ホーム  >  県議会報告  > 令和6年度9月定例会 決算特別委員会総括質疑(令和6年10月11日(金)

県議会報告

令和6年度9月定例会 決算特別委員会総括質疑(令和6年10月11日(金)

2024.11.27

1 令和5年度決算と人口減少対策について

(1) 総括的な評価について

今般、決算、つまりひとつの区切りであり答えが出たこの段階で、令和5年度の実績、すなわち実現できたことと、できなかったことをお聞きし、決算に対する総括的な評価を伺う。

 令和5年度は、新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、東日本大震災津波からの復興を進めるとともに、「いわて県民計画(2019~2028)」第2期アクションプランのもと、「自然減・社会減対策」をはじめ、4つの重点事項を中心に、政策を推進してきました。
 特に、物価高騰の影響を受けている生活者、事業者を支えるため、国の経済対策に全国に先駆けて呼応し、累次の補正予算を編成して、迅速かつ機動的に必要な物価高騰対策を講じてきました。
 また、全国トップレベルの子ども・子育て環境の実現に向けた取組をはじめ、各ライフステージに応じた総合的な施策の拡充に加え、若年層の県内就職やU・Iターンの促進による移住・定住施策の強化などに取り組みました。
 その結果、物価高騰対策賃上げ支援金については、令和6年9月 19 日現在、見込を上回る 2,562 事業所からの申請を受け付けるなど、賃上げの促進に効果をあげており、先日の岩手地方最低賃金審議会における過去最大 59 円の引き上げの答申の後押しにもなったと考えています。
 また、県内全市町村が第2子以降の3歳未満児に係る保育料無償化を実施、i-サポの登録料無料キャンペーンにより会員数が大幅に増加、県外からの移住・定住者数が着実に増加し、令和5年度は過去最多を更新したほか、高卒者の県内就職率が高い水準で維持されるなど、一定の成果につながったと考えております。
 一方、県が商工指導団体と連携して実施している調査結果などから、県民や事業者への物価高騰の大きな影響が続いていると認識しており、賃上げ支援金や、生産性向上に取り組む中小企業に対する設備投資補助、事業継続に向けた相談体制の強化などを実施しているところです。
 また、本県からの転出超過や出生数の減少が続いていることから、少子化対策、社会減対策の3つの柱を基本に、アンコンシャス・バイアスの解消や、全ての方が自己実現や多様な働き方ができる職場環境の整備、関係人口・交流人口の拡大など、ジェンダー平等の視点や、社会経済情勢の変化、市町村等のニーズを踏まえた施策の充実、強化を図ってまいります。

令和5年決算の点数について伺う。

これは多くの人たちが関わって執行した決算でありまして、私が今この場で、思いついて点数をつけることはちょっと難しいと思います。

先般、読売新聞のインタビューで当選してから1年間振り返って、80点という点数をつけていたがその意味を伺う。

あれは自分自身についてということで、100 点満点というわけにはいかないだろうということで、80 点にしました。

(2) 人口減少対策について

ア  社会減の要因分析と今後の対策について

この5年間、14歳から19歳、20歳から24歳の年代では一貫して男性より女性の方が転出数が多い。この要因と背景について、本質的な課題を当局はどのように分析し、これまでの取組みの何を改善し、今後どう対策を講じようとしているのか伺う。

 本県の人口の社会減は、進学・就職期における若年層の転出が大きな課題となっており、とりわけ、女性の転出数が男性を上回る傾向が続いているところです。
 本年6月に内閣府が公表した調査によりますと、地元と異なる地域に進学・就職した理由として、男女ともに「自分の能力や関心に合った学校・仕事が無かった」と回答した比率が高いほか、特に女性の回答割合が高い「親元を離れた生活」、「私生活の充実」との理由と相まって、進学先・就職先や余暇などの面において、多様な選択肢がある東京圏へ転出していると分析し、本質的な課題は東京一極集中にあるものと認識しています。
 令和6年度当初予算においては、社会減対策の3本の柱に加え、少子化対策の3本の柱の一つにも、女性の社会減対策を位置づけ、女性の多様で柔軟な働き方の推進、女性や若者がいきいきと活躍できる環境づくり、所得向上を図るためのスキル取得や就労に向けた支援、性別に基づくアンコンシャス・バイアスの解消に向けた啓発など女性の雇用労働環境の改善等に係る事業の創設や拡充を図ったところです。
 今後に向けては、9月に開催した第2回人口問題対策本部会議で確認した取組の方向性に基づき、若者・女性やジェンダー平等の観点から、企業の魅力・採用力の向上と多様な働き方ができる職場環境の整備、首都圏の社会人層をターゲットとしたU・Iターンの推進、多様なニーズやライフデザインに応える地域づくりなどの施策の更なる充実を図るとともに、特に人口減少が深刻である県北・沿岸地域や小規模町村に対する支援を強化していきたいと考えています。

東京一極集中が本質的な課題であるとしているが、仙台圏への転出割合の方が高く、県民所得の乖離も課題ではないか。

これまで様々な社会減対策を講じてきたところであるが、女性の社会減が本県にとって大きな課題であり、女性が活躍できる県内企業や大学の情報発信に取り組んでいるところです

