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県議会報告

令和5年度2月定例会 予算特別委員会(政策企画部)(令和6年3月6日(水))

2024.06.13

人口減少対策の取り組みについて

〇臼澤勉委員 それでは、私からは1点、全体的な話も含めて確認させていただきます。
 まず、岩手県が抱える人口減少対策の取り組み、令和6年度予算配分の規模感、妥当性、そして、長期戦略をどのように捉えて組み立てているのかお伺いいたします。

〇加藤政策企画課総括課長 予算配分の妥当性と規模感、長期戦略でございます。
 厳しい財政状況のもと、いわて県民計画第2期アクションプランを着実に推進していくためには、限られた財源を重点的かつ効果的に活用するめり張りのある予算配分が重要と考えております。
 このため、令和6年度当初予算案においては、第2期アクションプランのもと、本県の最重要課題である人口減少対策に最優先で取り組むため、自然減・社会減対策を初めとする四つの重点事項を中心に、事業費で840億円程度、このうち新規事業で26億円程度を重点措置したところでございます。
 また、長期的には、県民計画に盛り込まれております人口ビジョンの見通しのもと、三つのゾーンプロジェクトなどを通じて、地域の強み、特徴、イノベーションの力を生かして、地域の特性や課題を踏まえた長期的な観点に立った事業を展開しております。
 これらにより、人口減少の背景にあるさまざまな生きにくさを生きやすさに変えていくことを目指してまいります。

〇臼澤勉委員 2月14日に、令和6年度当初予算案におけるマニフェスト関連事業ということで資料をいただきまして、本当にありがとうございました。この中でも、まず、第1項目の子育て支援策とか、そういった部分での人口減対策をやっているんですけれども、新たな視点、手法を取り入れたものなどを整理してやっていったということでありました。
 先ほど840億円で、新規20億円程度ということでお話がありました。参考までに、隣の秋田県は、女性や若者の県内定着、回帰を促すため、未来の秋田を支える人への投資ということで87億9,000万円を計上し、あるいは、大卒の県内就職率を上げるための新たな奨学金助成制度も盛り込んできておりました。
 改めてお伺いいたしますけれども、今回の令和6年度の新機軸なり、今までの政策では効果がなかなか上がってこなかったというのが数字で出ておりますが、ここの反省をどう捉えて、改めてどういった事業に取り組もうとして、効果を上げようとしているのかお伺いします。

〇加藤政策企画課総括課長 社会減対策について申し上げますと、今年度、少子化要因に関する分析を行いまして、出生数の減少の要因としまして、有配偶率あるいは有配偶出生率の低下によって出生率が低下することに加え、女性の出生の減少と転出による女性人口そのものの減少があることが明らかになったところでございます。
 このため、人口問題対策本部会議におきまして、少子化対策3本の柱として、有配偶率や有配偶出生率の向上、あと、女性の社会減対策を強化する方向を打ち出したところでございます。
 こうした方向性を踏まえまして、令和6年度当初予算案では、有配偶率につきましては、i-サポの機能充実あるいは利便性向上といったところ、あとは、新婚家庭に対する10万円の県単補助の充実などをやっております。
 これらに加えまして、女性の多様で柔軟な働き方の推進、女性や若者が生き生きと活躍できる環境づくりなどに係る事業を拡充したほか、所得向上を図るためのスキル取得や就労に向けた支援、性別に基づくアンコンシャスバイアス解消に向けた啓発に係る新規事業を盛り込んでいるところでございます。

〇臼澤勉委員 さまざまな事業を組み込んで提案してくるのはわかるんですけれども、ただ、これが社会減ゼロあるいは合計特殊出生率の向上にどう効果をもたらすのかが、実はみそでございます。
 前に本会議でもお話しさせていただきました出生率の減少率13.8%、全国ワースト1位という状況、それから、婚姻件数の減少率も10.5%、全国ワースト3位、社会減も4,373人ということで、非常に厳しい数字があらわれている。ですから、それぞれの事業がどういう効果を、ここのポイントを上げていく、あるいは下げどまりの効果をもたらすのかといったところを、今回、新規事業も20億云々という話もありました。あるいは既存継続事業もあるでしょうけれども、どういった視点でこれを総合的に組み立てているのか、その考え方をお伺いいたします。

〇加藤政策企画課総括課長 事業の効果測定というところかと思われますが、有配偶率あるいは有配偶出生率などにつきましては、この間、一般質問で御答弁申し上げましたとおり、個人の選択にかかわるところもありまして、目標設定して管理するのはどうかというところがございます。
 そういったところもございまして、現在、先ほど申し上げました事業効果の測定に当たりましては、県民計画第2期アクションプランの具体的推進方策指標の、例えば結婚サポートセンター会員における成婚者数、あるいは年次有給休暇取得率、いわて働き方改革推進運動参加事業者数などの達成を図ることで、いわて幸福関連指標であります合計特殊出生率あるいは総実労働時間の減少、共働き世帯の男性の家事時間の割合などの向上を目指していくこととしております。

