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県議会報告
平成28年2月定例会 予算特別委員会(農林水産部) (平成28年3月17日(木))
2016.03.18
1 オリジナル品種の出口対策
【臼澤勉委員】
農業振興においては、米、畜産、園芸が3本柱と認識しておりますが、私からは、このうちの米と園芸についてお伺いいたします。
まず、米のオリジナル品種の出口対策について。まさに出口戦略こそが、このオリジナル品種の販売戦略の最も重要なポイントかと認識してございます。それで、以前、決算特別委員会の総括質疑でも、過去のオリジナル品種ゆめさんさ、かけはしのことについて聞きましたが、今回、販売戦略の検証はどうだったのかお伺いします。また、銀河のしずく、岩手118号の出口戦略をどう組み立てているのか、激しい産地間競争の中、どう取り組んでいくのかお伺いします。
【星野県産米戦略監】
まず、ゆめさんさ、かけはしの販売戦略の検証でございますけれども、かけはしについては業務用米として、ゆめさんさにつきましては量販店での販売用として、新たな取引先の確保に取り組んできたところでございましたけれども、かけはしではいもち病に弱い、ゆめさんさでは高温障害が発生するといった栽培面の課題を抱えまして、販売戦略を着実に推進するためには、消費者等から支持される高品質な米を安定的に生産することが重要であると判断しております。
そこで、新品種の出口対策でございますが、いずれ銀河のしずく、岩手118号につきましては、国内トップレベルの品質と食味を確保しまして、消費者や実需者から信頼をかち取ることが必要です。
そのために、先般作成しましたいわてオリジナル品種ブランド化戦略に基づきまして、品種の特徴が最大限に発揮できるよう、場所、人、そして栽培方法を厳守するといったこと、さらには、収穫した米については食味計を活用しまして、一定の品質を満たした米だけを出荷するというような品質管理を徹底していくこととしてございます。
【臼澤勉委員】
本県のお米は、平成27年産米の食味ランキングも、銀河のしずく、そして県南ひとめぼれ、県央のあきたこまちが特A評価ということで、非常に高い品質を持って、生産者の方々の御努力、そして普及員指導の体制、本当に評価します。
そういった意味でも、他産地プレミアム米との競争が本当に激しくなってございます。この難しさは、私も経験上そこら辺は存じ上げておりますけれども、ぜひここの出口確保対策、マーケットイン、ユーザーインの視点で一つ一つ積み上げていっていただきたい。
2 園芸振興
【臼澤勉委員】
次に、園芸振興のほうに移ります。生産性、市場性の高い園芸産地づくりの推進に向けて、その現状と目指す姿をどう捉えて、そのギャップに対して来年度以降どう取り組んでいこうとお考えなのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
【高橋農産園芸課総括課長兼県産米生産振興監】
本県の園芸の主要品目でございますが、平成26年度の栽培面積は、平成24年度と比較しまして、レタスでは増加しているものの、キャベツ、リンゴは横ばい、キュウリ、ピーマン、リンドウでは減少してきております。
このような状況を踏まえまして、県といたしましては、まずは担い手の確保、育成に向け、規模拡大を志向する若い生産者を対象とした研修会を開催しますとともに、経営の規模拡大に向けた施設の団地的整備、それから省力機械の導入支援、さらには、リンドウやリンゴの品種開発などに取り組んできたところでございます。
平成28年度につきましては、これらの取り組みに加え、高規格ハウスの整備による長期出荷や収穫機械等の導入による規模拡大を図るとともに、ICTを活用した生産性の向上や労働環境の改善など、生産のイノベーションの取り組みを支援することにより、本県の園芸産地力の一層の強化を図ってまいります。
【臼澤勉委員】
午前中も、本県全体の農業生産額の中で、今、畜産が6割を占める、米は2割という中で、実はこの園芸振興がすごく大事なポイントだと私は認識してございます。最近ちょっと園芸のあれが少し薄くなっているような印象を持っているものですから、そこをぜひ進めていただきたいと。
それで、被災地における園芸産地の取り組みについて、話を変えてお伺いします。
今、復興のシンボルとしていろいろ被災地でも新たな取り組みが生まれております。ただ、一方で、隣の県というか、ほかの県では、例えば植物工場が経営破綻したという、震災後、新たな復興のシンボルとして期待されている中で導入されたんだけれども、やはり出口対策がうまくいかないで失敗したという事例なんかもあります。
例えば陸前高田市では、民間とか農業研究センターの南部園芸研究室、JAとかが一緒になって太陽光型の植物工場の誘致を成功させて、今、周辺地域に大規模施設園芸団地が形成されているということで、私はそこはすごく評価いたしますし、当時の普及センターの所長も、本当に一生懸命になって市と団体と協力して取り組まれていたと。
そういったところで、この沿岸被災地でそのような新たな園芸振興の取り組み状況がどうなっているか、現状、課題、今後の取り組みについてお伺いいたします。
【高橋農産園芸課総括課長兼県産米生産振興監】
県では、震災の被害を受けた沿岸地域の農業復興を進めるということで、国の交付金等を活用しながら、園芸品目の導入や施設園芸団地の形成などの取り組みを進めてきたところでございます。
今、委員から御指摘のありましたとおり、新たな取り組みとして、陸前高田市においては、ドーム型ハウス、それから高規格ハウスを活用した大規模な施設園芸団地の整備を支援してきております。また、大型スーパーや産直施設の立地もありますことから、生産機運が高まっている地域もあります。そのようなことから、地場消費に対応した地域づくりについても取り組みを進めてきております。
