力を外部にPRすること等によりまして、人材の確保を図って参りたいと考えておりますし、技術力の向上や資格取得に向けた支援体制の充実等を通じまして人材育成を図ること等を考えております。このような取組を通じまして、療育センターに求められておりますニーズに的確に対応して参りたいと考えております。

(5) 発達障がい者支援センターについて

発達障がい者支援センターの解決すべき課題をどう捉え、どう取り組むか。

 発達障がい者支援センターについてでございますが、県下全域から相談が集中するために、予約から実際に相談するまでの期間が非常に長くなっているとの御指摘をいただいております。
 このため、県といたしましては、身近な地域で相談体制を構築し、まずは地域の中で対応していくことが必要であると考えておりまして、相談支援専門員等を対象とした研修でありますとか、小児科医などの医療従事者を対象とした、かかりつけ医等発達障がい対応力向上研修等を実施しておりまして、地域における支援者は確実に増加してきているものと考えているところでございます。
 こうした中で、発達障がい者支援センターにおきましては、困難事例における専門的な助言や家族支援体制構築の支援などの役割がございますことから、各地域の相談支援事業所に対するスーパーバイズでありますとか、保育所等におけるペアレントプログラムの技術的支援などの取組を行ってきているところでございます。
 今後は、引き続き、地域における支援者の育成と発達障がい者支援センターにおける地域支援を強化した上で、地域における支援者は早期発見・早期支援につなげるための相談に対応し、一方でセンターは、より専門的な相談・助言に特化していくなど、適切な役割分担のもとで相談支援体制を構築していくことによって、センターにおける相談待機期間の解消を図って参りたいと考えております。

2 移行期支援体制の構築について

(1) 県内の現状と問題点について

患者数の把握、医療者・患者の意見は。

 移行期の支援体制におきましては、国でも学会でもまだ十分に定義が確立されていない分野でありますことから、今後、対象となる患者さんの定義などを含めて、検討が行われるものと承知しております。
 また、先日、県内における子育てを切れ目なく支援するために、患者さん、家族を中心として、医療、保健、福祉、教育、行政の関係者が双方に連携することを目的といたしました、いわてチルドレンズヘルスケア連絡会議の設立総会が開催されたところでございます。
 総会におきましては、アレルギー疾患であるとか医療的ケアも含めて、この移行期医療も今後の検討課題として議論があり、今後、県に対して提言が行われるものと認識しているところでございます。
 今後、県も連絡会議における議論に参画いたしまして、しっかりとした連携が図られるよう、関係者と意見交換を行い、県として必要な支援を果てしていきたいと考えております。

(2) 患者自立支援と医療体制の整備に向けた取組について

ヘルスリテラシー教育プログラム、移行期支援プログラムを含む患者自立支援と医療体制の整備に向け、県としてどのように取り組むお考えか伺う。

 小児期から成人期への移行期にある様々な疾病を持った小児患者さんや医療的ケア児等が、成人期医療の場でも円滑な医療を受けられる環境の整備は非常に重要なことだと理解しております。
 委員からご紹介のありました国からの通知ですが、小児慢性特定疾患、その他疾病に着目した通知であります。その他にもアレルギー疾患を持ったお子さんであるとか医療的ケア児を持ったお子さんをどうするのか、あるいは小児がんの患者さんもおられます。様々な支援が必要な患者さんがおられますので、先ほど、御答弁申し上げました、新しく設立されたいわてチルドレンヘルスケア会議の場に我々も参画いたしまして、一緒になって議論を行いながらこの取組を進めて参りたいと考えております。