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県議会報告

令和4年度2月定例会 予算特別委員会(ILC推進局)(令和5年3月8日(水))

2023.04.08

1 ILC誘致について

(1) ILC誘致の意義について

ILC誘致に関する意義について伺う。

【副局長兼事業推進課総括課長答弁】
 ILCはその学術的な意義に加え、日本での実現により、大きく期待されているのがイノベーションの創出と産業の発展、新たな地方創生と東日本大震災津波からの創造的復興、こういったことについては、人口減少社会などの課題にも資するものと考えている。
 アジア初の大型国際研究機関として、我が国が標榜する科学技術立国のシンボルとなるものと捉えており、総合的な安全保障にも資する、大きな価値や未来をもたらすという認識である。
 県としては、県内外のILC関係団体等とこうした多様な価値を共有し、その意義や効果を分かりやすく発信しながら、更なる国民・県民的な機運の盛り上げを図っていくことが重要であると考えの下で、様々な取組を進めている。

(2) 令和5年度の取組内容について

令和5年度の取組内容、特に新年度取組を強化する点を伺う。

【副局長兼事業推進課総括課長答弁】
 ILCの実現に向けては、現在、IDT・ILC国際推進チームにより、国際協働による研究開発や政府間協議に向けた取組が着実に進められていると承知している。こうした取組に加え、ILCの有する意義や価値を広く内外に発信し、国民的な機運を盛り上げることが重要と考えている。
 令和5年度においては、引き続き、そうした価値を発信する講演会やイベント等を、県内外の推進団体とともに実施し、日本誘致に向けた国民的な機運の醸成を図りながら、国に対する働きかけを強化して参りたいと考えている。
 また、アフターコロナで、様々な関係団体の取組が活発化している。そうした団体と連携し、ウェブ配信などの工夫を行いながら実施することが重要と考えている。
 令和5年度の予算案に計上したものについては、ILCの実現を見据えた取組についても、これまでの成果等を踏まえた強化を図ることとしており、イノベーションの創出に向けた取組とし、本年度予算でオープンラボに整備する機器等を活用しながら、県内企業に対する加速器関連産業への参入支援の取組を充実するほか、令和3年度から東北ILC事業推進センターが共同研究として策定を進めている「まちづくりのモデルケース」について、新たに強化する取組として位置付けられると考えており、センターとともに建設周辺自治体に展開する取組を進めていく。

(3) 加速器関連産業への参入支援等の取組について

加速器関連産業への参入支援や技術指導等の取組については如何に。取組のインセンティブを県として何ができるか。

【事業推進課計画調査課長答弁】
 これまで、いわて加速器関連産業研究会などの取組を通じて、県内企業の加速器産業への参入に向けた取組を推進しており、加速器関連機関のニーズに対応し得る県内企業が着実に増加し、現在はILCに直接に関係する技術の共同開発も行われている。こうした流れを加速していくためには、「企業の技術力の向上」、すなわち研究機関と連携した共同研究の推進が必要と認識している。
 現在、オープンラボに陽電子源等、加速器関連の試作品の性能を評価する機器を整備しているところであり、来年度は、この評価機器を活用して、研究者による企業向け指導を強化するとともに、引き続き、専門知識を有するコーディネーターによる企業訪問やマッチング活動により、産学官による共同開発をより一層推進していく。
 また、加速器関連産業の拡大に向け、いわて加速器関連産業研究会のセミナーなどを通じて県内の参入実績、関連技術等を広く発信しながら、新たな県内企業の参入意欲の喚起につなげる取組を推進していく。県内企業が加速器関連産業に参入するインセンティブについては、将来ILCが実現した際の直接的な関連技術、機器整備等の受注のほか、実現前の短期的には、いわて加速器関連研究会に参加することによる、企業間のネットワークの構築、共同研究への参加による技術力の向上、KEK等先端研究機関からの受注などのメリットがあると考えられる。
 また、最先端技術に係る研究者との交流や指導による人的ネットワークの構築、これらによる人材の育成などの人的メリットもあると考えられ、これらのメリットを発信していく必要があり、技術セミナー等を活用し、県内企業に広く発信していく。

(4) ICFAの姿勢と今後の方向性について

2025年にFCC-eeのフィージビリティスタディの結論が出ると伺っているが、県として今後の取組は。

【副局長兼事業推進課総括課長答弁】
 昨年、ICFAは、日本でのILCの実現を引き続き奨励するともに、「今後1年間の進展を注意深く見守る」とするステートメントを公表した。
 現在、これを踏まえ、IDT・ILC国際推進チームが、KEK・高エネルギー加速器研究機構等と連携し、国際協働による研究開発の推進に向けた取組や、政府間協議に向けた検討を進めている。現時点で、ICFAが日本でのILCの実現を奨励している状況に全く変わりはないものと認識している。
 CERNのFCC-ee、電子陽電子型の将来円形衝突型加速器については、御紹介のとおり、2025年に実現可能性調査、いわゆるフィージビリティスタディの結果がまとめられるものと見込まれている。KEKの山内機構長もその講演の中で、誘致判断の節目として紹介している。
 県としては、ICFAや多くの研究者が、技術的な成熟度などからILCの実現を支持している状況にあるという認識であり、IDTが進める2つの取組を着実に進展させつつ、タイムリーに誘致を表明することが重要と考えている。
 したがって、内外の関係機関と連携した国民的な機運の醸成を図りながら、更なる関係予算の確保や、省庁横断による国家プロジェクトとしての推進について、これまで以上に強く働きかけていくことが重要と考えている。

ILC誘致について、令和5年度にかける意気込みを伺う。

【局長答弁】
 ILCには様々な意義や価値、大きな夢がある。また、その価値は、人口減少対策にも資すると考えている。来年度1年間、注意深く見守るということについては、これまでの流れで前に進んでいると考えている。先月、建設地域では期成同盟も発足した。新たな動きも踏まえ、様々な関係者と一体となり、ILCの実現に向けて全力で取り組んでいく。