県北地域の減少が大きいが、具体的にどのように取り組んでいくのか。

県北・沿岸部は、県平均を上回る人口減・社会減となっており、県北・沿岸の振興は引き続き重要な課題であることから、担当室課である県北・沿岸振興室を中心として、関係部局と連携を図りながら、全庁的な取組を強化していきたいと考えています。

イ 自然減対策について

令和2年から令和5年にかけての出生数の減少率、全国ワースト3位でアクションプランの目標値、合計特殊出生率1.58を達成するには、私の試算では出生数のギャップが約2,000人ある。このギャップを埋めるために、本質的な課題をどう分析し、これまでの取組の何を改善し、どういった対策を講じようとしているのか。

 出生数の減少は、様々な要因が関係していると認識していますが、県が行った少子化要因の分析においては、子育てや教育への経済的負担感や仕事と子育ての両立の難しさなどが、結婚行動や出生行動に影響している可能性が認められたことから、結婚や子どもを持つことを希望する方が直面する様々な困難を解消していくことが重要であると考えています。
 そのため、自然減対策の今後の方向性として、有配偶率の向上については、結婚支援、若者のライフプラン形成支援及び若年層の賃金等向上策の強化などを、有配偶出生率の向上については、仕事と子育てを両立するための子育て支援サービスの充実などを、女性の社会減については、雇用労働環境の安定、活躍できる職場の創出に向けた取組の強化などを、掲げたところです。
 さらに、各市町村がそれぞれの地域事情に応じた少子化対策に取り組めるよう、今年度新たに、地域課題の分析に基づく、専門家と連携した、少子化対策の伴走型支援も併せて実施しています。そして、これらの取組を進める中で、出生数などの向上には、社会減対策との連動も重要であると改めて認識されてきたところです。
 引き続き、結婚や子育てに係る経済的負担の軽減などの自然減対策に取り組むとともに、地域の実情に応じた実効性のある取組を推進しながら、予算編成過程を通じて、社会減対策との連動のあり方についても検討していきます。

(3) 賃上げ支援について

 令和5年度の補正予算で「中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助」が措置されたが、予算額2億円に対し、補助交付実績は約7,500万円に留まる。物価高騰対策賃上げ支援金の枠は40,000人に対し、申請は18,241人に留まる。予算額21億円に対し申請額9億1,200万円と5割に満たない。これは県内においてどのくらいのインパクト、実際の効果があったと捉えているか。(効果的に事業が行われていないのではないか。)

 エネルギー・原材料価格の高騰に伴う物価高に対応するための賃上げの促進や、人口減少の進展に伴う人材確保が、中小事業者の大きな課題となり、これに迅速に対応する支援策を講ずることが求められていたところでござ
います。
 このため、昨年度、「物価高騰対策賃上げ支援金」を全国に先駆けて実施するとともに、中小事業者の賃上げを実現するためには、生産性向上と円滑な価格転嫁を推進することが重要であることから、「中小企業者等賃上げ環境整備支援事業」を併せて実施し、加えまして、円滑な価格転嫁に向けたパートナーシップ構築宣言の普及拡大などに取り組んだところです。
 「物価高騰対策賃上げ支援金」については、当初見込んでいた 2,000 事業所を上回る 2,562 事業所からの申請を受け付けているところであり、「中小企業者等賃上げ環境整備支援事業」につきましては、パートナーシップ構築宣言を行っていることを要件とし、経営革新計画に盛り込んだ新事業活動を補助対象経費としたところであり、直近4年間で 246 事業者が経営革新計画を策定しているなかで、51 事業者に活用いただいたところです。
 こうした状況から、これらの取組は、価格転嫁の実現が厳しい小規模事業者を含めた多くの中小企業者の賃上げの促進に効果を上げていると考えております。

 要件の緩和について、100人以下の中小企業者も積極的に申請できるよう、支給対象人数の枠を広げるなど、制度の見直しについて、所見を伺う。

 今般の賃上げ支援金の申請状況、これまでも分析しておりますけれども、圧倒的に 20 人以下の事業所が多いという状況でございます。20 人までとした要件を撤廃したときにどうなるかということについて、しっかりと分析したいと思っておりますが、今時点で申請状況を見たときに、20 人までとしたことによって利用が進まなかったという状況にはなかったというように思っております。

今回の申請状況を見ると、沿岸地域13.6%、県北地域わずか6.4%となっている。県北・沿岸地域を中心とした若い女性の流出の現状もあり、賃金上昇に向けた取組を手厚くすることが必要なのではないかと考えるが、所見を伺う。

 県北・沿岸地域に配慮した事業構築について、一般質問でも出ており、その際にも答弁しておりましたが、賃上げ支援金につきましては、一定水準以上の賃上げをしたことを要件としておりますので、仮に、県北・沿岸地域のみ低い賃上げでも良いというインセンティブを付けた場合、格差の拡大にもなっていくということになります。
 それから、賃上げに係る経費を県が半額負担するという事業構築になっておりますが、これを県北・沿岸地域のみ県負担分を増やすというやり方がいいのかというのも、考えていかなければいけないということから、県北・沿岸地域の事業者が、今どういう経営課題を持っているのかということをしっかりと把握した上で、効果のある特別な対策をやっていくのが大事だというように考えております。

