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県議会報告
令和4年度9月定例会 決算特別委員会(総務部)(令和4年10月19日(水))
2022.10.29
1 県の行財政運営
(1)令和3年度決算を踏まえた新たな財政目標
この決算特別委員会は、来年度、新年度の予算編成過程においても重要な意味をもつ審査になると思っている。県のこれからの行財政運営への視点について質問する。
先日、行財政研究会の報告書を取りまとめられており、そこにおいては新たな財政目標を設定されているが、令和3年度決算を踏まえた場合、どのようになるのかお伺いする。
山田総括課長
新たに設定した財政目標の令和3年度の達成状況等についてであるが、今回財政目標については令和5年度~令和10年度をあくまで対象としており、あくまで参考値というような扱いにはなりますけれども、まず1点目、収支均衡予算の実現というところに関しては、令和4年度当初予算では121億円の財政調整基金の取崩しが発生しており、これは達成できていない状況になっており、公共施設に係る県民一人あたりの負担額につきましては、決算ベースで15,300円、目標としては12,000円を水準として掲げさせていただいていたところ、こちらも達成はできていないという状況。
プライマリーバランスの黒字化というところですと、当初予算では77億円の黒字を達成しており、財政調整基金の残高も347億円となっており、目標として掲げている177億円の水準を達成している状況となっている。未達成がふたつ、達成がふたつという状況になっている。
今県が抱える様々な政策課題、子ども子育て、人口減対策、そういった重要課題に対して、現在も取り組んでいるし、今後も取り組んでいかなければならないわけだが、この4つの財政目標、令和10年度までの対象機関というけれども、そういった政策課題実現に向け、今後どう捉えていけばいいのか、改めてお伺いする。
山田総括課長
今回の財政目標の立ち位置、位置づけといったところだが、今回、行財政研究会の議論等を踏まえ、まさに平成16年の地財ショックのときに行われたような、急進的な、地域を切り捨てるような改革というのは良くないと、そういったものではなく、中長期的な視点に立った、持続可能そして希望ある岩手の実現するための施策をしっかりと充実させていく、そしてそれを支えるための財政状況や財政基盤を築くというところが掲げられている。今般の当初予算編成方針でもお示ししたとおり、しっかりと重点事項については大胆な重点措置を行うと、それを支えるための財政基盤を築くというところでの、今回このような4つの目標を掲げさせていただいたところという風に考えている。
色々、収支均あるいはプライマリーバランスを黒字化しながらしっかりと政策課題に取り組んでいくということは理解する。この4つの捉え方について、一言でいうとどういう捉え方なのかというところをもう少し私なりに理解しなければならない。私なりに一言で言葉を変えれば、「入るを量りて出ずるを為す」という考え方、それから「出ずるを量りて入るを量る」という、これは似たような話だが、微妙にやはり違う。どちらの視点で予算編成考えているのか。
山田総括課長
今後の当初予算編成に向けてだが、まさしく今、言及頂いたような「出ずるを量りて入るを量る」というところで、まず必要な歳出として、どのような歳出を組まなければならないか、どういった歳出を組まなければならないのか、どのような歳出が事業費としてかかるのか、というところをしっかりと見極めたうえで、それに必要な財源について確保していく、という考えで編成に向かっていきたいと考えている。
出ずるを制するというところをしっかり抑えるというところで、この公共施設に係る県民ひとりあたりの負担12,000円というのも示されているが、これを令和3年度の公共施設の管理実績と照らし合わせたときに、先ほど15,300円という話であったが、ここの12,000円の水準は何なのか、どう捉えているのか、この意味するところは、今後の公共施設の統廃合とか集約とか、どんな風に捉えているのか。
山田総括課長
財政目標の一つである公共施設に係る県民ひとりあたりの負担12,000円というところだが、まず設定の考え方としては、これまで過去の決算平均である12,000円という水準をひとつの目標として掲げている。考え方というところだが、今後、集約化、適正化していくにあたりましては、県民が利用する施設や県庁舎のような公用施設、職員が働くような場所というもので施設によって性質が異なるというところだが、それらの適正管理を推進していくにあたって、県民の方々に今まで以上の負担を求めないというところ目指して、コストの平準化を図っていく必要があるだろうと、という形でこのような目標を設定したところ。
出ずるを制するという考え方、大きく3つあるのかと考えている。支出、歳出の見直し、無駄なところは削除。あるいはどんどん切り詰めるというやり方だと、マインドも縮小していく。県の職員のモチベーションも下がっていくと思う。やはりこの国の補助事業とか有効な事業、それはソフトもハードも含めた、国の事業の活用や民間のファンドラとか、そうした2つ目の大きなポイントになってくる。あるいはスクラップアンドビルドの考え方も出てくるのかな、と考えている。ただ、この前の研究会の報告の中で、委員からの色んな議論の中でも、このスクラップアンドビルドについては、注意した方が良いのではという発言もあった。県の事業のスクラップアンドビルドをやろうとすると、ソフトの県単独事業が中心となってきて、色々小さな事業、私も経験あるが、100万円の事業、予算取るのに色々な資料を作って、どんどん頑張っても最終的にはゼロ査定みたいな、カットされて、新しい新規事業が頑張ったわりに出てこないという職員の感覚もあると思う。研究会の委員が御指摘していたが、組織の士気というか夢と希望のなくなるような、そういったところは十分注意すべきでないかという意見もあった。改めてそういうところの考え方を改めてお伺いする。
山田総括課長
