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県議会報告
平成29年9月定例会 決算特別委員会(総務部)(平成29年10月12日(木))
2017.10.20
1 税収等の歳入確保対策について
(1)税収等の確保対策と今後の見通し
29年度歳入予算は、地方税に地方法人特別譲与税を加えた「実質的な地方税」の増加率は4.0%増で全国トップクラスの増加率を見込んでいる。実質的な法人税も12.4%増と復興需要等企業業績の好調を表している。28年度県税収入は1,333億1106万円余、対前年比4.2%増であるが、地方税収決算をどう総括し現在の状況をどう捉えているのか。大幅に増加している要因をどう見ているのか。今後の税収見通しは如何に。
平成28年度の県税決算の状況についてでありますが、主な税目について申し上げると、個人県民税は個人所得の伸びにより、前年度から4億3千万円余、1.2%増の354億2千万円余となっており、また、法人事業税は企業業績の伸び等により、前年度から52億2千万円余、23.7%増の272億4千万円余となっているところ。これらの増加の要因としましては、復興需要が寄与しているものと考えているところ。多方で、増加が続いていた軽油引取税については、前年度を下回るといった変化も発生しているところ。
今後の見通しについてでありますが、将来的な収益環境や雇用所得の動向を見込むことは難しいところであるが、復興需要が減少していくことにより、これまでのような伸びは期待できないと考えているところ。税収の確保対策についてでありますが、産業振興等による税源涵養と共に、引き続き適切に課税捕捉調査を行い税収確保に努めて参る。また、地方税の充実・強化に向けては、偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系を構築することが重要であることから、今後とも全国知事会等を通じて国に働きかけていく。
(2)収入未済額と不納欠損額について
歳入決算において、収入未済額が242億2,852万3,006円で前年度に比べ0.6%増、不納欠損額1億3053万7,380円である。滞納額と不納欠損額は景気動向に比例して増減する傾向にある。収入未済額と不納欠損額の現状をどう分析、評価しているのか。滞納解消に向け全庁的な対策を具体的にどう講じていくか。
県税における収入未済額と不納欠損額についてでありますが、平成28年度における県税の収入未済額は、18億5百万円余と、前年度から2億8百万円余を縮減している。このうち、市町村が賦課徴収する個人県民税の収入未済額は、12億4千1百万円余となっており、前年度から1億4千6百万円余を縮減している。これまでに岩手県地方税特別滞納整理機構の活用や給与所得に係る個人住民税の特別徴収の推進などにより、収入未済額の縮減に取り組んできたところ。その結果として収入未済額が縮減できたものと考えている。
不納欠損額については1億円余で、前年度より3千5百万円減少しているところ。不納欠損額は、地方税法に基づいて、滞納者が無財産である等の実態を踏まえて決定しているものであるが、収入未済額の縮減とともに減少しているところ。滞納解消に向けた対策であるが、引き続き地方税特別滞納整理機構を活用して市町村との連携を進めていくほか、納期内納付を促進し、収入未済額の縮減に努めて参る。
2 シェアリングエコノミーによる低未利用施設の活用について
昨日の総括質疑において、軽石委員から県有資産の売却と貸借に関する質問があったが、私は、現在、国や全国の自治体においてシェアリングエコノミーの取組みを推進している観点から伺う。現在の県の動産・不動産の遊休資産の活用状況と課題をどう捉えているか。
自治体経営にシェアリングエコノミーを導入する最大のメリットは、既存資産を活用し歳入を確保できること、新規の過大な投資が不要なこと、施策に必要なインフラ整備のイニシャルコストや施策を継続するランニングコストが結果的に最小限になることが期待される。市町村やNPO、民間等と連携し共助の視点から県が保有する遊休資産の活用方策を考えるべきと思うが所見を伺う。
シェアリングエコノミーによる低未利用施設の活用についてでありますが、土地及び建物の不動産の平成28年度の活用状況は、県全体で38件、8億7千362万円余の売却実績となっているほか、貸付けは、県全体で312件、8千万円余の収入となっているが、近年では、資産の所在位置や形状等の条件が悪く、売却が進まない資産が増加傾向にあるところ。
国の情報通信白書(平成29年度版)によれば、シェアリングエコノミーとは、個人等が保有する活用可能な資産等を、インターネット上のマッチングプラットフォームを介して他の個人等も利用可能とする経済活性化活動とされている。
例えば、不動産では、住宅の空き部屋の宿泊希望者への貸与や、駐車場や会議室の貸与などがあり、遊休資産の有効利用や社会課題解決への寄与が期待されているが、制度の安全性、信頼性の確保や必要な法令整備といった課題等も指摘されているところ。
国においては、シェアリングエコノミーを「未来投資戦略2017」(平成29年6月9日閣議決定)の新たに構ずべき具体的施策として位置づけ、普及展開に取り組むこととしているところであり、今後は、未利用資産を活用したシェアリングエコノミーについて、国の動向を注視し、先進事例等の情報収集を行いながら、実施の可能性について、研究してまいりたい。
3 地域防災力の強化対策について
(1)自主防災組織の組織率について
8月の盛岡市、紫波町、矢巾町と共同で実施された県総合防災訓練において、市町村の区域を越えた広域避難訓練が行われた。自主防災組織の重要性を実感。
自主防災組織率は全国平均を上回っているものの、組織率50%以上の市町村が「成果指標D判定」であり、地域間でばらつきがある。課題をどう捉え、今後どのように取り組むお考えか伺う。