(4) 追加的な賃上げ支援について

岩手県の最低賃金は893円から952円に59円の改正となったが、企業にとっては原資をどう生み出すかが重要である。物価高騰等にあえぐ中小企業に対して県として更なる支援、対応が必要と考えるが知事の所見を伺う。

 地域経済を持続的に発展させていくためには、処遇面を含めた若者や女性に魅力ある雇用・労働環境を構築し、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができるようにしていくことが重要であります。
 こうした考え方のもと、昨年、最低賃金が大幅に引き上げられたことを踏まえ、県では、円滑な価格転嫁の促進に向けたパートナーシップ構築宣言の普及拡大に取り組むとともに、「物価高騰対策賃上げ支援金」による賃上げ原資の補填や、「中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助金」などにより、経営革新を図りながら生産性向上に取り組む中小企業に対する伴走支援を展開しているところです。
 一方、県内の多くの中小企業は、エネルギー・原材料価格の高騰などの影響、また、価格転嫁が十分に進んでいないことなどにより、人材確保のために防衛的な賃上げを余儀なくされるなど、その経営環境は引き続き厳しい状況にあります。
 今般、国が 50 円という目安額を示し、岩手県では 59 円という引上げ額となり、最低賃金が更に引き上げられるなかで、消費の拡大と賃金の上昇の好循環を生み出す国の大胆な経済対策が求められており、そうした対策の実行を国に働きかけながら、県としても商工指導団体を始めとした関係団体等との連携のもと、今後の対応策について検討を進めてまいります。

 岩手県の最低賃金引上げ額59円の根拠は何か。また、最低賃金法第9条の三要素に賃金支払能力があるが、これについて、県はどのようにとらえているのか。

 通常、事業の賃金支払能力につきましては、個々の企業の賃金支払能力を指すものではなく、また、状況の厳しい産業や企業の状況のみを見て議論するのではないとの考え方のもと、国及び地方それぞれの最低賃金審議会において、賃金改定状況調査の結果や、消費者物価指数を始めとした、各種統計資料をもとに、議論を行った上で、通常の事業の賃金支払能力の有無を含めて、総合的に判断されたものと承知しております。
 このような、最低賃金を決定する上での、通常の事業の賃金支払能力につきましては、ただいま申し上げたような考え方に基づいて行われたものですので、県や私の立場でその有無があるかどうか申し上げることが難しいと考えております。

 岩手県中小企業団体中央会での緊急調査の結果によると、賃金増加分の補填助成金あるいは生産性向上支援、価格転嫁対策といった部分について、対策を求めている声がある。こういった要望に応えていくべきと思われるが、御所見を伺う。

先ほど、知事が答弁申し上げましたとおり、県内の多くの中小企業者は、防衛的な賃上げを余儀なくされているなど、経営環境は引続き厳しい状況にあると考えているところでございます。
 そのようなお話は、岩手県中小企業団体中央会のほか、様々な団体からもお聞きしているところでございます。そうした状況を踏まえつつ、消費の拡大と賃金の上昇の好循環を生み出す大胆な経済対策が今一番求められているということであり、そのようなことを汲み図りながら、県としての対応を早急に進めていきたいと考えております。

2 財政運営とマニフェスト+39について

(1) 中期財政見通しについて

人口減少の影響を最小限に抑え、この危機的状況をいかにして乗り越えていくのか、知事の考えを伺う。

 今回公表した中期財政見通しにおきましては、人口減少の影響等により県の実質的な一般財源が縮小傾向にある一方で、人件費や社会保障関係費のほか、金利上昇に伴い公債費も増加していくと見込んでおり、今後の財政運営は、より一層厳しさを増していくものと認識しております。
 このような状況に対して、「いわて県民計画(2019~2028)」第2期アクションプランで掲げる4つの重点事項の推進と、総合的な産業政策の展開により、地域内経済循環を拡大して税源の涵養を図り、人口減少下においても県税収入の増加を目指していくほか、各種基金の有効活用、ふるさと納税や使用料の見直し、より低利な資金調達など、あらゆる手法による歳入確保に取り組むとともに、事務事業の精査など、徹底した歳出水準の適正化と限られた財源の重点的・効果的な活用に努め、将来にわたり、安定的な行財政運営を行うための財政基盤を構築してまいります。

基本的な知事の財政の考え方、予算の考え方を伺いたい。今回の新一万円札の渋沢栄一さん、彼が150年前に「入るを量りて出ずるを為す」、国の放漫予算を求める施設面に関して大蔵省が出している。「入るを量りて出ずるを制す」、歳入見込を制約して歳出を決めるという考え方、あるいは、「出を図りて入りを制す」、歳出所要額を基に歳入を決める、知事はどっちの考え方か。

行政の長としては、先程から申し上げているとおり、安定的な行財政運営を行うための財政基盤を構築した上で、いわて県民計画に掲げる政策、特に重点事項を中心に進めていく。

