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県議会報告
平成30年度9月定例会 決算特別委員会(総務部)(平成30年10月3日(水))
2018.10.14
1 地域防災力の強化について
(1)県地域防災計画の修正について
災害対策基本法では、「毎年都道府県地域防災計画に検討を加え、必要があると認めるときは修正しなければならない」とされているが、29年度はどのような検討が加えられ、どのような修正がおこなわれたのか。次の改定はいつか。
平成29年度の岩手県地域防災計画の修正についてでありますが、昨年度は、国の防災基本計画における、平成28年度の熊本地震及び台風第10号災害を踏まえた修正を受けて、被災者の生活環境の改善、応急的な住まいの確保や生活復興支援等について反映をした。また、県独自の修正としては、昨年度岩手山の火山避難計画を策定したことから、この内容や、新たに整備された道路や防災拠点等の見直しを踏まえ、緊急輸送道路の見直し等についても反映した。
なお、地域防災計画の修正にあたっては、3月28日に国、県、市町村、防災関係機関等が一同に会して、岩手県防災会議を開催し、その内容について合意を得たところ。
今年度についても、国の防災基本計画を受けたもののほか、関係機関の意見等を踏まえながら、その修正案について検討を進めることとしており、平成31年3月に岩手県防災会議を開催したいと考えている。
(2)市町村地域防災計画の改定状況について
市町村地域防災計画の改定状況は如何に。
市町村地域防災計画の改定状況についてでありますが、市町村では、災害対策基本法に基づき、毎年、市町村地域防災計画に検討を加え、必要があると認めるときは、市町村防災会議において修正することとされており、その内容は、県の地域防災計画に抵触しないこととされている。平成28年度の県地域防災計画の修正内容を踏まえて、市町村地域防災計画の修正を行った市町村は、平成30年4月1日現在で23市町村となっている。市町村地域防災計画の修正を行っていない市町村には、できるだけ早く適切な内容に修正するよう、市町村防災主管課長会議等の場で引き続き働きかけていく。
(3) 防災関係職員の育成・体制拡充について
防災関係職員の育成・体制拡充が必要ではないか。市町村職員の防災専従職員の配置は如何に。
防災関係職員の配置についてでありますが、市町村において、防災を担当している職員が他の業務を兼務しているものがあると聞いているが、防災従職員の人数は、市町村の規模に応じ概ね1~10名程度と把握しているところ。また、8つの市町村において自衛隊OBを防災専従職員として配置しているほか、消防職員が防災業務を兼務している市町村もある。
(4) 県の支援について
県としてどのように支援又は取り組むお考えか。
この点については、市町村の防災職員の資質向上つながってくることと考えている。市町村の防災関係職員に対しては、昨年度において、12市町村に出向き、災害対応など
の研修及び図上訓練を行ったところであり、今年度においても15市町村に出向き、同様の研修を実施しているところ。
(5)防災関係職員の資質向上対策について
静岡大学「市区町村の防災に関するアンケート報告書」によれば全国的に研修参加も低調。一方で防災士養成研修に2割強が参加。県として積極的に資質向上対策に取り組むべきだが、如何に。
先ほど市町村に出向いて研修するということを申し上げましたが、中身を御説明致しますと、直接市町村で防災を担当する職員のみならず、災害時に災害業務を担当する職員も加えて、災害時に県、市町村、関係機関が情報を共有する災害情報システムの操作研修や実災害を想定した図上訓練、防災気象情報の見方といったことを内容としている。また、県の職員による研修の実施に加え、防災や危機管理に必要な知識やスキルを幅広く身に付けて学ぶ機会が重要と考えている。岩手大学においては、地方自治体や医療・学校関係者等を対象に、防災危機管理エキスパート養成講座を毎年開催しており、県も本講座に講師として参加するなど、岩手大学と連携して、市町村の防災関係職員の資質向上を図っているところ。
(6) 県内の避難所について
避難所の数、場所は適切か。東日本大審査では避難所に逃げたのに亡くなった方々がいる。万一を想定し、避難所の総点検をすべきではないか。震災以降、避難所の見直しは行われているか。