課題につきましては、この大型の施設園芸団地におきましては、まだ始まったところではございますが、やはり目標の収量を確保することが課題になっております。
地場消費向けの対応としましては、多品目、それから周年的な出荷ということで、品ぞろえなどの確保が課題となっております。
県としましては、今後、市町村や関係団体とも連携しながら、このような取り組みがモデルとなりますように、各取り組み主体に応じた技術や経営など、きめ細かな指導を行ってまいります。
3 被災地の生産基盤等の復旧状況
【臼澤勉委員】
その被災地においても、農業振興、特に園芸、温暖な気候を活用した取り組みが非常に期待されております。
それで、被災地の農地の生産基盤の復旧、整備状況について、今の状況をお伺いしたいのが一つ。それから、生産の回復あるいは担い手の確保、育成においては、私は農業改良普及員の活躍が非常に期待されていると思ってございます。復興におけるこれまでの普及員の活動実績と今後の取り組みについてお伺いいたします。
【伊藤農村建設課総括課長】
まず、沿岸被災農地の復旧、整備状況についてでありますが、被災農地725ヘクタールのうち、既に転用済みの農地を除きました復旧対象農地683ヘクタールのうち、市町村のまちづくり計画などとの調整が必要なためにまだ工事に着手できない172ヘクタールを除きました511ヘクタールで、まず復旧を進めておりまして、平成28年4月までに482ヘクタールを復旧する見込みとなってございます。
【高橋農業普及技術課総括課長】
被災地における普及員の活動実績と今後の取り組みについてでありますが、普及センターでは、沿岸被災地の早期営農再開を図るため、農家の営農意向を確認し、作付を誘導する一方、作付できない農家に対しては、作業委託等の調整を図ってきたところでございます。
その結果、復旧農地の約9割で作付が再開されるとともに、新たに九つの営農組織が設立されたほか、地場消費向けの園芸生産など、営農再開が進んできていると考えております。
また、陸前高田市の工房めぐ海など、農産加工組織に対しては、被災直後から加工施設の再建、そして、会計管理に至る一連の支援を行い、早い組織は平成23年度内に経営再開を実現しております。
今後とも、市町村等と連携し、まずは農業者のニーズをきちっと踏まえながら、担い手が希望を持って農業に取り組み、なりわいの再生が図られるよう支援していきます。
【臼澤勉委員】
先ほど来TPPのお話とかもございました。私は、新たな農業の未来を考えたときに、この岩手県の食料供給基地の確立に向けては、まさに今こそ農林水産部といいますか旧農政部普及員あるいは農業研究センターを含めて、これは一枚岩になって取り組む必要があると思ってございます。
まさに、岩手県は全国に先駆ける食料供給基地としての使命を持って取り組む必要があると思ってございますが、今、この農業改良普及センターや農業研究センターは何が求められ、今後の普及員の育成をどのように行っていくお考えかお伺いしたいと思います。
20年前に普及員の人数はどの程度あって、今どうなっているのか、これもあわせてお伺いいたします。
【高橋農業普及技術課総括課長】
食料供給基地としての責務を果たすためには、農業改良普及センターにおきましては、産地の核となる経営体の育成や産地づくりなどの支援が求められており、そのため、農業改良普及センターでは、経営ビジョンの策定とその実現に向けた農地の集積などに取り組んでいるところでございます。
また、農業研究センターにおきましては、高品質な農産物の効率的な生産技術や新品種の開発などが求められており、マーケットインの視点に基づき研究開発に取り組んでおります。
農業改良普及員でございますけれども、このような地域の課題に的確に対応するためには、やはり専門性の高い知識と技術力、そして専門家との連携などのコーディネート力が求められており、資質向上に向けた研修体系の充実を図っているところでございます。
20年前の普及員の数でございますけれども、20年前は17普及センターと22駐在に285名を配置しており、その後、農業改良助長法の改正によりまして県の必置規制が廃止になりました。今は9普及センター、4サブセンターに205名の普及員を配置してございます。
【臼澤勉委員】
私は、今こそ本当に問われているというか、今ここを頑張ってほしいといった期待を込めて、ぜひ、現場を歩き、そして、農家の所得向上に向けて、新たな品目も含めて─今、歩いていると、普及員の方が海外からの新たな品目の提案とかも含めて頑張っているという声をよく聞きます。そこら辺、産地化に向けた取り組みとか、岩手ならこれというものをぜひぜひ育てていっていただきたいと思います。
最後になりますが、私、キーワードは健康かと思っているんです。医食同源という言葉がありますけれども、農林水産部としても、今後、農産物の生産、普及を考えていく上では、健康をテーマとした、例えば医療や福祉、農業との連携や6次産業化の取り組みなど、健康が意外とキーワードになってくるかと思います。
最後に、ここら辺の取り組み状況と御所見をお伺いして、終わります。
【伊藤流通課総括課長兼県産米販売推進監】
健康をテーマに、県産食材を活用して商品化を進めるなどの6次産業化の取り組みは、まさに最近の消費者ニーズにマッチした大いに期待できる取り組みと考えております。
これまでも、県におきましては、ヤマブドウとか雑穀とかを活用しました健康志向の商品開発を行う事業者につきまして、商品の開発とか販売などを支援してきたところでございます。
矢巾町におきましては、現在、地域関係者が一体となって、減塩をテーマとした地域ぐるみの取り組みなども行っておりますので、こうした取り組みなども大いに支援してまいりたいと考えております。