(2) 政策の重点化について

 知事のリーダーシップのもと、政策を形成していく過程から「必要性と優先順位」を全庁的に議論し、見極め、重点化について責任をもって判断していく必要があると考えるが、具体的に成果が上がらなかった事業をどう見直したかをお示し願う。併せて、岩手県庁においては、どのような体制・取組でもってゼロベースからの政策の重点化を担保していくのか、伺う。

 令和6年度当初予算では、「いわて県民計画(2019~2028)」第2期アクションプランのもと、「自然減・社会減対策」・「GXの推進」・「DXの推進」・「安全・安心な地域づくり」の4つの重点事項を設定して、昨年度を実質的に上回る 840 億円を措置し、大胆な予算の重点化を行いました。また、政策等の評価に関する条例に基づき、令和5年度の政策評価及び事務事業評価を実施し、令和6年度の政策等の立案、予算編成等に反映させることで、事業のスクラップアンドビルドを行いました。
 この結果、政策推進プラン構成事業のうち、「保育対策総合支援事業費」では、保育士の相談先として、保育士・保育所支援センターが認知されるように周知方法を見直し、保育人材の確保に取り組むなど、52 事業を見直しました。併せて、広域防災拠点設備等整備費など、6事業を縮減し、ドローン技術社会実装促進事業費など、24 事業を廃止・休止することで、約 15 億円の縮減を実現しました。
 令和7年度に向けては、私が本部長を務める人口減少対策本部において、重点的に取り組む事項と施策のポイントを明確化したところであり、それらをもとに、部局横断の政策推進クロス・ファンクショナル・チーム等で施策内容の検討を行っています。
 また、令和7年度予算編成の方針において、「令和6年度岩手県一般会計予算付帯意見」等も踏まえ、「政策評価結果等を踏まえた積極的な見直しや再構築」を行うこととしており、具体的な事業検討において、その必要性と優先順位を見極め、重点化を図ってまいります。

(3) マニフェスト+39実現のための経費について

知事はマニフェスト+39実現のために施設整備事業に必要な予算規模と財源をどのように見積もって確保するのか。具体的にお答え願いたい。

 「マニフェスト+39」に盛り込まれた施策は、それぞれ熟度が異なっていることから、その進捗状況に応じて、随時、その内容をお示ししていきます。
 施設整備などの大規模な投資の実施に当たっては、整備方針や場所、規模や機能等の検討と併せ、予算規模や所要の財源、その確保策についても、具体的に検討してまいります。
 また、4つの財政目標や「岩手県公共施設等総合管理計画」、金利や人件費、資材価格の推移など、社会経済情勢等にも配意しながら、予算編成過程において、中長期的な見込も立てつつ、必要な予算を確保してまいります。

私なりに施設整備に必要な予算規模を大きく7施設で試算すると、約660億円ほど必要になると見ている。中期財政計画に反映されている施設もありますけれども、それに載っていないような「ハイボリュームセンター」や「リハビリセンター」など様々ありますが、これらの県財政の影響をどのように見ているのか。

 マニフェスト+39に盛り込まれた事業につきましては、施設の整備方針や場所、その規模等について具体の検討を進めながら交付税措置のある有利な地方債など、活用できる国の財源措置も合わせて検討している段階であり、一概に財政運営の影響について申し上げることは困難と考えている。
 財政指標を目安ということでありますが、例えば実質公債費比率については、機械的な試算ではございますが、交付税措置のない県債を約 600 億円発行した場合に、後年度の比率が約1%上昇するということであります。
 これら健全化判断比率等の財政指標の状況も踏まえて、公共事業など他に財政状況に影響する事情を総合的に勘案し、投資の規模を検討していく必要があると考えております。

(4) 特別秘書の制度について

全国の38府県では、厳しい世間からの指摘を受けて廃止、設けていない。ゼロベースで見直すならば、まず足元からやってはいかがかなと思うが、知事の御所見を伺う。

 長野県知事特別秘書に係る訴訟の判決において、「知事という特別職に属する公務員は、かえって政治的に活動することによって公共の利益を実現することも職分とする公務員であり、その政治的活動に係わる政務につき、公務員としてこれを補佐する秘書を設けることが、その職務の円滑、効率的な遂行に資するもの」として判示されています。私がやってしかるべき政治活動について、私は行政の長としてやるべき仕事も多いので、その私の政治活動を政務秘書に代わりにやってもらう部分が多くなっているのですけれども、特に最近、岩手県において、現職参議院議員が刑事事件で起訴され、辞職に至ったという岩手県政史上過去に例が無いような不祥事が起きておりまして、この不祥事に対する岩手県民の怒り、悔しさ、驚きは大変大きく、汚名を返上し、本来の岩手の政治のあるべき姿を取り戻すことが求められており、私としてもそのような政治活動を強化しなければならないと思っております。
そのような他の県には無いような事情が岩手県にもあることもあり、今ますます、政務秘書は、やらなければならないことが多くなっている状況です。