自主防災組織の組織率についてでありますが、「平成28年度主要施策の成果に関する説明書」において、自主防災組織の組織率が50パーセント以上の市町村数は、計画目標値29市町村に対し、平成28年度実績値が26市町村(速報値)にとどまり、達成度は「D判定」となったところ。
平成28年4月現在、県内の自主防災組織の組織率は84.6パーセントであるが、市町村別にみると、県北沿岸地域の7市町村は50パーセント未満で組織化が進んでいないことや自主防災組織の活動が低調なところがあること、といった課題がある。
このため、県では平成28年度、県北沿岸地域を組織化重点地域に位置づけ、本年2月に久慈市において「自主防災組織結成支援研修会」を開催したところ、3月までに1組織が結成され、さらに2組織が結成準備を進めている、と聞いている。
また、今般、9月補正予算に計上し、県内すべての自主防災組織を対象とした実態調査を初めて実施するとともに、県、市町村、自主防災組織及び有識者による検討会議を設け、それぞれの自主防災組織が抱える課題を明らかにし、自主防災組織の組織化や活動の活性化を進める方策を検討・実施していくこととしている。
(2)消防団員の確保対策について
ア 消防団協力事業所の登録や学生消防団活動認証制度の普及について
消防団員が減少高齢化傾向にある一方、地域防災力の中核としての重要性は増していると認識。消防団協力事業所の登録や学生消防団活動認証制度の普及を図るため、これまでの取組みをどう評価し、今後の対応は如何に進めるお考えか。
消防団員の確保対策についてでありますが、消防団活動に協力している事業所を顕彰する「消防団協力事業所」は、本年4月現在で、25市町村で322事業所が登録されており、また、就職活動時等において消防団活動を評価していただくための「学生消防団活動認証制度」は、花巻市、滝沢市、一関市の3市が導入済みで、本年度内に盛岡市が導入予定と伺っている。
この中では、例えば「学生消防団活動認証制度」を導入した一関市において、専門学校生の入団が増えるなど、一定の効果を上げていると認識している。
これらの制度については、毎年4月に開催される市町村消防防災主管課長会議をはじめ、様々な機会を捉えて市町村に導入や拡大を働き掛けており、今年度、全県での導入を準備している「いわて消防団応援の店」事業と併せ、引き続き市町村と連携しながら、消防団への加入促進に取り組んで参りたい。
イ 県職員の消防団入団状況と課題について
県職員の地域の消防団員入団状況と課題は如何に。県職員の入団を促進すべきと考えるが、今後の確保対策は如何に。
次に、県職員の入団状況と確保対策についてでありますが、本年4月現在、消防団に入団している県職員は100人となっている。
県職員の場合、人事異動により居住地が移転するなどの難しさもあるが、地域の状況を理解し、地域社会に貢献する意味でも、消防団への加入は大きな意義があると考えており、引き続き、県の新採用職員研修においても消防団のPRを行うなど、県職員に対する消防団の周知に努めて参りたい。
(3) 防災へリポートの整備状況について
防災ヘリポートは県内で219か所確保していると伺っている。航空法上の飛行場は2ヶ所、飛行場外離着陸場は217。消防学校が指定されているが、岩手医科大学の移転に伴い、病院敷地内を指定すべきと考えるが、課題を含めご所見を伺う。
防災へリポートの整備状況についてでありますが、岩手医科大学附属病院のヘリポートは、矢巾町の新病院移転敷地内にドクターヘリの基地として整備されており、構造上は防災ヘリの離着陸が可能ですが、このヘリポートは、ドクターヘリのフライトドクター等のスタッフが速やかに現場出動するための態勢を常時確保する必要があり、防災ヘリの離着陸は基本的に想定されていないところ。
従って、移転後の岩手医科大学附属病院へ防災ヘリによる傷病者の搬送が必要な場合は、隣接する消防学校を離着陸場として活用するなど、効果的な運用を図っていきたい。
4 県立大学について
(1) 県内就職割合について
卒業生の県内就職割合は、首都圏を中心とする県外企業の採用動向等の影響により43.5%と半数以上が県外に流出している。学部別の傾向をどう分析し、県内就職率を高める方策をどう講じているのか。
県内就職率についてでありますが、直近2か年(H27・28年度)の学部別の傾向として、看護学部及び社会福祉学部は、おおむね50%を超えており、 総合政策学部は、公務員試験対策講座の強化などにより、50%台中盤となっている。
一方、ソフトウェア情報学部は、全国的なIT人材の不足を背景に、県外企業から多くの求人が寄せられ、給与・休暇等の待遇や研修制度において優る首都圏の大手企業等に人気が集まったことなどから、20%中位から下位にとどまった。
これまでも、県立大学では、県内就職率の向上に向け、地元企業等への訪問によるニーズ把握や就職先の開拓とともに、学内合同企業説明会、企業見学会や大学間連携によるインターンシップ等を実施してきたところ。
今後とも、大学が、企業や業界団体と連携しながら、学生にとって魅力ある就職先を創出・開拓できるよう、県としても支援していく。
(3)高大接続システム改革への検討状況について
高大接続システム改革への取組み状況について、昨年度、各学部の教員等で構成するワーキンググループを設置したと伺っているが、現在どのような検討が進められているか。
高大接続システム改革への検討状況についてでありますが、県立大学においては、昨年度、ワーキンググループを設置し、文部科学省が策定したガイドラインに対応した入学者受入方針の見直し、選抜区分・選抜方法の必要に応じた改善、出願者確保などの検討を進めることとした。
このうち、選抜区分・選抜方法の改善については、文部科学省が平成29年7月に公表した平成33年度大学入学者選抜実施要項を踏まえ、各大学の入学者選抜において、知識・技能など学力の3要素を多面的・総合的に評価するあり方について、学長をトップとする入学者選抜試験検討会議において、取組方針を協議していると聞いている。