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エネルギーを考える議員連盟 県外調査(H29.5.10~5.11)

2017.06.01

◆期日:平成29年5月10日(水)~5月11日(木)

◆視察先:女川原子力発電所、東北電力㈱中央給電指令所、東北電力㈱新仙台火力発電所

1 女川原子力発電所

(1) 調査施設の概要

・女川原子力発電所は、三陸海岸の南端にある牡鹿半島の中ほど、宮城県牡鹿郡女川町と石巻市に立地。敷地の広さは約 173 万 m2あり、東京ドーム約 37 個分に相当。

・牡鹿半島は、全域が三陸復興国立公園に指 定されているため、発電所の建物のデザインや配色を周辺環境と調和するよう配慮されている。

・1号機から3号機まで3つの発電設備があり、合計出力は 217 万4千kwとなり、ほぼ宮城県全域の電気をまかなうことができる。

・発電所構内では、社員約 500 名、協力企業従業員も合わせると 2,300 人以上が働いている。

(2)調査概要

・  国内の原発は、加圧水型水路と沸騰水型水路の2種類があり、現在、再稼働が進んでいるのは加圧水型で、 女川原発は沸騰水型になる。震災以降、長期停止となっており、3度目の安全点検を行っているところ。

・  安全対策工事は2号機を最優先で行っており、適合性審査が行われている。現在、91 回審査会合が実施さ れており、慎重に審査されている。

・ 工事完了が平成 30 年度の後半までかかる見込みで、再稼働はその後となり、まだ時間がかかる。

・ 女川原発は、女川町と石巻市にまたがる施設(敷地割合としては8:2)。

・ 震災では原子炉3基全てを安全に冷温停止させることができ、「止める、冷やす、閉じ込める」が正常に 機能した。また、被災した住民の避難の受入なども行ったことで、平成 25 年には世界原子力発電事業者協会 から表彰を受けた。

・ 再稼働した場合、火力発電に比べ1億円/日、原子力発電のほうが安くなる。また、女川と東通の工事費は 3,000 億円程度。100%原子力をやろうとは思っていないが、エネルギーミックスという国の方針に沿って取 り組んでいきたい。

・ 再稼働に当たっては、国民の理解を深めていくことが必要であり、分かりやすく説明することが大事。昨 年は 9,500 人程度の施設見学者があった。現場を見ていただくと安全性の理解が進む。アンケート上は、安 全性に関して見学前 60%→見学後 90%へ、必要性に関しては見学前 50%→60%となっている。

2 東北電力㈱中央給電指令所

(1) 中央給電指令所の業務概要

① 品質が良く(周波数・電圧が安定、停電が少ない)、低コスト(発電所の燃料費の節約、送電線・変電所 の損失の低減)の電気を届けるためのコントロールセンターで、3交替24時間体制により電力系統の監視制 御を行う。

② 需要運用業務   気象など種々の要因で変化する電気の需要を予測し、使用量と発電量のバランスを取るために、発電所の タイプに応じてトータルで最も経済的な発電となるよう、各発電所へのコントロールや指示を行っている。

③ 系統運用業務   送電線の点検のために送電を停止する時や、自然災害などによる停電で電気の流れが一部止まっても、別 の送電線で電気を安定的に送電できるように、電気の流れを予測しながら発電機の発電量を調整し、停電が ないようコントロールする。

④ 給電指令系統   電力系統をスピーディーにコントロールするため、各発電所や変電所へ運転指令や指示をする給電指令系 統を定め、それぞれの役割分担で給電指令所及び技術センター制御所を設置し、電力系統を運用している。

⑤ 広域連携   北海道から九州までの電力系統は超高圧送電線や直流海底ケーブル、50ヘルツと60ヘルツの系統を接続す る周波数変換所などで、すべて連結されており、大規模発電所の事故停止などにより供給力が不足する場合、 供給力に余裕があるエリアから電力を融通受電し、安定供給に努めている。

(2)調査の概要

・ 日々の発電量の決定にかかる最終的判断はオペレーターに任されている。自然災害時の停電復旧には素早い判断と対応が必要。

・ 東日本(50 ヘルツ)と西日本(60 ヘルツ)で周波数が異なるため、東日本大震災津波では電気の融通が十 分受けられなかった。

・ 原発や火力発電が海岸沿いにあるのは日本だけ。何故かというと、河川は海外に比べ狭く、急峻で大量の   水を使えない。また、タンカーや石炭などを運ぶ拠点を海岸沿いにせざるを得ない(ヨーロッパなどは大き な川があり、燃料も内陸の列車で運べる)。

・ 夏場は、14~15 時が電力のピークになるが、日本は急な電気の上り方になるため、厳しい調整を余儀なく される。

・ 会議室での説明の後、中央給電指令所内において、系統監視盤による東日本大震災津波の際の送電経路の 当時の状況変化のシュミレーションなどを見学。

3 東北電力㈱新仙台火力発電所

(1)調査施設の概要

① 発電方式:コンバインドサイクル発電システム  (ガスタービン+蒸気タービン+発電機)×2軸

② 発電出力:980,000kw(3-1 号 490,000kw、3-2 号 490,000kw)

③ 発電電力量:60 億kwh/年≒宮城県内の消費電力の 44%

④ 使用燃料:LNG (LNGタンク容量 160,000 ㎥×2基、LNG使用料 100 万t/年)

⑤人員体制:社員 約 120 名 + 関係会社・協力会社 約 250 名

(2)調査の概要

・ S+3E(Safety 安全性、Economy 経済性、Energy security 安定供給確保 、Environmental conservatioin 環境保全)の考え方で、環境にやさしく、災害に強い設備としている。

・ 3号系列発電設備では、コンバインドサイクルの中核であるガスタービンをはじめとした最新鋭技術を採 用することにより、高効率を実現し、燃料を有効に利用。世界最高水準の熱効率 60%超を達成。

・ 高効率の結果、CO2の排出を削減(油火力に比べ 53%減)。

・ 周辺地域には国内希少野生動植物種のハヤブサが生息しており、自然環境に配慮。

・ 各設備に対し、東日本大震災津波の地震動を踏まえた耐震評価に基づく補強対策を実施。防潮堤、盛土、 植栽による津波の直撃防止。

・ 3号系列発電設備は、太平洋側のLNG供給拠点として、災害に対するリスク分散を図っている。

・ LNG燃料は、調達先を特定の地域に偏らず世界に分散させることにより、安定的な燃料調達を図ってい る。また、LNGタンク建設の最新工法を世界で初めて採用するなど、多くの工程短縮の工夫を重ねた結果、 当初計画よりも1年前倒しで営業運転を開始することができた。

以上