今回、そういった政治活動、国政の選挙もありますけれども、この政務秘書、特別秘書は、応援とか活動をされるのか。

 岩手県民が選挙の主役として、この誇れる参院補選を実現する。そして、この汚名を返上して、本来の岩手の政治のあるべき姿を取り戻す。このために、私が活動することは、長野県のこの判例にあったような政治的に活動することによって公共の利益を実現することです。
 現職参議院議員が刑事事件で訴追され辞職に至って、補欠選挙が行われ、例えば、全国ニュースで、この第一声の様子が日本中に報じられるなど、そうした汚名を返上するということは、岩手県民にとって公共の利益を実現することに他ならないのではないでしょうか。
そのために、私も政治家として、かえって政治的に活動することによって公共の利益を実現することの職分とする公務員として、やはりかなり今回はやらなきゃならないのではないかと思っておりますし、そして政務秘書には、それを補佐してもらおうと思っています。

(4) 医療について

ア 次期経営計画について

かなり前向きな計画となっているが、これをいかに実現・達成していくのか。この収支計画の達成による県財政、一般会計への影響を医療局としてどう見込んでいるのか、併せて伺う。

 まず、収支計画の実現に向けては、機能分化と連携強化の基本方向のもと、機能集約・強化型の病院に、症例を集積し、診療単価の向上を図るほか、サイバーナイフ等の高度医療器械を重点配置し、他県に流出していた患者を積極的に受け入れていきます。
 また、地域病院においては、基幹病院との連携により、回復期の患者の受入れを強化する等県立病院全体で、収益の確保に取り組むとともに、費用面では、患者数に応じた病床数の見直しのほか、必要性や収益性、業務の効率化による職員配置の適正化、薬品や診療材料の品目統一化、廉価購入、といった取組を不断に進めながら、計画達成に努めて参ります。
 次に、収支計画の一般会計への影響についてですが、県立病院への繰入金は、病棟再編による病床数の減少、紫波地域診療センターの廃止により一定の縮減が見込まれますが、救急や周産期、精神医療など政策医療として実施している分野は、次期経営計画においても変わらず担っていくことから、不採算医療を中心とした繰入金の総額には大きく影響がないものと見込んでいます。

イ 重点支援区域について

 宮城、山形、新潟などの先進事例を参考として、重点支援区域として設定して国からの技術的・財政的支援を受けながらより良い医療の提供のための体制を検討していくべきではないか。

 重点支援区域については、国において地域医療構想を推進するため、複数医療機関の再編、統合について開設者から要請があった場合、地域医療構想調整会議の合意を得て都道府県が申請し、国が選定した上で、技術的支援及び財政的支援を行うものとなっています。
 現時点においては、県内医療機関からの重点支援区域の要請実績はないところでありますが、複数医療機関における再編、統合に加え、機能の見直しなどについても、重点支援区域の対象となる場合もありますことから、医療機関に対し、国による技術的支援や財政的支援の内容を周知しながら、開設者からの要請があれば、重点支援区域の申請について検討していくことを考えています。

ウ 新たな超過課税制度について

 現在、県庁内部で先行事例の研究や課題の整理等を進めているところであり、宮城県の宿泊税構想や滋賀県の交通税構想など、全国的に具体の検討が進んでいる事例の動向についても、随時、情報収集しているところであります。
 地方税は、地方自治の根幹にかかわる部分でありますことから、住民サービスの受益と負担の対応関係の明確性などの観点から、丁寧な議論が必要であり、持続的な財源確保策の一つとして、様々な論点を考慮しながら、検討を進めてまいります。

3 公共施設の適正管理について

(1) 県庁舎について

ア 県庁舎の方向性について

県庁舎整備について、改修なのか建替なのか、整備場所をどうするのか、財源をどうしていくのか、着手時期はいつか、どうしていくことが「後に負の遺産を残さない」ことだと考えているのか、見解を明確にお示し願う。

 先ずは、東日本大震災津波後の県庁舎の現状を把握するため令和4年度に耐震診断に着手し、その技術的知見を踏まえた上で、令和5年度から様々な分野の有識者からなる懇談会を開催し、今年度末には「県庁舎の在り方報告書」を取りまとめることとしています。
 整備手法については、有識者懇談会で示された「一部建替」、知事局棟の改修を最小限にとどめ、耐震性が低い議会棟を高層化するというアイデアは、DXの進展など社会情勢が激しく変化する中で 30 年程度の時間的留保を持ちつつ、相対的に財政負担が抑制できる手法として評価しています。
 整備地区については、一団地の官公庁を形成し、災害耐性にも優れる現在の県庁舎がある内丸地区を中心に議論が行われているところです。
 有識者懇談会の報告書を受けて、来年度から具体的な基本構想、基本計画の策定を開始し、令和8年度中には整備手法、整備地区、整備規模と必要となる財源及びその確保の方法について、明確にお示ししたいと考えております。