〇臼澤勉委員 さまざまな要素が絡むのはわかるんですけれども、ただ、それ全部を手広くあれもこれもやっていこうとすると、やっぱり予算効果が軽減されていくと思うんです。
 ある程度、合計特殊出生率と、例えば女性の社会減の因果関係というのは相関関係があるとも言われております。詳しくそういった分析も、例えば地域アプローチということで、出生数の減少、女性の人口減少についても、地域では沿岸、県北の減少率が非常に高いと。あるいは有配偶率の減少も、地域性で見ると、沿岸、県北が高いというような分析もされている。そうだとするならば、そういったある程度重点的なエリアをするんだとか、あるいは今回の特殊出生率であったり婚姻率を上げていくための具体的な政策を、この事業をやることによって0.1ポイント上げるんだとか、これを複合的に絡めると1ポイントぐらい上がっていくような、そういった仮説を立てながらやっていくのがEBPMだと認識しております。
 達増県政の1期から5期の数字を私も分析しながら見ています。そういった中では、やはり全国順位も年々、残念ながら下がってきている。これは、私は各都道府県間の地域間競争だと思っていますので、そういった意味で、アイデアを出しながら、総力戦で岩手県民の豊かな暮らし実現のために進めていただきたいと思います。
 データに基づく政策の見直しと改善、どのような手法を今回導入する予定なのか、そして、その効果測定の方法についても具体的に教えていただきたいと思います。

〇加藤政策企画課総括課長 データを活用した事業立案についてとの問いかと思いますが、委員御紹介のとおり、仮説を立ててというのは、まさにそのとおりでございます。それで、今年度、少子化対策につきましては、データをもとに、地域分析あるいは経年の分析等を行いまして、寄与度を算出した上で、有配偶率あるいは有配偶出生率、女性の社会減が出生数、出生率減の原因だというところを上げているところでございます。
 これらをはかる指標といたしまして、先ほどと重複いたしますが、有配偶率などは個人の選択にかかわるものでございまして、数値を目標で管理するのはどうかというところもありますので、これは人口減少問題対策本部会議で随時明らかにしながら、きちんとウオッチしていきたいと考えてございます。

〇臼澤勉委員 さまざまな仮説を立てながら取り組んでいくということで、本当に御努力は評価もしますし、簡単な問題ではないというか、これをやったらすぐ上がるということでないのも重々わかっております。
 ただ、今回の新規事業の中でも、例えば婚姻率を上げるため、i-サポを活用したお食事券の配布事業も出てまいりました。知事も記者会見で、心を動かす対策だということ、具体的な取り組みとして、やはり心を動かさなければ、こういった解決にならないよと言っておりました。ただ、その一つがこの食事券なのかというのが、きのうも総括質疑でいろいろありました。
 私も、さまざまな若者たちの意見とかも聞くと、非常に疑問視する声もありまして、ここら辺がどう寄与度に貢献するのかといったところ、先ほど、さまざまな新規事業についても、その数値を上げるために貢献する事業として組み立てているんだというお話もありました。
 改めて、これは、担当部署は違うのかもしれませんけれども、政策を組み立てている、あるいは全体的な枠組みをつくっている政策企画部として、この事業の寄与度をどのように評価して予算を提案しているのか、お伺いします。

〇加藤政策企画課総括課長 お食事券配布の寄与度でございますけれども、こちらにつきましては、寄与度というものは出しておらないのですが、実態といたしまして、i-サポでマッチングしましても、その後、実際に会わないといったケースが非常に多いということがございまして、これを解消する一つの方策として、食事券を配布してきっかけづくりをすると。それによって、結婚支援につなげていくという考えであるということで聞いてございます。

〇臼澤勉委員 さまざまな評価はあるかと思いますけれども、ただ、額も少額ではあります―少額という言い方ではないですが、ほかの事業に比べて限定的な額にとどめておりますが、それぞれの政策、事業効果をぜひ検証しながら、予算あるいは枠組みをつくっていっていただきたいと思います。
 最後に、市町村との連携について聞いて、終わりたいと思います。今回も特命課長をそれぞれ配置するということでありました。これまでも広域振興局には文化スポーツ所管の特命課長を配置しておったものを、あえて言うならば、今度それを組みかえたというようなものなのかなというところもありますけれども、これがどのように効果を上げていくのか。本庁とそれぞれの広域振興局の特命課長を含めた役割分担についてお伺いします。

〇加藤政策企画課総括課長 市町村との連携についてでございますが、人口減少対策の推進に当たりましては、市町村それぞれ人口減少の要因等が異なっておりますことから、その状況を共有し、県と市町村が連携して対策を講じることが重要と考えてございます。
 このため、市町村に近い広域振興局に特命課長を配置しまして、機動的な事業執行などができることを狙っているところでございます。
 加えて、少子化分析や対策の検討を行う伴走型支援も、町村支援としてモデル的に実施する予定としてございまして、これらによりまして、市町村の人口減少対策の重点的な支援につなげてまいりたいと考えております。

〇臼澤勉委員 今回はこの程度にいたしますけれども、先ほどのi-サポの取り組み、あるいは県主催の縁結びイベントの令和5年度の実績も見せていただいております。盛岡、北上、久慈、宮古でそれぞれ開催してはおりますけれども、先ほどもデータでお話ししましたが、少子化の地域分析の中で、やはり沿岸、県北の減少率、有配偶率の減少というような、これが極めて大きなポイントになっていると。ならば、やはりこういった沿岸地域、久慈とか宮古といった部分についても、同じように開催するのではなくて、さらに重点化した取り組み、具体的な事項を組むべきだと思いますし、そういった予算のつけ方を進めるべきだというところを指摘して、終わりたいと思います。