県内の避難所についてでありますが、平成25年度の災害対策基本法の改正により、災害等により危険が切迫した状況において住民等の緊急避難先となる指定緊急避難場所と、災害で避難した住民等が、災害の危険性がなくなるまでの期間、滞在することを目的とした指定避難所について、市町村長が予め指定することが義務付けられたところ。県内の指定避難所は、平成30年9月1日現在で約1,700箇所、収容人数は約48万人分となっている。指定避難所については、想定される災害の影響が比較的少ないこと等が要件としてあり、市町村は基本的にはこのことを踏まえて指定しているものと認識しているが、過去に聞き取りをしたところによると、指定避難所は学校や公民館、集会所などとなっているが、実際は、地域に大きな公的施設がなかったり、洪水、土砂災害等が発生する危険性がある区域に立地しているため、指定することができずにいる市町村があると聞いている。県としては、指定避難場所の指定については、災害発生の危険性等を考慮したものとなるよう、市町村に対し適切な助言を行っていく。
2 人件費(職員の精神疾患による療養者の現状と対策)について
(1) 職員の精神疾患による療養者について
平成29年度における職員の精神疾患による療養者が52人いるが、平成21年度と比較して増えているのか伺う。
委員御指摘のとおり、平成29年度の療養者の実人員は52人で、平成21年度の45人と比較して、7人増となっている。ただし、この間、全体の職員数も増えているので、職員数に占める精神疾患による療養者の割合は、ほぼ横ばいとなっている。
(2) 精神疾患による療養者数の年代、職種、男女の特徴について
年代や職種、男女に特徴は見られるのか伺う。
年代別については、近年、若年層の職員が増加しているところであり、若年層における精神疾患の割合も増加している。男女別については、職員数全体に占める精神疾患の割合と、どちらもほぼ同様であり、男女別の大きな差異は見られない。なお、職種別の状況については、把握していない。
(3) 要因の把握とメンタルヘルス対策など現状と今後の対応について
要因(業務負荷の累計)をどう把握し、メンタルヘルス対策やストレスチェックにどのように取り組んでいるのか、現状と今後の対応は如何に。
要因については、業務や対人関係等の仕事の悩み、また、家庭や健康といった個人的な問題、あるいはこういったものが複合的になっている場合もあり、様々な要因が考えられる。特に、東日本大震災津波の発災により、精神疾患となる職員の増加が危惧されたことから、その対策として、発災直後の平成23年度から全職員を対象としたストレスチェックを実施し、「高ストレス」と判定された職員のうち希望者に対し、医師による面接指導を実施し、不調の未然防止を図っている。
また、若年層の療養者がやや増加していることから、今年度においては、アンガーマネジメント研修などセルフコントロールスキルの助長を主眼においたセミナーを開催するとともに、精神科嘱託医や臨床心理士の協力を得ながら、不調者や管理監督者が個別に相談する機会を増やし、早期に適切な対応ができるよう支援しているところ。
今後も、各種セミナーの開催等により、職員のメンタルヘルスに対する理解を深めるとともに、職員の置かれた状況に応じて必要な対策をきめ細かく展開し、職員の健康管理に努める。
(4) 職員の幸福度について
次期総合計画において、県民の幸福をキーワードにする以上は、まずは、県職員が仕事を通じて幸福度を高めることが大事だと思うが、部長の所見を伺う。
過去10年間の推移を見ていくと、29歳以下の若い方の精神疾患による療養が増えている。たしかに採用者数が増えているからという面もあると思うが、せっかく県の職員となって県民の福祉の向上そして幸福度を高めていくということで頑張っているにも関わらず、こういった残念なデータがある。職員が仕事にやりがいを感じて、県民のために仕事に打ち込んでいく、そして自分も当然県民の一人だから幸せになって、共に幸福度を高めていくことは当然のこと。総務部としても、いかに働きやすい職場づくりを進めていくか、そういったところを心して、職員の働きやすさや働き方改革に取り組んでいく。今回の地震対応や連日の台風発生に伴い、総合防災室の職員も休日返上で県民の安全安心のために尽力しているという状況もあり、そのような一生懸命仕事をしている姿も見せながら、それを若い多くの職員が私達もやってやろうというようになってもらえればと思う。そういったことができるように、総務部としても努めて参りたい。
3 平成29年度主要財政指標等に対する評価について
(1) 公債費負担適正化計画の目標達成に向けたこれまでの取組と今後の実質公債費比率の見通しについて