イ 職員の安全確保について

10年も不安な状況を抱えて仕事をさせるのか。行政の不作為と言わざるを得ない。万が一の場合は誰が責任を取るのか伺う。

 昭和 56 年の建築基準法の改正以降、耐震基準を満たさない既存不適格の状態が続いてきましたが、最新の技術的知見によれば、知事局棟は、震度6強の地震で倒壊する危険性は低く、本県では震度6強を上回る地震の発生が想定されていないことから、直ちに危険な状態になるとは認識していないところです。
 一方、議会棟については、議場が大空間で特殊な構造となっており、震度6強の地震に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が高いとされているため、耐震化が急務となっています。
 大規模な建築物である庁舎については、早急に耐震化に着手した場合でも、設計や工期を勘案すれば整備完了までに一定程度の期間を要することから、職員の安全のみならず、防災拠点として県民の安全・安心を確保していくた
めにも、1日も早く耐震化に着手することが責務と考えています。

(2) 公共施設等総合管理計画について

施設の必要性や規模の見直し、機能統合の視点も含めて検討が必要。また、財政負担についても、中期財政見通しとリンクさせるなど厳に見極めていく必要があると考えるが、策定に向けた道筋と当局の所見を伺う。

 現行の公共施設等総合管理計画では、県の人口ビジョンを踏まえ、2040 年までに公共施設の延べ床面積を 85%程度まで削減することを目標に取組を進めており、取組開始2年目となる令和5年度末では、利用が低調な職員公舎、庁舎を中心に3.2%の削減実績となっています。
 厳しい財政環境の中、この取組の実効性を高めていくためには、委員御指摘のとおり、真に必要な施設を見極めて行く必要があることから、現在、県民生活に直結する県民利用施設等 67 施設を対象に、施設の利用状況や維持管理
コスト、建物性能を点数化する「定量評価」と、施策上の必要性や代替の可能性などを評価する「定性評価」のいわゆる2軸評価を行っています。
 この評価を、来年度策定する次期公共施設等総合管理計画や大規模施設等整備事業の優先度評価に活用しつつ、その財政負担についても令和7年度に策定する中期財政見通しに反映させてまいります。

(3) スポーツ医・科学センターと県営体育館の整備について

 医・科学センターの機能も併せ持つ新たな体育館整備については私も賛成であるが、立地場所の検討に当たっては、渋滞状況等も含む道路アクセスの良さや適切な面積の確保、既存の社会資源の活用や連携も考慮することが必要であり、現在地にこだわることなく、適地を検討していく必要があると考えるが、現在の検討状況を含め当局の所見を伺う。

 先月公表した「県営スポーツ施設のあり方に関する報告書」において、まず、県営体育館については、
・ 担う役割や今後の市町村施設の改修状況等を踏まえた検討が必要であること
・ 長期的に維持する場合、同様の機能を有する県勤労身体障がい者体育館と集約した高機能の体育館整備を検討することが望ましいこと

また、スポーツ医・科学センターにつきましては、
・ 競技力向上を図る観点から、本県におけるスポーツ医・科学の拠点とし て整備することが望ましく、県民の健康づくりの機能も持つ拠点の必要性も併せて検討する必要があること
・ 県営体育館及び県勤労身体障がい者体育館の集約など他の施設との併設と併せて検討する必要があることなどとしています。
 スポーツ施設の整備に当たりましては、只今、委員御指摘の視点は重要と考えており、さらに、
・ 利用者等のニーズを踏まえた提供すべき公共サービスのあり方
・ 施設整備費の軽減や、整備後の収益の向上、管理・運営費の低減策
・ 環境負荷の低減やユニバーサルデザインの導入
・ スポーツにより地域を活性化させる施設という観点
なども十分に考慮して、まずは、長期的な運営を見据えた施設のコンセプト内容の検討が必要と考えています。
 こうした考えのもと、現在、県営体育館の個別施設計画の改訂作業の検討に着手するとともに、スポーツ医・科学センターについては、最先端の医・科学の動向などを踏まえ、他県の事例等の調査を行いながら、必要な機能や規
模などの具体的な検討を進めているところです。

マニフェストの表現で、「建設します」と「整備を進めます」との違いを解説願う。

いずれ、あり方については今それぞれ検討したり着手したりしているところでありまして、このマニフェスト+39 は、既存の県の計画や事業に、接ぎ木のように付け足すものではなくて、既にある既存の県の事業や計画の中に混ぜ込んで、溶かし込んで、そして、それぞれの関連する担当において、今、正にスポーツ医・科学センターについての答弁にあったように、他の色んな政策や他の色んな事業との兼ね合いですとか、それを一緒にするとか、そういったことも併せて検討してもらっているわけでありますけれども、「建設する」「整備する」それぞれ、そのような形で県としての政策の中にうまく溶け込んで、実現に向けて進んでいるというところです。

4 農業施策について

(1) 農業ビジョンの策定について

 国が、食料・農業・農村基本法を改正したことなどを踏まえ、本県農業の目指す姿や方策を盛り込んだビジョンを示し、力強く前向きなメッセージを示すことが急務である。6月定例会において、農業ビジョンの策定に向け、検討を進めていく旨答弁があったが、その後、市町村や関係団体からどのような意見が寄せられ、これを踏まえていつまでに農業振興ビジョンを県民に提示しようとしているのか伺う。

