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県議会報告

平成29年9月定例会 決算特別委員会(政策地域部)(平成29年10月13日(金))

2017.10.20

1 地域経営推進費の評価と対応について

(1) ふるさと振興監の活動実績と成果について

 市町村の策定に際しては、今年度、広域振興局にふるさと振興監を置いて、市町村のまち・ひと・しごと創生総合戦略を支援しているが、これまでの活動実績と成果は如何に。

 ふるさと振興監の活動実績等についてでありますが、市町村等と連携した人口減少問題の解決に向けた取組を推進するため、平成27年度に本庁各部局のほか、各広域振興局の本局にふるさと振興監を配置したところ。
 県内市町村は、平成27年度末までに地方版総合戦略を策定しているが、その策定に当たっては、市町村の窓口として、ふるさと振興監をはじめとする広域振興局の職員が有識者会議の委員となり、県の考え方や総合的な意見を述べるとともに、個別の相談に応じるなどの支援を行ったところ。
 県の人口ビジョン及びふるさと振興総合戦略の策定に当たっても、人口減少問題対策に係る市町村の意向を把握することにより、県、市町村が連携を図りながら策定することができたものと考えている。
 また、市町村の地方版総合戦略の推進に当たっても、アンケート調査などにより、その取組状況や課題の把握に努めているほか、必要に応じて、地域経営推進費等を活用し市町村の総合戦略に掲げる事業の支援を行っているところであり、今後もふるさと振興監を中心に、市町村との意思疎通を図りながら、ふるさと振興に取り組んでいく。

(2) 地域経営推進費の取組成果と評価について

 地域活性化調整費の予算額は横ばいで推移しているが、十分に地域ニーズに即した施策が展開されているか、取組みの成果と評価は如何に。

 地域経営推進費の取組成果と評価についてでありますが、平成28年度は、県事業として117事業、1億8,393万円余を執行したほか、市町村等が実施した127事業に対して、2億2,309万円の支援を行ったところ。予算額については厳しい財政状況のもと、予算の確保に努めているところであり、例えば、県事業では、県南広域振興局において、国際リニアコライダーに対する地元の気運醸成を図るため、中学校への出前授業等を実施したほか、市町村事業では、沿岸広域振興局において、釜石市が実施したラクビーワールドカップ2019釜石開催に向けた英語ボランティアの育成に対して支援するなど、広域振興局長の判断のもと、地域課題に的確に対応した、きめ細かな施策が展開されているものと考えている。
 また、今年度は新たに、定住自立圏等、国の支援制度を活用できない市町村における広域的な取組を支援するため、地域経営推進費の市町村事業において、広域連携事業を創設したところ。今後とも、広域振興局において、地域経営推進費を効果的・効率的に活用し、地域の特性を生かした地域振興が図られるよう取り組んでいく。

(3) 広域振興局の取組の強化について

 首長懇談会、圏域懇談会で、産業振興や観光振興に関する局の取り組みを強化してほしいとの意見があるが、今後どのように対応する考えか。

 広域振興局の取組の強化についてでありますが、広域振興局は、産業振興による地域経済の活性化を主眼として設置したものであり、広域振興局長の裁量で執行できる地域経営推進費や直接予算要求ができる広域振興事業費の予算を活用し、県央圏域の台湾やタイをターゲットとした誘客プロモーションの実施、県南圏域のものづくり人材の育成、沿岸圏域の水産加工業へのカイゼン導入による生産性の向上、県北圏域のアパレル産業の振興など、圏域の特性やニーズを踏まえた産業振興や観光振興の施策を展開しているところ。
 このような広域振興局における圏域の課題に即した主体的な取組と併せて、例えば、盛岡広域振興局では、管内市町におけるタイとの交流やつながりを踏まえて実施したタイへの誘客プロモーションについて、今年度は本庁も参加し、全県的な取組として発展させるなど、効果的な施策展開を図っており、今後も広域振興局と本庁との連携を十分に図りながら、産業振興等の取組を強化していく。

2 過疎対策事業債について

(1) 過疎対策事業債の現状について

 過疎地域自立促進特別措置法が延長され陸前高田市が新たに過疎地域に追加指定された。27年国勢調査に基づき、人口減少率、高齢者比率及び若年者比率、財政力指数などを踏まえると、県内の過疎地域自治体の財政状況は厳しさを増し、過疎対策事業債の需要は大きくなると思うが、28年度の現状を県はどう評価しているのか。

 過疎対策事業債の現状についてでありますが、平成28年度、一部地域の指定も含めて22市町村が過疎関係市町村になるが、県内市町村の過疎債の発行額は約183億円と、平成27年度と比較して約8億円、4.3%増加しており、また、この5年間の推移を見ても、基本的には増加傾向となっている。
 また、今後の見通しとしては、総務省が策定する平成29年度の地方債計画において、過疎債の計画額は4,500億円、前年度比300億円、7.1%の増であり、全国的にも過疎債に対する需要が高まっていくことを見込んだものと考えられる。
 本年3月に過疎地域自立促進特別措置法が改正され、陸前高田市及び野田村が過疎地域に指定されたことに伴い、県内市町村の過疎債の需要が更に増加するものと見込まれることから、県としても、過疎市町村が過疎対策事業を円滑に実施できるよう、引き続き、全国過疎地域自立促進連盟を通じて、過疎債の必要額が確保されるよう要望して参りたい。