今後の行財政運営にあたってのスクラップアンドビルドの考え方というところだが、研究会でも御議論いただいたところだが、財政状況、財政制約に捕らわれて重要な施策の選択を狭めてはならない、というところは我々も同じ思いというところであるし、今後、予算編成にあたっては必要となる事項、重点事項に対してはしっかりと大胆に重点措置をしていくという風に考えている。
(2)財源確保対策
入るを量るの方に入るが、昨日も軽石委員の質疑の中で、歳入確保対策について答弁があった。新たに50億円程度の予算を、シーリングをかけながら生み出していくんだというお話だった。その中で、新たに電気事業会計からの繰入金、土地開発公社の準備金の活用、ふるさと納税のさらなる魅力化、県保有基金の長期運用の拡充など、あらゆる選択肢について検討を尽くす、実現可能なものから取り組んでいくという答弁であったが、これはどの程度の規模で財源の目標と考えているのか。
山田総括課長
新たな財源確保策の規模感というところだが、先ほどまさに委員から御指摘のあった出ずるを量りて入るを制するというところで、今後事業の規模が決まるというところであり、歳入を確保していくべきかというのは年末年始の予算編成において検討していかなければならない課題と認識している。
(3)ふるさと納税の更なる魅力化
先ほどの財源確保対策の中に、ふるさと納税のさらなる魅力化というところも提示されていた。非常に大事なポイントと思っている。参考までに令和3年度の岩手県の実績、評価についてお伺いする。
山田総括課長
ふるさと納税に係る令和3年度の実績だが、令和3年度においては本県の受入額1.7億円となっている。この評価だが、47都道府県のうち14位という状況となっており、他の県と比べれば比較的高い水準であると考えている。
全国14位、1.7億円ということだが、全国的にもこのふるさと納税の寄附額はどんどん伸びている。平成26年度の岩手県が8,000万円という納税額、ただ全国シェア0.2%という中において、令和3年度1.7億円、全国シェア0.02%というところで、10分の1程度の水準になっている。山形が非常に多くやっておりますから、そこまで目指すかどうかは別にしても、色々市町村の取組もあるので、そこは県と市町村との競合する部分も出てくるだろうから、うまく連携してやっていくと思うが、ここらへん、ふるさと振興部が担当しているかもしれないが、健全な財政運営を確保するという意味で、財政課がある程度グリップして、主導権を握る考えはあるのか伺う。
山田総括課長
委員から御指摘いただいたとおり、ふるさと納税の市場規模は年々拡大しており、1兆円規模に上るような状況になっている。行財政研究会の議論においても、地域づくりであったり、政策への理念を広く提示して共感をいただく、それによって歳入を確保するのが有効でないかと言われている。こういった報告書等を受けて、総務部としても組織体制の拡充等を含めて、ふるさと納税の魅力化というものについては、報告書でもしっかりとやるべきだとされており、その点については検討を深めてまいりたいと考えている。
(4)市場公募型地方債
県は新たに市場公募型地方債、100億円規模の資金調達に取り組むということで聞いているが、まさにこの岩手県の魅力、県が今後どのような未来・希望ある県なのか、というところを投資家の皆さんに、やはり情報発信していくことが非常に重要になってくると思う。先般、説明会というか投資家の皆様にいってきたと思うが、投資家の反応、あるいは100億円規模の調達の目途はついたものなのか伺う。
山田総括課長
全国型市場公募債の発行についてだが、市場公募債を発行するにあたり、今の金融市場、足元のマーケットというところでいいますと、まずグローバルな金利変動の影響を受けており、かなり先行きが不透明な状況というところで、本県初となる市場公募債の発行になった。そのうえで、投資家に対するIR活動、インベスターリレーションズ、PR活動だが、今週の17日、全国の投資家が集まる合同IR会において本県の財政状況等をはじめとした魅力について、情報発信をさせていただいたところ。その結果というところだが、投資家からの意見聴取を実際に発行する前に行うこととなっており、プレマーケティングと言うが、そこでの反応はかなり良好なものであった。その結果として発行条件については、発行利率だが、他県と同じ利率になり、本県が発行する100億円を超える規模の申込みがあるようなところ。
2 広域振興局のあり方
(1)県と市町村の連携強化について
100億円を超えるということで、本当に岩手の、先ほどのふるさと納税にもかかるが、岩手の魅力を発信しながら、財源確保対策、行財政対策に取り組んでいただきたい。
市町村への職員派遣・交流の実績と、今後の取組の方向性について伺う。
人事課総括課長答弁
県と市町村の連携強化についてでございます。
県におきましては、県民計画の行政経営プランに「市町村との連携・協働の推進」を掲げまして、県民サービスの持続可能な提供を確保していくため、市町村との連携・協働の取組を一層進めることとしており、総務部といたしましては、必要に応じて職員派遣等も含めた支援を行ってきたところでございます。
このような中で、令和4年度は、12市町村に計13名の職員を派遣しているところでございます。
県といたしましては、人口減少の進展が見込まれる中、持続可能な行政サービスの確保など市町村単独では解決が困難な県政課題にともに立ち向かっていくために、職員の派遣・交流等の取組を一層推進して、更なる市町村との連携強化を図ってまいりたいと思ってございます。
(2) 市町村からの評価の反映について
広域振興局に対する市町村長や住民からの評価・検証をするべき時期にきているのではないか。
人事課総括課長答弁
市町村からの評価という点でありますが、広域振興局においては、管内の市町村長との意見交換や、圏域での各分野を代表する方々で構成される圏域懇談会等々、行政分野ごとの意見交換を随時行うなど、地域の状況やニーズの把握に努めているところと伺っています。
市町村からの意見については、具体的な施策に反映させるということで、広域振興局内で共有等しているほか、総務部としても、広域振興局が、市町村との緊密な連携の下に、それぞれの圏域の目指す姿を共有しながら、独自性や機能性を発揮した取組を一層展開できるように、広域振興局、ふるさと振興部と連携して、ボトルネックとなっている部分については、その解決に向けて、取り組んで参りたいと考えている。