 これまで、県内全ての市町村や農業協同組合長等との意見交換を実施し、生産性・市場性の高い産地づくり、地域の強みを生かした生産の推進、環境負荷低減と安全安心な産地づくり、担い手の確保・育成などを中心に、意見を伺ったところです。
 意見交換においては、食料自給率を見た時に、岩手県の果たす役割は大きいといった意見のほか、
・ 高温対策を進めるとともに、スマート農業による生産性向上が必要
・ 水田地帯では米をしっかり生産し、沿岸地域を野菜産地にしたい
・ 自然の豊かさという強みを発揮しながら環境負荷低減を進めてほしい
・ 法人への農地の集約化とともに、多様な担い手を支えることが必要
など、多くの意見をいただきました。
 今後も、生産者や農業団体等の意見を広く伺いながら、今年度末の策定を目途に現在議論が進められている、国の「食料・農業・農村基本計画」の策定などの動向も踏まえつつ、策定時期も含め、農業ビジョンの検討を進めてまいります。

一般質問において、基幹的農業従事者数が、現在の4万人から20年後には1万人に減少するとの質問がなされたが、こういった人口減少の見通しも踏まえた内容になるのか伺う。

生産者や農業団体等の意見を広く伺いながら、策定時期も含めて、農業ビジョンの検討を進めているところでありまして、意見としては、先ほど述べたようなものが出ているというところであり、多様な担い手を支えるといったところに、委員御指摘の要素も入っていると思います。

(2) 産学官連携による自給飼料生産の推進について

産学官連携で本県が率先して、自給飼料の生産を推進し、畜産業の経営安定につながる「岩手モデル」を構築すべき。具体的にどのような取組を展開するのか伺う。

 産学官連携による自給飼料生産の推進についてでありますが、岩手大学では、県や県北部の6市町村、民間団体など 28 機関と連携し、畜産を核とした地域活性化モデルの構築に取り組むプロジェクトの検討を進め、今月1日に、国立研究開発法人科学技術振興機構が公募する研究プロジェクトに採択されたところです。
 このプロジェクトは、将来的に、豊富な飼料基盤を活用した飼料生産や、就業希望者が参入しやすい飼養管理技術をはじめ、都市との交流による関係人口の拡大等の実現を目指すものです。
 具体的には、循環型飼料生産流通システムや、誰もが放牧管理を行うことのできる次世代型放牧技術、獣医師不在地域等を対象とした産業動物遠隔診療システムなどの研究・開発に取り組むものです。
 こうした取組は、県の畜産施策や人口減少対策と方向性が合致することから、県として積極的に参画しており、今後も、本プロジェクトの中核となって、産学官の緊密な連携のもと、共同試験研究への参画、本県ならではの自給飼料の増産や獣医療の提供などを通じて、全国的にも先行モデルとなる持続的な畜産業の発展に取り組んで参ります。

(3) 農業農村整備の加速化について

国が国土強靭化のために5か年の特別対策を組んだように、期間を区切った農業農村整備の加速化対策・集中的な取組を打ち出してはどうか。知事の所見を伺う。

 本県農業が、地域経済を支える基幹産業として、持続的に発展していくためには、地域農業の核となる担い手の確保・育成とともに、生産性・収益性の高い農業の実現に資する基盤整備が重要です。
 ほ場整備事業の予算については、国全体の予算が横ばいの状況にある中、国から本県への配分額も横ばいとなっており、ほ場整備事業の加速化を図るためには、委員御提案のような県の取組だけでは難しく、まずは、国の予算確保が重要と考えています。
 このため、県では、国に対し十分な予算措置を繰り返し求めるとともに、今年8月には、全国知事会の農林商工常任委員長として国に事業の推進に必要な予算確保を要請したところです。さらに、ほ場整備事業に予算を重点化するほか、建設コストの縮減を図りながら、事業推進に取り組んでいます。
 ほ場整備事業は、地元の合意形成から事業実施まで一定の時間を要することから、事業の見通しなどを地域に丁寧に説明するとともに、市町村と連携し、地域の話し合いに参画しながら、その思いをしっかりと反映させた営農構想が作成されるよう支援しているところであり、今後も、地域のニーズに応じた基盤整備が早期に進むよう取り組んでいきます。

地元の合意形成から事業が完了するまで、15年から20年を要している。工期の短縮や地区を重点化して進めていかなければ、受益者が待てないという声を聴いている。このことに対する知事の考えを伺いたい。

 事業完了まで時間がかかることについて、自分が生きているうちに事業が完了するか、後を継がせることができるかという不安の声を直接耳にしている。
 一方で、地元の皆さんが作った地図をもとに丁寧に意見を交わし、丁寧に取り組んでいくのがほ場整備事業であることから、時間がかかっているところをできるだけ短縮していく工夫と努力を県としても様々すべきであると考えている。

5 県庁の組織運営について

(1)復興防災部の設置意義と職員育成について

復興防災部は、近年設置された比較的新しい組織で、防災・危機管理のプロ集団であってほしいと考えるが、改めて、その設置意義と、プロ集団を構成するいわば防災のプロ職員をどのように養成していくのかを伺う。