(2) 過疎対策について

 今後、さらに過疎問題の解決を県民全体に係る重要課題ととらえ切れ目のない対策が重要となるが、県はどう対応するお考えか伺う。

 過疎問題への対策についてでありますが、県では、岩手県過疎地域自立促進方針において、過疎地域の自立に向けた基本的な方向として、地域資源を最大限に活用し、地域の個性や特色を生かした、地域ならではの価値を高める取組を展開することにより、自立的な地域社会の構築を目指している。
 この実現に向けては、県及び市町村の過疎計画に基づき、産業の振興や生活環境の整備、高齢者等の保健・福祉の向上など、ハード、ソフト両面の総合的、計画的な過疎対策を展開しているところ。
 特に、過疎地域においては、人口減少や高齢化が顕著であり、大変厳しい状況と認識しており、地域資源を生かした産業振興やUIターンの促進、地域コミュニティの活性化など、ふるさと振興の取組を市町村と連携して全力で取り組んでいくことにより、過疎地域の振興を図っていく。

3 地方バス路線維持について

(1) 広域的なバス路線乗車密度について

主要施策説明書では「広域的なバス1路線あたりの平均乗車密度」は、計画目標値3.9に対し28年度実績は3.5である。原因をどう分析し、どう対策を講じる考えか、震災前の実績値4.0を目指すとしているが、達成見通しは如何に。

 まず、広域的なバス1路線あたりの平均乗車密度についてでありますが、平均乗車密度が低下している原因として、いわゆる「負のスパイラル」が加速していることが挙げられると考えている。本県のバス路線においては、利用者の減少が進み、路線収支悪化を招き、路線収支悪化が減便等の運行水準の低下につながり、サービス水準が下がることにより、更なる利用者の減少が続いているところ。
 この「負のスパイラル」を断ち切ることが、路線利用の向上を図る、一番の施策と考えており、広域的な幹線路線とそれに連なる地域内公共交通を一体的に捉え、需要に応じた適切な交通モードの導入や路線の効率化、生産性の向上などに総合的、戦略的に取組み、全県的な地域公共交通ネットワークの再構築を図ることが必要と認識。
 このことから、本年7月に、「地域公共交通活性化検討会議」を設置し、本県の交通ネットワークの再構築に向けた、取組方向などを議論いただいている。本年度中に、方向性のとりまとめをする予定であるが、検討会議では、利便性と効率性、生産性の高い本県交通ネットワークの再構築を通じ、「負のスパイラル」から「持続スパイラル」への転換を図ることを狙いとしており、検討結果を適切な対応につなげながら、利用の回復を確保していく。

(2) 路線バス再生に向けた取組みについて

 岩手県北自動車は、盛岡市と宮古市を結ぶ路線バスでヤマト運輸の貨物を運ぶ「ヒトものバス」を1往復運行。国は、9月から過疎地を抱える3万人未満の市町村を対象に乗り合いバス350kg未満としていた貨物の重量制限を撤廃した。貨物用トラックに旅客を載せることも可能になった。ライドシェアを含め、シェアリングエコノミーの取組みがヒントになる。県は、路線バスの再生に向け、地域住民の「最後の足」の確保に向け、どう取り組むのか伺う。

 路線バス再生等についてでありますが、「地域公共交通活性化検討会議」を本年7月に設置したところであるが、検討におけるキーワードの一つが「生産性の向上」である。具体的には、路線の効率化等により生み出された車両、運転士、資金等の交通資源を、必要な需要、路線に充てること、また、いわゆる貨客混載など、交通資源を幅広い用途に活用しながら収益性を高めることなど、「生産性を向上」させることにより、バス事業や路線の再生を図ることを、検討項目の一つとしている。
 限りある交通資源を、様々な需要、用途に応じて、有効活用していくことは、バス事業や路線の「生産性の向上」と地域経済の活性化、日常生活の利便性確保につながる取組と認識しており、検討会議などを通じて、議論、研究を深めていきたい。

(3) 負のスパイラルからの打開策について

 国庫補助路線のうち、平均乗車密度が5.0を下回っている路線には、盛岡周辺の都市部の路線も見受けられる。「負のスパイラル」という話があったが、取組によっては平均乗車密度がもっと伸びる可能性があるのではないかと考える。所感を伺う。 

 平均乗車密度が下がっている路線が過疎地だけではなく、都市部にも広がっている点について、平均乗車密度を上げていくことについては、「地域公共交通活性化検討会議」にて、「負のスパイラル」をどう打ち破っていくのか、あるいは一つのキーワードとして「生産性を上げる」ために、どう取り組んでいくのか、議論を進めているところ。
 非効率となっている長距離路線(平均乗車密度が2を切るような、乗合要件を満たさない路線)については、大型の路線バスではなく、デマンド交通など適切な交通モードを入れることにより、全体の効率が上がるといった内容も「地域公共交通活性検討会議」にて議論しており、「生産性の向上」というキーワードを切り口に対応していきたい。