先日、公債費適正化計画の平成30年度改訂版が公表され、29年度決算委基づく実質公債費比率は18.2%ということであった。平成25年度に公債費負担適正化計画を策定以降、県では様々な取り組みを行ってきたと承知しているが、改めて、計画の目標達成に向けて、県はこれまでどのような取り組みを行ってきたのか、また、今後の実質公債費比率の見通しをどのようにお考えなのか併せて伺う。
平成25年度に公債費負担適正化計画を策定して以降、通常分の建設地方債等の県が管理可能な県債について、平成25年度の発行規模である355億円程度に維持又は抑制するよう努めてきた。また、県債残高を圧縮するために、震災特例として創設された補償金免除繰上償還制度を活用して、平成25年度に11億円の繰上償還を行い、1.2億円の利子負担軽減を図ったところ。今後の実質公債費比率の見通しについては、先般、公債費負担適正化計画でお示ししたとおり、現在の標準財政規模等が維持されることを前提に、平成30年度決算において16.9%と18.0%を下回り、その後も着実に低下していくものと推計している。引き続き、有利な地方債の活用や国庫財源の確保等により、実質公債費比率の抑制を図っていきたい。
(2) 財源対策基金の残高と今後の対応について
本県の基金残高の現状に対する評価は如何に。一般論として県の場合、標準財政規模の5%、市町村は20%を目安に財調に積んでいると伺うが、29年度決算を踏まえどう対応する考えか。
平成29年度末時点における財政調整基金、県債管理基金、地域振興基金のいわゆる財源対策基金の残高は377億円であり、平成28年度末と比較して約77億円減少したところ。地方公共団体は、国と異なり、赤字地方債の発行が原則として認められていない中、災害対応や今後の社会保障関係費の増に対応していくためには、一定の基金残高を確保する必要があると考えているが、9月28日に公表した「岩手県中期財政見通し」においては、2019年度以降に見込まれる収支ギャップを財源対策基金により賄うこととした場合、基金残高は2022年度末で46億円になるものと試算しているところ。今後、あらゆる事業での国費の有効活用などの歳入の確保、事務事業の精査などの歳出の徹底した見直し、県有施設の適正な管理や財政負担の平準化などに取り組みながら、持続可能な財政構造を構築していきたい。
(3) 消費増税分に係る県の増収額と今後の財政運営について
来年夏までに教育の無償化の対象範囲や国・地方の役割分担や負担のあり方が議論されると伺っている。消費税の財源1.7兆円を充てることにあるが、消費税増税分に係る県の取り分をどう試算し、新たな施策に対応し、どのように財政運営を図っていく考えか伺う。
来年、消費税が8%から10%に引き上げられることによる歳入への影響額について、一定の仮定のもとに機械的に試算すると、約120億円の増収となり、その半分は市町村へ交付されることから、実質的な県の増収額は60億円程度と見込まれる。なお、この増収分により、交付税の算定にも一定の影響があるものと考えられるが、現時点でその影響は不透明で、試算することは困難である。
消費税増税分の使途については、基本的に、社会保障と税の一体改革により、原則として社会保障関係費に充当することとされていたが、本年6月に公表された経済財政運営と改革の基本方針2018、所謂骨太の方針において、教育の無償化にも使途が拡大されることとなり、その具体的内容については、国の来年度予算編成過程において決定されるものと承知している。
今後、その動向を県として注視し、総務部としても関係部局と連携しながら国に対して必要な要望をしていきたい。
(4) 様々な課題に対応するための基金残高の確保について
今後、様々な課題に対応した施策を展開していくために、将来に向けた基金残高を確保する必要があると思うが、部長の所見を伺う。
先般お示しした中期財政見通しでも、引き続き厳しい数字が出ている。これまで公債費負担適正化計画を掲げて取り組んできて、その成果が県債残高の減少として現れてきた。ここ10数年、かなり厳しい財政状況の中で、高い公債費の要因となっている県債残高の圧縮・縮減に努めてきたことで、実質公債費比率は計画を2年早まって達成できる見通しである。
今後は、震災の復興需要の縮小に対応して通常分の公共事業費も伸ばしていく必要があり、公共施設の整備を含めた社会資本の整備を進めていく。老朽化施設の維持修繕や社会保障費の増等もあり、財政運営の厳しさは変わらない中で、これまでの取組の成果で徐々に県債残高も減少してきたことから、新しい総合計画の下で、県民の幸福度の向上に取り組むためにも、引き続き、しっかりとした財政運営に努めてまいりたい。