 防災対策における当部のミッションは、御指摘の岩手山の噴火災害や日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震、激甚化・頻発化する豪雨災害など、今後起こり得る災害に対して、でき得る限りの対応を図ることと認識しております。
その危機管理能力の向上に向けては、研修や訓練の充実、関係機関との人事交流などが重要とされており、当部においても各種訓練や防災士資格を有する職員による内部研修、消防や警察、自衛隊との人事交流などを行っております。
 また、本県が独自に設置している「風水害対策支援チーム」や「火山活動に関する検討会」など、外部専門家との連携も積極的に図っており、一昨日開催された危機管理産業展2024においても、このような本県独自の取組を紹介させていただいたところです。
 防災・減災の主流化が世界的な潮流となる中、当部を中心とする防災人材の育成や確保などにさらに取り組んでまいります。

(2) 長期療養者の状況について

精神疾患により継続して療養されている職員数と、そのうち20代の若手職員の人数について、10年前と比較して増加しているが、なぜ歯止めがかからないのか。

 職員の精神疾患による療養者の状況についてでありますが、令和5年度における 14 日以上の継続療養者数は、実人数で 100 人であり、10 年前(平成26 年度)の 54 人から約 1.9 倍となっています。このうち、29 歳以下の職員は、全体の約半数となる 51 人であり、10 年前の5人から約 10 倍となっています。
 こうした状況の背景としては、社会経済情勢の変化等に伴う業務の多様化、複雑化や、度重なる災害など、危機管理事案への対応などにより、職員の心身に大きな負荷がかかる場面が多くなっていることなどが考えられます。
 また、療養に至る要因としては、職員アンケートや健康サポートルームで受けた相談内容によると、業務の量や質、職場における人間関係などの悩みや不安、個人的な事情、あるいはこれらが複合的になっていることがみられ、職員個々の状況に寄り添った対応を行っていくことが必要と認識しています。

(3) 若手職員の退職状況について

知事部局の普通退職の状況について、特に採用10年未満で退職している状況を含め伺う。

普通退職の状況についてでありますが、知事部局における普通退職者数は、令和5年度は 57 名となっております。
このうち、採用 10 年未満の若手の退職者は 41 名で、退職者全体の約 72%となっており、退職の理由については、それぞれの職員の事情もあり、全てを把握してはおりませんが、転職等によるものが約 49%、結婚が約 15%、病気療養が約2%となっております。

(4) 知事の所感とマネジメントについて

長期にわたり県庁のトップである知事は、この状況(若手職員の精神疾患による療養者や退職者の増加)をどう捉えているか。多選の影響が顕れているのではないか。ここからどのようにマネジメントし、若手をはじめとする職員のモチベーションを高め、県庁組織を運営していこうとしているのか。

 若手職員に対する認識とマネジメントについてでありますが、県政の未来を担う若手職員の心身不調や離職には、私自身、心を痛めております。
 公務職場における精神疾患による療養者の増加や若手の離職は、全国的な課題ですが、県では、令和3年度から、本庁の相談窓口に、従来の保健師に加えて臨床心理士を配置し、若手の悩みにきめ細かに対処してきたほか、今年度から、新たに広域振興局にも保健師を配置するなど、職員一人ひとりに寄り添った全国的にも先進的で手厚いメンタルヘルス対策を講じているところです。
 また、これまで、知事と広域振興局職員との意見交換を定期的に開催するなどし、若手職員の声に耳を傾けるとともに、私の思いを直接伝えているほか、若手有志による政策提案の機会を設けるなど、若手職員が、県における仕事のやりがいや魅力を感じ、ひいては、職場定着につながる取組にも力を入れてまいりました。
 今後も、県政を支える根幹である職員の健康を第一に考えながら、モチベーションの維持、向上にも努め、若手職員が安心して、いきいきと働くことができる職場環境の構築に向けて、取組を推進してまいります。

(5) 職員からの相談に応える体制の整備について

通報先が県内部であることは、職員が相談する心理的妨げになるのではないか。
「通報責任者は、体制の整備及び運用状況等について、定期的に客観的にかつ公正な方法による評価、点検等を行い、必要に応じて改善策を構ずる」と要綱に規定されており、制度のより適切な運用を担保する体制の整備を検討すべきと考えるが、見解を伺う。

 職員からの相談体制についてでありますが、公益通報制度は、事業者による違法行為等の通報を行った職員を保護するものであり、その通報窓口については、コンプライアンスを所掌する部局の内部窓口に加え、外部窓口の設置にも努めるよう、国のガイドラインで定められています。
 このため、県では、人事課のほか、外部の弁護士による窓口を設置するとともに、弁護士が調査した結果、法令違反が明らかな場合は、警察等へ通報することなど、調査等の過程における独立性を担保しています。
 また、制度上、通報者に対する不利益な取扱いや、通報者の探索は禁止されており、通報者保護の仕組みが確保されております。
 現在、国では、不利益な取扱いに対する罰則の新設等が検討されていることから、こうした動きも注視しながら、職員が安心して制度を利用することができるよう、適切な制度の整備、運用に努めてまいります。