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県議会報告
令和7年度9月定例会 決算特別委員会(商工労働観光部)(令和7年10月21日(火))
2025.11.28
1 物価高対策賃上げ支援金対 策等について
(1) 令和6年度物価高対策賃 上げ支援金、賃上げ環境整 備支援事業費補助の実績と 効果について
賃上げ環境整備支援事業 費補助金の実績と事業効果 について
令和6年度賃上げ環境整備支援事業費補助金の実績と事業効果について伺う。
【答弁者:経営支援課総括課長】
「中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助金」の実績について、令和6年度でございますけれども、63者に対しまして8,634万円の補助金を交付したところでございます。 これを使いまして、具体的には、生産工程の内製化を進め、外注費削減により製造原価率を向上させるとか、あるいは、新たな顧客獲得のための店舗の改装、外部専門家に委託した新商品の開発、最新IoT機器を装備した自動販売機の導入による24時間無人営業を可能としたほか、インバウンド対応を含めた営業体制の整備など、生産性向上に向けた様々な取組に活用されているところでございます。 その効果でございますけども、先ほども御答弁申し上げましたが、この補助金を交付した補助事業者の7割が、給与総額伸び率年率2パーセント以上というこの補助要件を達成する見込みとの回答でございまして、多くの中小企業・小規模事業者の賃上げの促進に効果を上げているという風に捉えております。
(2) 倒産発生率が全国 ワーストの現状認識について
本県の倒産発生率が初のワーストとなったことの現状認識(倒産件数、圏域別、業種別)と要因について伺う。
【答弁者:経営支援課総括課長】
東京商工リサーチの「倒産発生率」、こちらは普通法人に関する調査でございます。 倒産件数に関しましては、個人事業主を含む「暦年」の数字で申し
上げますと、令和6年の県内企業の倒産件数は76件、前年から19件増加しているところでございます。 圏域別、こちら広域振興局の区域別に申し上げますと、盛岡広域振興局管内が31件、県南広域振興局管内が30件、沿岸広域振興局管内が12件、県北広域振興局管内が3件、となっております。 また、倒産件数を業種別に見ますと、多い順に「建設業」、「サービス業」、「運輸通信業」というふうになっております。 県が実施した今年8月末時点での事業者影響調査では、エネルギー価格・物価高騰等による経営への影響が継続しているとの回答が約9割となったほか、多くの事業者が「原料・資材高騰への対応」、「人材確保」、「賃金の引上げ」、「価格転嫁」を経営課題に挙げておりまして、こうした厳しい経営環境が倒産発生率の増加の要因として考えているところでございます。
(3) 最低賃金額を下回る労 働者の割合(最低賃金影響 率)等について
過去最大の賃上げ幅79円増額、効力発効予定日12月1日だが、最低賃金額を下回ることになる労働者の割合「最低賃金影響率」は如何か。また、賃上げによる原資は、いくらと試算されるか。
【答弁者:労働課長】
岩手労働局による「令和7年最低賃金に関する基礎調査結果」によりますと、最低賃金を改定した後に、改定した最低賃金1,031円を下回ると見込まれる労働者の割合である影響率は33.3%でございました。労働者数では5万9,719人となってございます。これが、仮に1,031円まで引き上げた場合の試算のお尋ねかと思
うのですが、労働時間は様々であり正確な試算は困難でございますけれども、仮にこの5万9,719人全員が1日8時間、月20日で働くとすれば、単純計算ですが年間で約60億5,976万円余となるかと思います。
(4) 賃上げ原資を生み出す施 策について
昨年の最賃の答申で初めて「県として地域の実情に考慮した支援策の拡充・強化をすること。各種助成金申請に要する経費の支援等、賃上げ環境を整備する新たな助成金制度の創設を図ること。」と要望が明記されたが、県として、賃上げ原資をどのような施策を講じて生み出す考えなのか伺う。
【答弁者:商工労働観光部長】
今回の最低賃金の引き上げは過去最大の引き上げということで、非常に経営に大きな影響があるという風に考えてございます。 ただ今の試算で、約60億円程度の所要額ということでございますが、これにつきましては、これまでのスキームでもそうですけれども、全部県で支援するということはできませんので、やはり民間の力、1つは生産性向上・価格転嫁、それからやはり賃上げを需要・消費の拡大というものに結び付けるという、全体としての、これは県というよりも国全体となると思いますけれども、景気の好循環と言いますか、消費の好循環ということで賃上げ原資を生み出していくということが必要かと思います。 それに向けて、これから国の大きな経済対策が期待されているわけでございますが、その内容も踏まえまして、国の対策、取組と連動して、県も効果的な対策が打てるようにしっかりと準備をしていきたいという風に考えてございます。
(5) 県北沿岸事業者の経営課題、対策について
県北沿岸事業者の経営課題をどう分析しているのか。効果ある特別な対策は何か伺う。
【答弁者:経営支援課総括課長】
私どもが実施しております、事業者調査、最新の今年8月末の状況の調査で、県北・沿岸地区の事業者の経営課題というところをまとめておりましたところ、「原料・資材高騰への対応」や「人材確保」が多く、この傾向に関しては内陸事業者も同様であると捉えております。 また、今年度、県内の全商工会・商工会議所と意見交換を行っておりますが、その際、県北地区や沿岸地区の商工団体の皆様からは、例えばですが、東日本大震災津波の影響が引き続いているという声や、人口減少、人手不足などが内陸地区より顕著であると、このようなご意見を伺っているところでございます。 私どもとしましては、県北・沿岸地区の皆様にこれまでも行ってきたところでございますが、やはり生産性向上、価格転嫁の取組の強化、というのは継続していく必要があると思っております。 ただ先ほどから申し上げていますとおり、効果的な対策とするためには、最低賃金の引き上げと併せて、やはりまとまった額が必要でありますし、国の経済対策のメニューもどのようなものが出てくるか、というのも併せて考えなければならないと思いますので、引き続き関係商工団体との皆様との意見交換を行いながら、国の施策とも連動して必要な施策を検討してまいりたいと考えております。